バイクに乗るとき、どのような服装をすればいいのかと悩むことはないでしょうか。バイク乗りのファッションは、デザインなどにこだわるよりもまず安全第一です。ここでは、バイク乗りのファッションの基本と季節別おすすめコーデを紹介します。
バイク乗りのスタイル
バイクは車と違い、体一つで乗るものです。万が一の事故に備えて、しっかりと体をガードするのが、バイク乗りのスタイルの基本です。
なるべく肌を露出させない
バイクの事故で最も多いのが、転倒です。転倒したとき、大きな衝撃とともにコンクリートに打ち付けられ、その場所に石や金属などがあった場合に肌が露出していると、当然ながらその部分に大きなケガを負うことは想像に難くないでしょう。
普通に考えれば想像しやすいものですが、バイクに乗った経験が少ない人ほど、このようなことを想定しづらいと言われています。もし転倒しても被害を最小限に食い止めるために、肌の露出は極力避けるべきです。
関節部分はプロテクターでガード
肘や膝、肩などの関節は、バイクでの転倒時に地面に打ち付けやすい場所です。また胸部も打ち付けやすいだけではなく、場合によっては命の危険にもかかわり、胸部の損傷は頭部の損傷に次いで死因になることが多いと言われています。
これらの部位を転倒時の衝撃から守るには、プロテクターの装着が必要です。関節部分はもちろん、バイク用の胸部プロテクターを装着すれば、衝撃から体を守ることができます。
プロテクターの性能基準
バイク乗りが利用できるプロテクターは、バイク用品メーカーから多種多様な製品が販売されています。バリエーションが多い分、どのプロテクターを選べばいいか悩んでしまうかもしれません。そんなときは、性能基準をチェックしてみましょう。
プロテクターの性能基準に、『CE』という規格があります。これは欧州において、EU加盟国すべての基準を満たしたことを表すもので、安全性や環境への適合を示す場合も増えています。
そのため、ある程度の安全性を保証するマークとしても知られています。
プロテクターでは、CEレベル1またはCEレベル2の2種類のレベル分けがされています。CEレベル2は最高性能となるので、CEをチェックすると、各プロテクターの性能がある程度把握できるでしょう。
基本のファッションスタイル
安全性が最優先のバイク乗りのファッションですが、バイクに乗る際の基本的なファッションスタイルはどのようなものが適しているのでしょうか。以下に、そのポイントをまとめました。
ヘルメットはフルフェイスかジェット
ヘルメットは、バイク乗車時に着用が義務付けられているバイクに乗るときの必須アイテムです。
ヘルメットは大きく分けて、頭部をすっぽり覆う『フルフェイス』、頭から頬までを守る『ジェットヘルメット』、そして名称からも分かるように頭部の半分をカバーする『ハーフヘルメット』の3種類があります。
このうち、バイク乗りに避けてもらいたいのは、やはりガード力が低いハーフヘルメットです。転倒時には顔を打ち付けることも多く、ヘルメットで覆われていない部分に傷が付く可能性があります。
バイクに乗るときのヘルメットは、安全面を考えてフルフェイスまたはジェットヘルメットを選択しましょう。そして、走行前に必ず試着を行い、ピッタリフィットするヘルメットを選ぶのも大切です。
上半身はプロテクター付きジャケット
軽装でバイクに乗りたいと考える人もいるかもしれませんが、私服を着用するときでも、その上にプロテクター付きのライダースジャケットを着るのがおすすめです。
ライダースジャケットは寒い時期には走行時の防寒対策としても有効で、さらにプロテクターが入っていれば、万一転倒したときに体を守ってくれる効果も期待できます。
また、プロテクターなしのライダースジャケットでも、別途プロテクターを購入して装着することも可能です。先述のように肩や肘といった関節部分の他、胸部と脊椎用のプロテクターがあれば、より安心感が高くなります。
ライダースジャケットにはレザー製が多く見られますが、これは革の引き裂き強度の高さにより、転倒時に破れにくいメリットがあるのが1つの理由です。レザーは化繊よりも丈夫なので、より体を守るのに適しています。
下半身は膝プロテクター入り
下半身はどのような服を着ればいいのかというと、基本は肌を露出させない長ズボンのようなボトムスです。暑い夏の時期はハーフパンツなどの丈の短いボトムスを履きたくなりますが、安全面を考えても避けるべきです。
暑さや寒さが心配であれば、吸汗性や防風性に加え、耐摩耗性が高い、バイク乗り専用のライディングパンツを着用してみてはいかがでしょうか。
下半身を転倒時の衝撃から守るためには、ライディングパンツにプロテクターを入れるのがおすすめです。下半身の場合は、膝の部分のみにプロテクターを装着するのが一般的です。
また、膝プロテクターは服の上からも装着できるので、私服と組み合わせることも可能です。
