漫画の歴史ものといえばコレ!日本・中国・世界の歴史物語10選

2019.04.15

歴史漫画というジャンルは、いつの時代も漫画業界の一翼をになってきました。歴史という史実を元に作り上げられたセミフィクション作品は遥か昔の今とは違う価値観やラブストーリー、戦いを二転三転する展開とともに読者を楽しませてくれます。本稿ではそんな魅力溢れる歴史漫画の中から”選りすぐり”の作品群を厳選して紹介していきます。

少女漫画から劇画まで。日本の歴史もの編

今や世界共通言語である「SAMURAI」は映像作品を通して世界に知れ渡っています。そこまで歴史に興味がなくても『宮本武蔵』や『徳川家康』などの偉人の名前は一度は聞いたことがあるはずです。そうした偉人たちをテーマにした作品にも何らかの形で一度は触れていることでしょう。

本当か嘘かわからない歴史をテーマにする1番の利点は「作者による解釈」で様々な角度から作品を描けるということ。そうした形であるからこそ少女漫画でも劇画でも描くことができるのです。ここからはそんな多彩なジャンル展開がなされる日本の歴史漫画の中からおすすめの作品を紹介していきます。

東村アキコ『雪花の虎』

2015年より連載されている「雪花の虎」は「海月姫」などで知られる少女漫画家・東村アキコ先生による初の歴史漫画です。

テーマは「上杉謙信が女だった」という説を主軸に女性としての上杉謙信を主人公とした歴史漫画作品です。毘沙門天からのお告げで頼りない長男に変わって城主になると期待されながら女として生を受けた景虎(謙信)が姫武将として育てられ、上杉謙信として戦国の世界を生き抜いていく異色のストーリーで、史実についても作者らしく綿密な取材によってキャラの性格やエピソードが非常に細かく描写されているのが魅力です。

森本梢子『アシガール』

『ごくせん』などで知られる少女漫画家・森本梢子先生による歴史漫画『アシガール』は2012年より連載されている歴史ラブストーリー漫画作品です。この作品はフィクション作品であり、歴史×SFというある意味王道なジャンルです。

足が速い以外何の取り柄もない女子高生の主人公・速川唯が、発明家の弟が作ったタイムマシンを起動した結果戦国時代にタイムスリップしてしまいます。

そこで出会った黒羽城の若君・羽木九忠清に一目惚れ、そこから唯は若君を守るべく歴史と照らし合わせながら奮闘するというもの。超美形の若君と女子高生の足軽という異色の組み合わせながら、2人の恋模様が胸を打つ現代派な仕上がりです。

隆慶一郎、原哲夫『花の慶次 -雲のかなたに-』

『花の慶次-雲のかなたに-』は作家・隆慶一郎の歴史小説「一夢庵風流記」を原作に、『北斗の拳』で知られる漫画家・原哲夫先生が作画を担当した歴史漫画です。

激動の戦国時代末期から江戸時代初期を生きた武将・前田慶次を描いた作品で、1990年から1993年まで週刊少年ジャンプで連載されました。

原哲夫ならではの独特なタッチで描かれる圧巻のバトルシーンや人間模様、飄々としながら男らしい慶次の人柄は非常に魅力的で、前田慶次という人物を現在ほどの有名人に押し上げたのは当作品の功績といえるでしょう。

よしながふみ『大奥』

2004年から連載されている漫画家・よしながふみ先生による歴史漫画「大奥」は江戸時代に実在した徳川将軍と正室、側室が住まう場所を舞台にしたIF歴史ストーリーです。

三代将軍の徳川家光の時代、日本中で蔓延した「若い男性のみに罹患する疫病」によって男性の数が激減し、女性と男性の立場が逆転したという設定です。天下の将軍を女性が務めることにより、将軍1人に対し多くの美男子を抱えるまさに『逆大奥』を、愛と謀略を交えながら描く作品です。

「女性将軍1人に対し美男子で溢れる大奥」という、少女心をくすぐるロマンチックなシチュエーションも魅力。多くの女性読者を抱える人気の作品です。

古代ロマンに酔いしれる。中国の歴史もの編

「中国四千年の歴史」という言葉があるように、中国には遥か昔から文明が存在しています。長い歴史を持つがゆえに様々な人物が登場し、国を揺るがす戦争が起こり、同時に豊かな文化も作り上げられてきました。

