鉄道時計と共に進化したセイコーブランド。19セイコーから現行まで

2019.04.22

鉄道の運営を支えてきた鉄道時計の歴史は、現在でも国内時計業界のトップを走り続けるセイコーと共に歩みを進めてきました。アンティーク品としてもファンが多いのがセイコーブランドの鉄道時計です。その歴史や時代ごとのモデルを紹介します。

セイコーの鉄道時計の歴史

『精工舎』としてはじまったセイコーと鉄道時計の歴史は、日本の時計史を語る上で欠かせないものです。詳しく見ていきましょう。

鉄道とセイコーブランドの密接な関係

19世紀末に起きたアメリカでの鉄道正面衝突事故をきっかけに、正確な時刻を計る鉄道時計の開発が欧米各社ではじまりました。

高精度の鉄道時計が諸外国で採用される一方で、日本の時計技術は欧米に遅れをとっており、当時国鉄の鉄道時計は全て欧米からの外注品でした。

しかし、関東大震災による被害から再建を図る精工舎の努力が実り、当時の鉄道大臣より『精工舎製19型手巻き式懐中時計』が国産初の鉄道時計に指定されることとなります。

ここからセイコーの鉄道時計の歴史がはじまります。

19セイコーとは

それまでの欧米製に替わって鉄道時計に採用された懐中時計は、ケースサイズから19セイコーと呼ばれます。ムーブメントの石は、はじめ7石のみでしたが、その後15石のモデルが加わりました。

当時の7石入り19セイコーは、欧米の精度基準こそ下回っていましたが、それでも国内では高精度と堅牢性を高く評価されていました。

後に19セイコーは一部を改良し、鉄道用のほか、ダイバー用や軍用、視覚障がい者用へと幅広い業種で使われるようになります。

腕時計はセイコー クラウン

腕時計として国鉄に配給された鉄道時計が、セイコーの『クラウン』です。前身のセイコーマーベルを基礎とし、開発され『脅威の時計』と世界を驚かせた、日本時計史で重要なポジションを占める製品です。

1959年に開発されたクラウンは、腕時計のコンテストで当時ベストセラーとなっていたマーベルを上回る評価を獲得し、後のグランドセイコーのベースとなります。

機械式の懐中時計

鉄道時計は不具合が命取りとなるため、電池で駆動するクォーツ式が一般に流行しはじめた後も、しばらくは手巻きの機械式が公式に採用され続けました。

手巻き3針 6110-0010

1974年頃の一品です。文字盤はスモールセコンドがなく3針仕様、視認性に優れています。

当時最高峰と評価された高精度61系ムーブメントを搭載、21石仕様の豪華な造りです。

17石はレア 6310-0010

1970年頃の鉄道時計で定番の3針モデル、15石が主流の中であまり出回っていないレアな17石です。手巻き式の秒停止機能が付いています。

1978年頃の一品で人気の国鉄仕様、ムーブメントに21石と豪華な造りです。数字フォントが大きく視認性に優れ、スモールセコンドなしの3針仕様です。

クォーツ式の懐中時計

手巻き式に替わりクォーツの需要が高まってきたことから、1980年代にセイコーは電池式の開発に本格着手しました。

同時期にセイコーはダイバーズウォッチの開発生産を進め、飽和潜水を職業としたプロダイバーから高い評価を集めるほどの時計を世に出していました。

クォーツ式ムーブメントを採用していた自社製のダイバーズウォッチが、同じクォーツ式鉄道時計の開発に関し大きなヒントとなります。

鉄道時計の定番 7550-0010

1980年代頃のセイコー鉄道時計で、セイコーがはじめて世にリリースしたクォーツ式モデルの同型です。ダイバーズウォッチに使われていたムーブメントを採用しています。

手巻き式に比べクォーツ式は針を動かすトルクが小さいため、太い針を動かせるダイバーズウォッチに目を向け、『75系600ダイバー』の動力源を改良し『75系鉄道時計』として世にリリースしました。

実用派クォーツ 7C11-0010

1980年代のクォーツ式、国鉄で使われていた7C系の懐中時計です。この頃から文字がやや太くなり、6時付近のクォーツを表すマークもなくなっています。

7C系クォーツは開発チームが『力持ちクォーツ』と呼んでいたように、長い電池寿命を実現させるため開発されたクォーツ式ムーブメントです。鉄道時計だけでなく、ダイバーズウォッチや視覚障がい者用の時計にも応用されています。

その後7C系の設計思想は高い回転力を誇るグランドセイコー用のムーブメント、9F系に活かされることになります。

現行モデル 7C21-0A22

約10年間作動し続ける電池を搭載した7C系ムーブメントで、2015年のリニューアルから現在まで発売されているモデルです。

日本が誇る技術が詰まっている

芯の通った哲学、突出した技術、洗練されたデザインにより、セイコーが鉄道時計の生産を通して得た世界的な地位は、今も揺るぎがたいものとなっています。

鉄道時計が持つ歴史だけでなく時代に合わせて改良されてきたデザインも、セイコーの鉄道時計のアンティーク品としての魅力を引き立てる重要な要素です。

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