グローブは丈夫な生地を
グローブを選ぶときは、しっかりとした丈夫な生地であるかどうかが基本です。特に手のひらは転倒したときに地面に付きやすい箇所なので、手のひら部分が頑丈かどうかは要チェックです。
バイク用のグローブは、手のひらやこぶし部分にプロテクターが入っているものも市販されています。安全面を重視する人は、手のひら部分の頑丈さやプロテクターの有無を確認すると良いでしょう。
加えて最近では、グローブをしたままタッチ操作ができるスマホ対応のグローブも登場しています。
ブーツはハイカットがベター
バイクに乗るときの靴は、普段履いているものとは別の靴を履くべきです。スニーカーなどの紐靴は、運転中に靴紐がバイクに巻き込まれてしまう可能性があるため、避けましょう。
バイク用のライディングブーツは、靴紐がないだけではなくシフトアップのためにつま先が保護されている、くるぶし部分が保護されているなど、普通の靴との違いがあります。
出っ張った骨であるくるぶしは、転倒時に打ち付けやすくケガにつながりやすい箇所です。そのため、バイクに乗るときのブーツはくるぶしをカバーするハイカットタイプを選びましょう。
ファッション選びのポイント
ツーリングのときは、ファッションにもこだわってみたいと考える人も多いのではないでしょうか。
バイクでは安全性も考えたファッションが基本ですが、過剰なこだわりはファッション性が下がる可能性もあります。安全性と見た目を両立させるファッションのために、いくつかのポイントをチェックしておきましょう。
安全性が第一優先
これまで繰り返し述べてきたように、バイクに乗るときのファッションは、何よりも安全性を重視するべきです。やはり、バイクは生身の人間が乗る乗り物なので、転倒時は体に直接衝撃を受けてしまいます。
見た目を重視した薄着などは、あまりふさわしくありません。特に夏場の暑い時期だからと言って、半袖やハーフパンツ、女性であればスカートを着用するのはNGと考えましょう。
通年を通して、男性・女性に関わらず、長袖と長ズボンが基本スタイルと言えます。そして気温や季節に合わせて、素材を変えるなどの工夫をしましょう。
街乗りでダサいと思われるものは避ける
いくらバイクに乗るからといって、本格的なライディング用のウェアは、避けた方がいいでしょう。ちょっとしたツーリングで、そのようなあまりにも過剰なウェアは、実際のところ、かっこいいどころかダサいと思われることも否めません。
ライダーが着ていると連想されることが多い革ジャン、いわゆるアメリカンタイプのライダースジャケットも、周囲から浮いてしまうことも少なくありません。
軽装すぎる服装は良くありませんが、反対に気合いが入りすぎたウェアも、残念ながら街乗りではいまいちと思われることも多いものです。街乗りや軽いツーリングなら、そこまで本格的な装備ではなく、比較的軽いバイクウェアの方が適しています。
なるべくシンプルにする
ファッション性を考えた上でバイクに乗るための服装を選ぶなら、できるだけシンプルなものがおすすめです。なるべくアクセサリーを付けずに、モノトーンやカーキ、茶色など派手すぎない落ち着いた色でまとめると、バイクも一層引き立ちます。
メンズファッションの定番ブランド
バイクウェアはファッション性が高い製品も多く、バイクに乗るときの服装にこだわりたい人も満足できるデザインのウェアが多く見つかります。
メンズ向けの人気バイクウェアを販売する定番ブランドが、以下の3ブランドです。
バイクアイテムの人気ブランド KOMINE
日本のバイクウェアブランド『KOMINE』は、高品質で本格的なウェアから、タウンユースにも対応するカジュアルラインまで幅広いバイクウェアを手がける、国内でもメジャーブランドの1つです。
一見普段着のように見えるプロテクター内蔵のジャケットや高い通気性のパーカーなど、機能性とリーズナブルな価格、ファッション性を兼ね備えたコストパフォーマンスの高いウェアを数々発売しています。
Komine Co.,Ltd. – 株式会社コミネ バイク,ウェア,レーシング,グローブ,スーツ,レザー
おしゃれなデザインが多い SIMPSON
アメリカ発のブランド『SIMPSON』は、バイクウェアのファッション性にこだわる人に特におすすめのブランドです。かっこいいバイクウェアと聞いて、真っ先にこのブランドを連想する人も多いでしょう。
ツーリングに適したウェアの他、レーサー向けの本格的なライダースーツも製造しているだけに、SIMPSONのウェアは機能性・実用性も備えています。
代表的なウェアは、高いデザイン性のライダースジャケットです。タウンユースとしてももちろん着こなせますが、レザー製なので、防寒や転倒時にもしっかり体を守ってくれるアイテムでもあります。
NORIX – Exporting & Importing to Japan
