日本を代表する大都市のひとつで、都会ながら住みやすい街として親しまれてきた名古屋。そんな名古屋ですが、実はたくさんの「美術館」がある、美術の街としても知られています。名古屋にある数々の美術館の中から、特におすすめの場所を厳選して紹介していきましょう。
名古屋市内にある幻想的な美術館
まず紹介するのは、名古屋の中でも、特に洗練されたコレクションの数々で知られる美術館です。幻想的な美術の世界を味わえる、評価の高い人気美術館を見ていきましょう。
ヤマザキマザック美術館
「ヤマザキマザック美術館」は、愛知を代表する工業メーカー・ヤマザキマザックの創業者である、山崎照幸のコレクションを公開する美術館です。
山崎のコレクションは18世紀ロココ時代などのフランスの美術品が多いことで知られていて、ヤマザキマザック美術館も、そんなフランス美術をメインにした美術館として知られています。
クロード・モネやアンドレ・ドラン、アルベール・マルケ、アール・ヌーヴォーなどの貴重な品々が所蔵・展示されていて、内装も当時のフランスの様式に合わせたものになっています。日本にいながら、近代フランス美術の空気を感じることができるスポットとしておすすめです。
愛知県美術館
愛知県美術館は、20世紀の国内外の美術を中心に、幅広い時代の美術品・工芸品を揃えた総合美術館です。これまでにジャンルもテーマも様々な企画展を開催し、芸術を身近に感じることができる、愛知県の美術の中心地として賑わってきました。
コレクションにはアンディ・ウォーホルやグスタフ・クリムト、パブロ・ピカソ、アンリ・マティスなど一般的にも有名な芸術家の作品が並んでいて、ライト層でも楽しめる美術館となっています。
誰もが気軽に美術と接することができる場所として、家族連れやカップルで行くにもおすすめのスポットです。
古川美術館
愛知県出身の実業家・古川為三郎のコレクションをもとに開館された「古川美術館」。所蔵品は近代の日本画や陶磁器や工芸品が中心となっています。
企画展では所蔵品を中心に貴重な作品が並び、日本美術の歴史や空気感を知ることができます。さらに、本館のすぐ隣にある古川為三郎の邸宅を分館にした「為三郎記念館」では、数寄屋造りの館内や日本庭園に風情を感じながら、お茶を楽しんだり、展示を見ることができます。
さらに、美術講演会などのイベントも盛んで、色々な視点から日本美術に触れることができる施設として、注目です。
珍しい?一風変わった美術館
様々な美術館が立ち並ぶ名古屋では、ふつうの美術館とは違う、一風変わった場所もあります。そんな個性的な美術館の中から、代表的なものを見ていきましょう。
高浜市やきものの里かわら美術館
名古屋市の南、窯業の街として知られる高浜市にあるのが、「高浜市やきものの里かわら美術館」です。全国でも唯一の、「瓦」がテーマの美術館となっています。
三州瓦をはじめとしたさまざまな瓦や、その歴史・文化に関する展示が並ぶこの施設。瓦をテーマとした展示ばかりというわけではなく、企画展では絵画や陶芸、絵本など、幅広いジャンルの作品が並びます。
さらに、陶芸体験やコンサートなども開催され、高浜市の芸術の拠点としても話題になってきました。
建築家の内井昭蔵によって設計された、瓦を全国に運ぶ江戸時代の「千石船」をモチーフにした外観も見どころです。
昭和美術館
「昭和美術館」は、1978年に開館した歴史のある美術館です。閑静な住宅街の中にあり、静かさと威厳を兼ね備えた施設として知られています。
展示品は茶道具が中心で、館内には茶室や茶庭があり、茶会や展示会が開かれます。また、所蔵品にはいわゆる「紀州本」と呼ばれる万葉集の写本など、ユニークな品もあります。建物や庭園といった外観も魅力があり、雰囲気たっぷりの空間を歩くだけでも楽しい美術館です。
荘厳で趣のある、日本ならではの「美」の空気を体感したいなら、ぜひ訪れてほしいスポットです。
徳川美術館
愛知県に位置していた尾張藩を治めた尾張徳川家。その貴重な品々を保存・展示しているのが、「徳川美術館」です。
収蔵品には歴史的にも貴重な尾張徳川家の所有物が並んでいて、その種類は絵画や陶磁器、織物、刀剣、書物など、幅広いジャンルに及んでいます。当時の大名家の生活や文化を、さまざまな角度から知ることができるのが最大の魅力です。
歴史の中のワンシーンをそのまま切り出したような展示品の数々は、館全体の雰囲気も合わさって、歴史ファンにとっては必見と言えるでしょう。
