バーベキューの主役は肉料理になりがちですが、簡単な工夫をするだけで、野菜もおいしく味わうことができます。野菜の旨味を引き出すためには、素材の特徴を知る必要があります。野菜を使ったレシピや下ごしらえの方法について紹介します。
バーベキューの野菜に関する基礎知識
バーベキューで欠かせない食材の一つが野菜です。いくらおいしい肉や魚でも、ずっと食べていると飽きてきます。そんなときの箸休めとしても野菜は活躍します。
しかし、いざ現地で焼いてみると、なかなかうまく火が通らずに「表面だけが焦げてしまった」という経験がある人も多いのではないでしょうか?
バーベキューで野菜を調理するときには、おさえるべきポイントがあります。まずは、野菜に関する基礎知識からチェックしていきましょう。
野菜の選び方
バーベキューで野菜を選ぶときの条件は、『丸焼きにして食べられる』『火の通りやすい野菜と通りにくい野菜をバランスよくそろえる』『焼かなくても食べられる野菜』を用意しておくという3点です。
野菜によっては、下ごしらえが必要なものもあります。それだと時間がかかってしまうため、丸焼きできる方がバーベキューには適しています。
全ての野菜を火が通りやすいものだけでそろえてしまうと、肉や魚よりもすぐに焼けてしまい、野菜が先になくなってしまいます。焼けるまでに時間がかかる野菜もバランスよく入れましょう。
網や鉄板の上が満杯のときや箸休めをしたいとき、そのまま食べられる野菜のさっぱりした風味が最適です。焼かなくても手軽に食べられる野菜も用意しておくとよいでしょう。
オリーブオイルを塗って焼く
野菜にオリーブオイルを塗ってから焼くことで、旨味だけでなくオリーブの香りが加わり、よりおいしく味わうことができます。
オリーブオイルを塗る理由は、旨味が引き立つということだけではありません。油を表面に塗ることによって、表面だけ焦げ付いてしまったり、網に野菜がこびりついてしまったりすることを防ぐ効果もあります。
オリーブオイルはどんな野菜とも相性がよいので、香りや風味を加えたいときに使ってみると便利です。
丸ごと焼いてみるのもOK
ピーマンやアスパラガスなど、丸ごと焼いてもおいしい食材があります。そのような野菜は、思い切って丸ごと網に乗せてしまいましょう。
ピーマンは特に、ヘタのあたりに甘みがあるので、丸ごとの方がおいしく食べることができます。アスパラガスも切ってしまうより、一本をかじった方が食感も楽しめておいしく味わえます。
ほかにも、とうもろこしなども丸ごと焼いて食べたい野菜です。表面にしょうゆをかけながら焼けば、簡単においしい焼きとうもろこしが完成します。
バーベキューに合う野菜
バーベキューの野菜に関する基礎知識について見てきましたが、具体的に、どのような野菜がバーベキューに適しているのでしょうか?
定番の野菜から少し変わった野菜まで、バーベキューにぴったりの野菜を紹介していきます。
定番の野菜
バーベキューで定番といわれている野菜が『玉ねぎ・ピーマン・キャベツ・人参・かぼちゃ・トマト・ジャガイモ』です。これらの野菜は、誰でも簡単においしく食べられる野菜として人気を集めています。
玉ねぎは輪切りにして焼くと、甘みが出て肉との相性がバッチリです。ピーマンはそのまま豪快に焼いて簡単に食べることができます。
人参やキャベツ、かぼちゃは、それぞれ一口サイズに切っておいておけば、少し長めに網の上に置いていてもすぐに焼けてしまわないので安心です。
少し変わった野菜
バーベキューの印象が薄い少し変わった野菜も、とてもおいしく調理することができます。例えば、森のバターといわれている『アボカド』がそれにあたります。
アボカドは、皮をむかずにそのまま網の上で焼きましょう。中身がとろとろになり甘みが増すので、コクが増しておいしくなります。生ハムやとろけるチーズとの相性も抜群で、女性からの人気が高いです。
ビールのお供にぴったりの『枝豆』も、バーベキューで調理可能です。塩を振りかけてホイルに包み焼くだけで、ジューシーに仕上がります。
ホイルの上部に空洞ができるように包むと、熱がうまく流れて、よりふっくらと仕上げることができます。
きのこ類
きのこ類も炭焼きで調理すると、その旨味が引き出されます。例えば『マッシュルーム』の場合、傘の部分を下にして、そのまま焼きましょう。
ヒダの部分に染み出してくる旨味のエキスと一緒に丸ごと食べると、そのままでもとても味わい深くいただけます。
しいたけもそのまま焼いて食べられますが、ヘタを取るとさらに食べやすくなります。傘を下にして、ヒダの部分にしょうゆやバターをつけて焼けば、しいたけの香りがより香ばしくなります。
下ごしらえと保存方法
バーベキューで使う野菜は、前日に下ごしらえしておくと、現地でスムーズに焼きはじめることができます。下ごしらえには方法があり、現地に運ぶまでの保存方法にもポイントがあります。