その壮大なスケールの歴史はどこをとっても魅力的で、創作物の素材としては申し分ありません。日本でも中国史は大人気であり、題材とした漫画作品も多数存在しています。ここからはそんな中国の歴史をテーマにした作品を紹介します。

藤崎竜『封神演義』

『封神演義』は中国の古典作品である同名の小説を余すところなく漫画に書き起こしたもので、1996年から2000年まで週刊少年ジャンプにて連載されました。

現代から約3000年前にあたる「殷(いん)」の時代を舞台に、悪の仙女に取り入られた皇帝が支配する国を正すべく、クーデターを起こして新しい国を作ろうとする主人公・太公望(たいこうぼう)が奮闘します。

史実を汲む壮大な世界観にくわえ、仙人の存在などファンタジーも絡めたストーリーは圧巻です。

原泰久『キングダム』

2006年からヤングジャンプにて連載されている『キングダム』は、約2000年前、実際に500年以上続いた戦乱の時代「春秋戦国時代」を舞台とする作品です。

大将軍を目指す戦争孤児『信』と、後に中国を統一する「始皇帝」となる『政』の姿を描いています。次々と現れる豪傑たちがしのぎを削り、空前絶後の戦乱の時代を生き抜いていく姿が魅力で、ロマンを掻き立てられます。

今まであまり描かれることのなかった時代にメスを入れ、英雄たちを魅力的に描く本作品の人気は、メインターゲットである青年に止まらず経営者など「人をまとめる」人たちにも広がっているようです。

李學仁、王欣太『蒼天航路』

「衝撃のネオ三国志」がキャッチコピーの『蒼天航路』は、日本でも度々関連作品が発表されている『三国志』をテーマにした作品です。

ストーリーは、後に魏の王となる曹操を主人公として描かれています。歴史×ヒューマンドラマという今までにないスタイルで描かれた本作品は、構想時点で「ミュージカルのような三国志」というテーマが盛り込まれ、登場人物全てに緻密な設定、描写が与えられています。

単なる善悪では割り切れない、リアルな英雄たちの姿に引き込まれること間違いありません。

歴史は人の物語。世界の歴史もの編

歴史ものの漫画作品は日本史、中国史に留まりません。人が歴史を持っている以上、人がいるところに逸話があり語り告れるものなのです。ここからはそんな世界各地の歴史もの作品を紹介します。

篠原千絵『天は赤い河のほとり』

1995年から2002年に少女コミックで連載されていた「天は赤い河のほとり」は、少女漫画家・篠原千絵先生による歴史SF作品です。

作品の大筋は平凡な女子中学生の主人公・ユーリが紀元前のヒッタイトに召喚されてしまうところから始まります。本作品では政治的駆け引きや国家間の戦争に加え、主人公が現代に帰ることを諦めてしまうという展開が斬新で、同ジャンルの中でも主人公の人間性が強く出ている作品です。

岩明均『ヒストリエ』

「ヒストリエ」は「寄生獣」で広く知られる漫画家・岩明均先生による歴史漫画作品です。

歴史ものに度々登場する古代ギリシアを舞台に、当時の王・アレクサンドロスにつかえるエウメネスにフォーカスを当てており、歴史を側面から見つつ「あくまで書記官をメインに」登場人物のヒューマンドラマを描いています。

ありがちな英雄譚ではない、独特の作品といえるでしょう。

森薫『乙嫁語り』

2008年から掲載誌を変えながら連載されている森恵先生の「乙嫁語り」は、題材にされにくい中央アジアを舞台にして描かれたヒューマンドラマ的漫画作品です。

主に遊牧民などの民族における若年夫婦の日常やその結婚に伴う問題を色濃く描いており、本稿で紹介しているどの作品とも毛色が違う歴史漫画です。大まかに夫婦ごとのストーリーが繋がっていくため斬新な伝記ともとれる読み応えのある作品です。

過去にタイムスリップできる歴史漫画

歴史漫画は遠い過去の出来事をまるで今まさに起こっているかのように追体験させてくれます。現代とは全く違う価値観や世界観ゆえに彼らの生き様は読者をワクワクさせ、強い想いに圧倒させ、恋愛の切なさに心打たれるのです。たまにはちょっと現代の価値観から離れて、彼らの魅力的な物語に耽ってみるのも良いかもしれません。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME