顔料インクと染料インク、耐水性が高いのは?万年筆インクを徹底比較

2019.04.08

一歩踏み込んだものから普段使いまでと、ボールペンとは違う様々な魅力があることでその需要の幅を広げ続けている万年筆。そんな中の魅力の1つが同じ万年筆で複数のインクを試すことができる汎用性です。本稿では万年筆インクの耐水性に関するトリビアを紹介します。

万年筆のインクに耐水性は必要?

万年筆に限らず文房具のインクに求められる性能の中でも特に気になるのが耐水性。少しのことでインクが滲んでしまうようなら、重要な書類などでの使用が憚られてしまうでしょう。

万年筆のインクはボールペンに比べて液体粘度が低いため「インク漏れや耐水性が低い」という声がよく挙がっています。しかしインクの特性はそのまま書き心地などにも影響してくるためしっかり吟味したいところです。

ここからはそんな万年筆インクの耐水性ついて詳しく解説します。

耐水性があるインクのメリット

耐水性があるインクの最大のメリットは名前そのままの高い『耐水性』でしょう。

つい飲み物をこぼしてしまった、うっかり濡れた地面に落としてしまった…そんな場面で耐水性の高いインクを使っていれば、最悪の事態は避けられるかもしれません。

また、最も重要なのが夏場。暑い夏に書類を書いていたら、手汗で文字が掠れてしまったという人は多いのではないでしょうか?こうした状況でも、耐水性インクを使っていれば安心して万年筆を使うことができます。

大事な書類を書くときは耐水性を重視した方が良いかもしれません。

耐水性があるインクのデメリット

水に対しては高いポテンシャルを発揮する耐水性インク。しかし良いところばかりではなくデメリットも存在します。

それは『インク詰まり』の原因になりやすいという点です。これは高い耐水性が裏目に出てしまい、インク交換の際にインクタンクを洗浄をしても固まったインクが溶けにくく、そのまま残ってしまうことがあるためです。

この状態が長く続くと万年筆自体の寿命にも大きく影響してきます。そのため耐水性インクを使用する場合は細やかな洗浄が必須となってきます。

耐水性だけでなく耐光性も大事

耐水性の他にもインク選びの際に気にしたいのが『耐光性』でしょう。

基本的に紫外線に弱いインク類は、光にさらされる時間が長いほど霞んでいき、最後には消えてしまします。重要な書類に直射日光に当てるようなことは少ないはずですが、耐水性同様ないに越したことはありません。

耐水性インクを選ぶ際には同時に耐光性についても念頭に入れておくと良いでしょう。

万年筆の耐水性はインクだけでなく紙も重要

インク関連における耐水性の問題は、紙の特性によっても大きく左右されます。

もともと水に弱いことが常識の紙類ですが、近年では様々な特徴を持ったものが販売されているため、インクとの相性も様々です。耐水性を気にする場合はインク同様に気にしておくべきポイントでしょう。

しかしただ『耐水性のある紙』といってものイメージが浮かびにくいと思います。そこでここからは普段はあまり気にされていない、紙の耐水性について解説します。

書く紙の種類による耐水性の違い

種類によって高い耐水性を持っている耐水性紙。その中でも人気なのが『ユポ紙』です。

少しの水ならば表面の樹脂コーティングで弾いてしまうため、ポスターなどの掲示物で頻繁に使用されています。しかしこのユポ紙は当然ながら水分の浸透率が低いため一般的に万年筆の使用に向きません。紙に耐水性を求める際はインクとの兼ね合いが重要なのです。

そのため、万年筆を使用する場合はやはり市販されているノートなどに使用される上質紙などが理想的といえるでしょう。万が一にもだめにしてはいけない重要な書類などは、上質紙で書くようにしましょう。

インクの種類や色による耐水性の違い

万年筆のインクは複数の種類が存在しておりそれぞれが特徴を持っています。

インク自体の種類によって、メリットデメリットが変わってくるのです。万年筆を使い始めた時点ではあまり気にすることもないはずですが、長く使うものである万年筆の寿命にも大きく関わってきます。

ここからはそんな万年筆のインクの種類のあれこれを紹介します。

インクの種類による違い

万年筆のインクの種類は大きく分けて『染料』と『顔料』の2種類が存在します。この2つのインクはともに古くから染め物に使われてきたものです。

現代のコピー機などにも使用されている両者ですが、単刀直入にいうならば顔料インクの方が耐水性に優れています。これはインクの粒子による違いであり、染料は細かく紙などに浸透しますが滲みやすいのに対して、顔料は粒子が大きいため紙には浸透せず表面に付着します。この違いが耐水性にもそのまま影響するのです。

しかし粒子が大きい顔料インクはペン先のインク詰まりを起こしやすいため注意が必要です。

インクの色による違い

万年筆には様々な色のインクが存在しますが、色によって耐水性が変わることはありません。前述した2種類のインクの特性が大きく作用します。

また近年ではあまり使われていない顔料インクの1種である『古典ブルーブラック』と呼ばれるインクは、化学反応を利用して固着を促すものであり一般的なインクとはまた違った形で耐水性を獲得しています。

しかし古典ブルーブラックインクは特性上『ペン先の純金部分以外を腐食する』というデメリットがあるため注意が必要です。

各メーカーでの違いを耐水性や特徴で比較

ここまで万年筆インクの耐水性における知識を紹介してきました。ある程度知識が身についたところで購入する際に気になるのがブランドの違いでしょう。ここからは万年筆インクの耐水性や特徴をブランド別に紹介します。

パイロット

日本の有名ブランドであるパイロットのインクは様々な種類が存在します。比較的に値段は安価であり購入はしやすく、耐水性の高いインクも多く出しています。ただし、すべての種類の耐水性が高いわけではないので、購入の際は口コミなどを確認しながら吟味しましょう。

メーカーサイト

プラチナ万年筆

色味の強い『カーボンブラック』が人気のプラチナ万年筆のインクは、非常に高い耐水性を誇っており、文字だけでなく漫画や絵を書く際にも重宝されるブランドです。黒インクを探している場合は特におすすめです。

メーカーサイト

ペリカン

古典ブルーブラックインクを大々的に売り出しているペリカン。前述したように化学反応を使用したインクである古典インクを使用したい場合はスタンダードなブランドです。書いた当初はブルーカラーですが、時間が経つにつれてブラックカラーに変わっていく特性はなんとも味があります。

メーカーサイト

モンブラン

言わずと知れた万年筆の王様・モンブランのインクは「耐水性、耐光性ともに優れている」と定評があります。老舗ブランドのため定番の古典インクはもちろん同じカラーでも異なる特徴を持ったインクを数多く販売しているため、自分にあったインクを探すと良いでしょう。

メーカーサイト

ラミー

比較的安価でありながらシックな書き味で人気があったラミー。しかし近年看板商品とも言える古典ブルーブラックを染料インクに変えてしまったため耐水性などが低下し、人気が下降気味なようです。安価な染料インクを探している人はチェックしてみてください。

メーカーサイト

万年筆を選ぶ時にはインクの耐水性もチェックしよう

万年筆のインクの耐水性について理解できたでしょうか。重要な書類などをきれいに長く保管するには耐水性はもちろん、耐光性や紙の種類にも意識するようにすると良いでしょう。自分のスタイルにあったインクを選んでおしゃれな万年筆ライフを楽しんでください。

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