ジャズ初心者におすすめなアルバムやアーティスト。厳選してご紹介

2019.04.07

20世紀ポピュラー音楽の中でも、大きな人気ジャンルとして世界中で愛されてきた「ジャズ」。ですが、ロックやポップスと比べると、なんだか難しそうで敷居が高いイメージがありますよね。そこで、今回はジャズ初心者におすすめの、名盤や名曲、アーティストを厳選して紹介します。

ジャズとはどんな音楽?

ジャズの発祥の地は、1900年前後のアメリカのニューオーリンズです。ルーツにはアフリカ系アメリカ人の民族音楽があり、そこに西洋音楽の要素が加わって、新たな音楽ジャンルとして確立されました。

ジャズを構成する重要な要素としては、アドリブを主体とした演奏スタイルと、独特のリズムがあります。

多くのジャズスタンダードでは、まず楽曲のメインテーマが演奏され、その後に各プレイヤーがアドリブを披露していく、という展開で演奏が行われます。

そのため、同じ曲でもプレイヤーや日によってアプローチが変わり、その場ならではの表現を聴くことができます。

この自由な演奏スタイルこそが、ジャズの最大の特徴だと言えるでしょう。

さらに、ジャズのリズムには、ジャズ特有の「ノリ」があります。思わず体を揺らしたくなるようなノリにアドリブのスリリングなテンションが加わることで、「ジャズ」というジャンルでしか味わえない楽しさが生まれます。

「洗練された大人の音楽」というイメージが強いジャズですが、こういったダイナミックで情熱的な一面も、大きな見どころです。

おすすめのジャズのアルバム4選

実際にジャズの楽曲を聴いていこうと思っても、どんなアーティストのどの曲を聴くのがいいか、迷ってしまいますよね。

そんなジャズ初心者の方に向けて、「これだけは聴いておきたい」というアルバムを紹介します。

BITCHES BREW

「BITCHES BREW(ビッチェズ・ブリュー)」は、「モダン・ジャズの帝王」ことマイルス・デイヴィスの代表作です。

最大の特徴は、当時のジャズアルバムとしては珍しく、エレクトリックなサウンドやファンクなどのグルーヴ感が積極的に取り入れられている点にあります。リズムは16ビートが中心になっていて、アップテンポで疾走感のある曲調が多いのが印象的です。

ジャズから派生した音楽ジャンル「フュージョン」の先がけになった作品で、ジャズの歴史に革命を起こした名盤としてロングヒットを記録してきました。

現代的なサウンドやリズムが多用されているので、「ジャズ」という音楽自体にあまりなじみがない方でも聴きやすい一枚となっています。

Moanin

巨匠として知られるジャズドラマー、アート・ブレイキーの代表作「Moanin」。

アルバムの中心人物がドラマーということもあり、大胆にうねるリズムが最大の注目ポイントとなっています。「これぞジャズ」と言いたくなる緩急のついたノリが前面に押し出されていて、聴いているうちに自然と体が揺れてしまうような作品です。

タイトルナンバーの「Moanin」はBGMなどでも広く使用されてきた名曲で、そのイントロを聴けば誰もが「聴いたことがある」と気づけるでしょう。

Waltz for Debby

「Waltz for Debby」は、ジャズピアニストのビル・エヴァンスによるアルバムです。

クラシックなどの影響も受けた和音使いやメロディーワークで知られるビル・エヴァンスは、20世紀後半から現代まで活躍する多くのジャズピアニストに影響を与えてきました。

そんなエヴァンスの名演が収録されたこのアルバムでは、繊細な中にもダイナミックで色気のある演奏を、存分に体感できます。

ピアノにフォーカスをあてたジャズアルバムを聴いてみたい方は、まずこの作品を手に取ってみましょう。

COOL STRUTTIN’

ソニー・クラークのアルバム「COOL STRUTTIN’」は、ジャズの本場アメリカではセールス的に全く伸びなかった一方で、日本では爆発的にヒットしたという珍しい作品です。

ジャズ音楽の鑑賞の場として親しまれていた「ジャズ喫茶」で多く流され、日本のジャズブームを代表する名盤のひとつとして知られてきました。

聴きやすく心地のいい演奏が多いのが魅力で、優しいサウンドの中にも繊細で切ない空気を感じられるのも注目ポイントです。

初心者がジャズのエッセンスを体感するには、ぴったりの一枚でしょう。

おすすめのジャズアーティスト4選

ジャズを聴く上で、名盤だけでなく、名プレイヤーの基礎知識も押さえておきたいですよね。ジャズ界で伝説級のアーティストとして知られる、代表的な人物を紹介していきます。

ベニー・グッドマン

ベニー・グッドマンは、1930年代から1940年代の「スウィング・ジャズ」と呼ばれるジャンルをけん引したクラリネット奏者です。

まだまだジャズが黎明期だった時期にその普及に広く貢献し、名門カーネギー・ホールで初めてジャズコンサートを行ったり、人種差別が根強かった時代に白人・黒人問わず多くのプレイヤーと共演するなど、先進的な活動をしていました。