名古屋でガラスアートが堪能できる美術感
繊細な表現が魅力的で、見た目も華やかなガラスアート。工芸品・美術品の中でも、人気の高いジャンルですよね。
名古屋には、そんなガラスアートを思う存分楽しめる美術館も多くあります。どんなコレクションや展示があるのか、紹介しましょう。
大一美術館
「大一美術館」は、パチンコメーカーの大一商会によって1997年に開館された、ガラス工芸品の美術館です。
コレクションには近現代のガラス工芸の名作が並んでいて、いわゆる「アール・ヌーヴォー」と呼ばれる近代フランス工芸を代表する一派に属するエミール・ガレやドーム兄弟の作品、アメリカのガラス彫刻の巨匠デイル・チフーリの作品が特に知られています。
世界的・歴史的にも貴重な展示品は、思わず息を飲むほどきれいなガラスアートの世界を見せてくれます。技術的・表現的にも最盛期として知られる時代の作品の数々は、圧巻です。
色とりどりの展示が生み出す雰囲気は見て回っているだけでも楽しいので、デートで訪れるにもぴったりではないでしょうか。
三河工芸ガラス美術館
名古屋市から南の西尾市にある「三河工芸ガラス美術館」は、名古屋周辺でも特に注目の観光スポットとして、話題性が高まっています。
作品を見るだけでなく、ガラス工芸を「体感する」というコンセプトが大きな特徴で、館内ではスマホによる写真撮影も許可されるなど、ユニークな美術館として、またSNSなどの撮影スポットとして人気を集めてきました。
展示品は一室まるまるを使って季節を表現した「四季」や映画の名シーンをガラスアートで再現した「シネ・アート」、さらにはギネス記録にも認定された巨大万華鏡「スフィア」など、個性的なものばかりです。まさに、ガラス工芸の魅力を五感と全身で「体感する」美術館となっています。
さらに、万華鏡やステンドグラス製作を実際に楽しめる体験教室も、見どころのひとつです。
ガラス工芸の美しさ・繊細さを体感する場としてだけでなく、エンターテインメント性たっぷりのアミューズメント施設としても注目のスポットでしょう。
迷ったらここ!名古屋が誇る美術館
最後に、「名古屋の美術館といえばここ!」と言えるような、有名美術館を紹介していきます。どれも規模や実績で名古屋を代表する美術館なので、「たくさん美術館があってどこに行くか迷ってしまう」という時は、ここに足を運んでみましょう。
メナード美術館
「メナード美術館」は、その名の通り、化粧品ブランドとして知られる日本メナード化粧品が設立・運営する美術館です。創業者の野々川大介とその妻・美寿子夫妻のコレクションをもとに開館されました。
上品な大人の化粧品として知られるメナードの印象通りに、自然に囲まれた落ち着きのある美術館として知られるこの施設。展示室には印象派絵画や日本画の名作が並び、白を基調とした空間自体も荘厳で静かな「美」を演出します。
この美術館そのものが生理的・心理的にストレスを軽減するという検証結果もあり、落ち着いた空間で芸術に触れて、心を休める場所としてはぴったりです。日常から離れてリラックスしたい、という方は、ぜひ行ってみてください。
名古屋市美術館
名古屋市が運営する「名古屋市美術館」は、郷土作家の絵画や写真を中心に、近現代の海外美術まで、幅広い分野の作品を収集・展示する総合美術館です。
三岸節子や前田青邨、山本悍右など名古屋を地元とする芸術家の作品を所蔵・整理してその活動の道筋を伝える役割を果たしながら、一方では20世紀前半のパリ芸術「エコール・ド・パリ」や「メキシコ・ルネサンス」と呼ばれる近代メキシコ美術、様々な現代美術の作品も収集しています。
そのため、名古屋ならではの美術の世界観から、現代まで通じる20世紀の国際美術の流れまで、さまざまな視点から近現代の美術に触れることができるのが最大の魅力です。
名古屋だからこその特色も見せる王道の本格派美術館として、必見のスポットと言えるでしょう。
アートの宝庫名古屋
歴史のある王道の美術館から、独自のテーマやコンセプトを持つ多くの企業美術館・私立美術館、さらには全国でもここでしか見られないような展示のある個性派美術館まで、名古屋には特徴の違うさまざまな美術館があります。
豊富な美術館が並ぶ名古屋は、日本でも有数の芸術都市と言えるのではないでしょうか。
そんな名古屋の美術館に、ぜひ一度足を運んでみてください。本場の美術に感動できるのはもちろん、落ち着いたデートスポットや気分転換の癒しスポットとしても、名古屋の美術館はおすすめです。