野菜を適切に下ごしらえし、傷まないように調理をはじめられる方法についてまとめていきます。誰でも簡単に実践できるので、チェックしていきましょう。
前日に下ごしらえする場合の注意点
野菜の中には、前日に下ごしらえしてはいけないものもあります。例えば、なすやキャベツがそれにあたります。なすやキャベツは、切ったらすぐに酸化してしまうため、徐々に変色してしまいます。
そのため、変色しやすい野菜は、当日の朝か現地での調理がおすすめです。なすの場合は、切ってから現地に着くまで酢水につけておくと、変色を防げます。
ジャガイモやサツマイモも切った後にすぐ変色してしまいますが、温めると変色を防ぐことができます。もともと火の通りにくい野菜なので、あらかじめ温めておけば、現地で焼くときに時間を短縮できます。
会場までの保存方法
玉ねぎや人参、ピーマンやトウモロコシは、前日に皮をむいておくと会場での作業がスムーズになります。ただし、むいてそのまま置いておくと表面が傷んでしまうので、適切な保存方法が必要です。
まず、それぞれの野菜の芯の部分に、包丁でバツ印の切れ込みを入れます。その後、水に一時間ほどつけておきます。そうすることで、みずみずしさを保つことができます。
水から上げたらすぐに、水に浸したキッチンペーパーで包み、密閉できる袋に入れます。このように保存しておくと、会場まで持って行っても新鮮な状態のまま調理を始めることができます。
焼いて美味しい野菜の切り方
バーベキューで野菜を使う場合、それぞれの野菜ごとに旨味を引き出す切り方があります。どのように切ると、野菜の旨味を最大限引き出すことができるのでしょうか?
バーベキューで定番といわれている野菜の中から、三つの野菜の旨味を引き出す切り方についてまとめていきます。
玉ねぎの切り方
玉ねぎは、輪切りにするのがバーベキューには最適です。まずは皮を剥き、上の根と下の根の部分を切り取ります。あとは、1〜1.5cm幅で輪切りにするだけです。
カットした玉ねぎに爪楊枝をさしておくと、網や鉄板の上でバラバラにならずに味わうことができます。ポイントは、薄く切りすぎないことです。
玉ねぎは、焼くと縮んでしまうので、少し大きめに切るくらいがバーベキューではちょうどよいとされています。
ピーマンの切り方
ピーマンは、丸ごと焼いても十分おいしく味わうことができる野菜ですが、切ると食べやすくなります。切り方も簡単で、縦半分に切って中のタネと上のヘタ部分を取り除くだけです。
そのまま二等分で食べてもおいしいですし、さらに細かく四等分にしても食べやすくなります。あまり小さく切りすぎると、玉ねぎと同様で食感が損なわれてしまうので、大きめにカットするのがバーベキュー向きです。
なすの切り方
なすは、上のヘタの部分を切り落とし、斜めに輪切りにするとおいしく食べることができます。幅は、0.5〜0.8cmくらいが最適とされています。
なすは表面が柔らかいので、あまり大きく切りすぎてしまうと、外側が焦げて中まで火が通らないこともあります。そのため、切り幅には注意が必要です。
切る前のなすに楊枝で穴を開けて、丸ごと焼くという方法もあります。なすの食感と旨味が凝縮されるため、輪切りとは違ったおいしさを堪能できます。
ホイル焼きで食べられる野菜レシピ
バーベキューでよく使われる調理法の一つに『ホイル焼き』が上げられます。網の上ではできない料理や、ホイル焼き独特の旨味を引き出すこともできるため、覚えておきた調理法の一つです。
野菜を使った絶品ホイル焼き料理のレシピをいくつか紹介します。簡単に調理できるものばかりなので、チェックしてみましょう。
きのこのホイル焼き
きのこの旨味がたっぷり味わえるヘルシーなホイル焼きが『きのこのホイル焼き』です。使うきのこは、舞茸・シメジ・しいたけ・えのき・エリンギなど、しいたけ類なら何を入れてもおいしいです。
まずは、それぞれのきのこを食べやすいサイズに切り分けます。エリンギは、縦に6等分くらいがちょうどよいでしょう。
切り分けたきのこをホイルで包み、白ワインをかけて塩コショウを多めにかけ、ホイルで包みます。あとは適度に蒸せば出来上がりです。きのこの香り溢れるヘルシーな料理に仕上がります。
トマトとズッキーニのベーコンホイル焼き
肉料理だけでなく、野菜もしっかり食べたいという人にぴったりなのが『トマトとズッキーニのベーコンホイル焼き』です。
必要な食材は、トマト(ミニトマト)・ズッキーニ・ベーコンだけです。作り方も簡単で、輪切りにしたズッキーニとミニトマトをベーコンで巻いてホイルに包むだけです。
ホイルで焼く前に、オリーブオイル・塩・コショウ・チーズをトッピングしてから焼くと、ホイルを開けたときにとてもおいしい料理に仕上がります。
トマトの風味とズッキーニの食感が絶妙にマッチし、ベーコンとチーズが加わることで、よりイタリアンな印象になります。