代表曲にはジャズの名曲中の名曲「シング・シング・シング」などがあり、スウィング・ジャズを語る上で、欠かせない名プレイヤーです。

フランク・シナトラ

フランク・シナトラは、1930年代から1990年代までという長きにわたって、ジャズ界やポピュラー音楽界で活躍したシンガーです。

20世紀中盤のエンタメ界を代表する存在として知られており、その影響力は音楽界を超えて、政界や裏社会にも及んでいたとされています。

また、映画俳優としての活躍も広く知られていて、「オーシャンと十一人の仲間」や「ザッツ・エンターテインメント」など多数の名作に出演。「地上より永遠に」ではアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

ボーカルのあるジャズソングを聴くなら、まずはこのフランク・シナトラの作品から手に取ってみましょう。

マイルス・デイヴィス

マイルス・デイヴィスは、1940年代から活躍したジャズトランペット奏者です。

モード・ジャズやエレクトリック・ジャズ、ヒップホップ・ジャズなどの新たな派生ジャンルを追求し、発展させた人物として知られていて、「モダン・ジャズの帝王」という異名も持ちました。

また、デイヴィスのバンドからはハービー・ハンコックやチック・コリア、ビル・エヴァンス、マーカス・ミラーなど後のジャズ・フュージョン界で活躍するプレイヤーが多く生まれていて、その功績は計り知れません。

代表作には先に紹介した「BITCHES BREW(ビッチェズ・ブリュー)」などがあり、独創的で現代的なサウンドは、必聴です。

ジョン・コルトレーン

ジョン・コルトレーンは、モダン・ジャズの全盛期である1950年代から1960年代に活躍したサックス奏者です。先述したマイルス・デイヴィスのバンドに長く所属していたことでも知られています。

アドリブを主体とした現代的なジャズ演奏の世界で広く活躍し、より自由な表現を追求した「フリー・ジャズ」の分野で第一人者になりました。

活動期間は決して長くなかったものの、200枚以上の作品を残して今も親しまれています。現代的なジャズを知る上で外せない、伝説的なプレイヤーです。

最近のおすすめジャズ曲3選

20世紀のジャズ発展期を支えた名盤や巨匠だけでなく、リアルタイムの「今」のジャズも知っておきたいですよね。

最近のジャズの名曲の中から、特におすすめの話題作を見ていきましょう。

It Could Happen To You

日本のジャズブームの真っただ中で活躍した、北海道出身のジャズピアニスト、福井良。1970年代から2016年の死去まで、国内外で活動を続けた日本を代表するプレイヤーの一人です。

そんな福井良のデビューアルバム「Scenery」が、2015年にYouTube上にアップされたことがきっかけになり、今再び日本のジャズファンの間で話題を集めています。

国内ジャズの名盤として知られるこの作品ですが、その中でもリードトラックのひとつ「It Could Happen To You」は、大胆な中にも繊細さをもったピアノの旋律が印象的な一曲です。

2018年にはスイスのレーベルからLP盤がリリースされるなど、近年再ヒットを果たした作品として注目です。

Street Fighter Mas

2004年にアルバムデビューして以来、現代ジャズシーンの第一線で活躍してきたサックス奏者、カマシ・ワシントン。

ハービー・ハンコックなどの巨匠からチャカ・カーンやケンドリック・ラマーなど他ジャンルのアーティストまで多くのプレイヤーと共演し、現在進行形で話題を集めています。

そんなカマシ・ワシントンが2018年6月に発表したアルバム「Heaven and Earth」のリード曲が「Street Fighter Mas」です。

なんとこの曲、元々はプロゲーマー志望だったというワシントンが、格闘ゲーム「ストリート・ファイター」のテーマ曲のつもりで書き上げたんだとか。グルーヴィーなリズムに壮大なアンサンブルが乗ったこの曲は、現代ジャズのひとつのかたちとして、要チェックの作品となっています。

Keep On

2010年代ジャズシーンの新星として、勢いを高め続けているロンドン出身のピアニスト、Alfa Mist。初のリリース以降、その注目度は耳の早い音楽ファンの間で一気に広まってきました。

そんなAlfa Mistのデビュー作「Antiphon」のリードトラック「Keep On」は、王道のモダン・ジャズの空気感の中にも、新しい風を感じさせる一曲です。色気のあるメロディワークと緩急を活かしたミニマルなアンサンブル編成は、ジャズになじみのない方でもすっきりと聴きやすくなっています。

最新のジャズ界で注目を集める新たな名曲として、一度聴いてみましょう。

奥が深いジャズの世界へ

長い歴史の中で数々の名プレイヤーが革新や感動をもたらしながら、発展を続けてきた「ジャズ」というジャンル。昔の名盤を聴いても、より多様化した最新の作品を聴いても、自由で独創的な世界観に浸って楽しめること間違いなしです。

まずは何となく気になったアーティストやアルバム、楽曲から手に取って、奥が深いジャズの世界へ第一歩を踏み出してみましょう。

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