焼きアボカドとトマトのカプレーゼ
そのまま食べられる食材をホイル焼きにすると、別の食感を味わうことができます。そんな料理が『焼きアボカドとトマトのカプレーゼ』です。
それぞれに切り込みを入れて、丸ごとワンサイズの状態で別々にホイルに包みます。包む前に、オリーブオイル・モッツァレラチーズを一緒に入れておくと、それぞれ野菜と相性抜群です。
普段は食感に特徴がある二つの野菜ですが、焼くことで旨味が増し、とろとろの状態でおいしく味わうことができます。
簡単な野菜料理のレシピ
ホイル焼きでおいしく食べられる料理のレシピの次は、簡単に作れる野菜料理のレシピについてまとめていきます。
ちょっとした工夫と食材の合わせ方次第で、定番のメニューがおしゃれなグルメに変わります。どのようなレシピがあるのか、参考にしてみましょう。
春キャベツのグリル
ざっくり切ったキャベツを主役にバスサミコ酢とアンチョビで仕上げるのが『春キャベツのグリル』です。
春キャベツのグリルは、キャベツを3等分くらいに切ってさっと焼き色をつけ、バスサミコとアンチョビ、オリーブオイルと塩胡椒を混ぜた特製ソースをかけるだけでできあがりです。
キャベツの食感が残るように焼くのがポイントなので、あまり焼きすぎて柔らかくなりすぎないように注意しましょう。
アンチョビとバスサミコ酢を混ぜたソースは、家で作ってから持参すると、スムーズに調理できます。
野菜の串焼き
バーベキューの定番料理である串焼きも、ちょっとした工夫でおしゃれな料理に変わります。そんな一工夫に使えるのが『ローズマリー』です。
ローズマリーを竹串や金串の代わりに使うことで、見た目がとてもおしゃれになります。ローズマリーの香りがほのかに立ち上り、料理の印象を変えてくれるのも嬉しいポイントです。
野菜を刺す部分の葉を取り除き、串代わりに野菜を刺して焼くだけなので、誰でも簡単に調理できます。
オープンサンド
イングリッシュマフィンを一口サイズにカットし、プチトマトやアボカド、小エビなどを乗せるだけで完成するのが『オープンサンド』です。
オープンサンドは、焼かなくてもおいしく食べられるので、肉が焼きあがる前の前菜としても楽しめます。
見た目もかわいらしく、どんな野菜を乗っけても見栄えがよくなるため、小さな子どもや女性から人気を集めています。
家であらかじめ野菜を小さく切っておくと、スムーズに調理できます。
野菜にも合うおすすめのソース
塩やコショウだけでも十分おいしくなるバーベキューの野菜ですが、ソースをかけると、違った旨味を堪能できます。
バーベキューで欠かせない焼肉のタレを使ったソースなど、その種類もさまざまです。いろいろな野菜にあうソースの作り方についてみていきましょう。
ドレッシングソース
お酢の酸味が、肉や野菜の旨味を引き立ててくれるのが『ドレッシングソース』です。ドレッシングソースは、市販の焼肉のたれやバーベキューソースと寿司酢を1:1で混ぜ合わせるだけで簡単に作ることができます。
寿司酢の酸味がさっぱりした風味を出してくれるため、脂の多い肉料理との相性も抜群です。もちろん、野菜につけてもおいしく食べられるので、試してみるとよいでしょう。
ハニーマスタードソース
肉料理の中でも、特に豚肉との相性がよいのが『ハニーマスタードソース』です。ハニーマスタードソースは、『粒マスタード・はちみつ・寿司酢』を『1:0.5:1』で配合するだけで簡単に作ることができます。
マスタードと寿司酢の酸味にはちみつのまろやかさが加わることで、全体的にコクが深まります。
マスタードのピリッとした酸味は、豚肉を使ったシンプルな料理の味付けとして活躍するほか、セロリやキュウリなどの生野菜との相性もよいソースです。
ソース自体の味が濃いので、食材そのもののおいしさを生かした料理につけると、うまくバランスがとれます。
イタリアンソース
酸味が効いたさっぱりソースが『イタリアンソース』です。イタリアンソースはベースがトマトなので、暑い夏にぴったりのさわやかなソースとして人気を集めています。
必要な材料は『ホールトマト・刻みニンニク・ワインビネガー・塩・オリーブオイル・炒め玉ねぎピューレ・刻みパセリ』です。
野菜だけでなく、鶏肉や魚など、脂身の少ない肉料理をさらにさっぱりした味に仕上げてくれます。玉ねぎのピューレにより甘みが加わり、酸味をまろやかにしてくれるのも美味しさの理由です。
材料がソースとして馴染むまでに時間がかかるので、自宅で作ってから会場に持っていくようにしましょう。
バーベキューを野菜で華やかに彩って
バーベキューは、肉や魚料理だけで楽しむものではありません。野菜にも簡単工夫を施すだけで、主役級の料理として味わうことができます。
野菜メニューが充実して入れば、相乗効果で肉や魚もおいしくなるので、いろいろな方法で野菜を調理してみましょう。