高品質のレザージャケット VANSON
『VANSON』もアメリカ生まれのブランドで、革製品の製造でバイカーファッションやアメリカンカジュアルを牽引したレザーブランドです。
中でもレザー製のライダースジャケットは、最高品質のトップグレインカウハイドを使い、独特の光沢と重厚感を持ち、素材やクオリティにこだわるライダーに高い人気を集めています。
SSに乗るときは?おしゃれに着こなすポイント
スーパースポーツバイク(SS)は、レースで走行するバイクに近いスポーティーなバイクです。このSSで公道を走るときのファッションをおしゃれにまとめるには、以下の2点を参考にしてみてください。
ライダースーツでビシっとキメる
サーキットを颯爽と走るイメージが強いSSは、レース仕様のようなバイクで、スポーティーな見た目という印象を持っている人も多いでしょう。
そんなSSに乗るときのファッションは、やはり本格的なライダースーツがおすすめです。
SSそのものがレース向けの本格的なバイクなので、それに合わせたファッションが適しています。ただし、公道を走った後にバイクを降りると、少々浮いてしまうこともあるかもしれません。
SSに乗るときのヘルメットは、やはりこちらも本格的なフルフェイスでまとめるとよいでしょう。
ストリート系ファッションでカジュアルに
公道をSSで走った後、公共の場で浮いてしまうのが気になるなら、ストリート系のTシャツやパーカー、スキニーデニムやジョガーパンツなどのカジュアル系のファッションを選んでみてはいかがでしょうか。
ただし、この場合はプロテクターがない服装になるため、安全面ではライダースーツより劣ります。一般的なバイクと同様に、関節や胸部、脊椎を保護するプロテクターを装着するのをおすすめします。
春夏のおすすめメンズコーデ
バイクは1年を通して楽しめますが、季節に応じたコーディネートで乗りたいものです。そこで、春夏のメンズ向けおすすめコーデをまとめました。
上半身に白を取り入れて爽やかな印象に
バイクウェアは暗めの色のものが多いですが、春夏に着る服は白を取り入れた明るめの色にしてみましょう。見た目が爽やかなだけではなく、暗色よりも日光を吸収しにくいため、暑さを和らげる効果も期待できます。
春の場合は、早朝や夜間に急に気温が急低下することもあるので、体温調節をしやすいように羽織れるものなどを用意しておくのもいいでしょう。
デニムジャケットで街乗りもおしゃれに
バイクに乗るときはレザージャケットが定番ですが、気温が高い時期は暑さがネックになりがちです。そこで選びたいのが、デニムジャケットです。
デニムならレザーよりも着やすく、ちょっと寒いときでも風を防いでくれます。普段着のひとつなので、バイクを降りた後も違和感がないのもメリットです。
吸収性や通気性の良い服で快適に
風を受けて走るバイクでも、気温が上がる夏は暑さを感じます。だからといって半袖・ハーフパンツは安全面でもNGです。そんな夏のツーリングでは、機能性の高いウェアを選びましょう。
メッシュ素材や綿素材は、通気性が良く汗をよく吸収してくれるので暑い時期でも比較的快適です。吸汗速乾素材を使用しているウェアなら、汗がすぐに乾いてサラサラの状態で涼しく過ごせるでしょう。
秋冬のおすすめメンズコーデ
秋冬のおすすめコーデは、寒さ対策がポイントです。また、カラーを変えておしゃれに見せることもできます。
ライダースジャケットでおしゃれにキメる
秋は快適な気温の日も多いですが、冬は寒い中で風を切って走るため、より寒さを厳しく感じる人も多いでしょう。夏の暑い中よりも、冬に走る方が苦手、というライダーも少なくありません。
そんな寒い時期は、見た目がおしゃれなだけではなく、防風性にも優れた定番のライダースジャケットの着用がおすすめです。
ただし、ライダースジャケットだけでは真冬の防寒対策が足らないこともあります。ジャケットの下にレイヤーとしてインナーダウンを着るなどの工夫をすると、暖かく過ごせるでしょう。
トレンドのカラーをコートにチョイス
秋冬コーデと言えば、暗めのカラーを選んでしまいがちです。少しでもおしゃれに決めたいのであれば、トレンドカラーを取り込んだコートを着てみましょう。
たとえば、その時々のトレンドカラーのコートを着て、ボトムスに黒いスキニーを選ぶと、スッキリとまとまったコーデに仕上がります。
保温性や保湿性のあるインナーで防寒対策
とにかく寒さから体を守りたいときは、インナーにもこだわってみましょう。保温性・保湿性のある冬向けの機能性インナーは、代表的なユニクロの『ヒートテック』をはじめとして多数販売されています。
機能性インナーだけではまだ足りない、という人には、電気で暖める電熱インナーを取り入れてみるのも1つの方法です。
電熱機能を持つ製品には、インナージャケットやパンツ、グローブなどが揃っているので、冷えが気になる部分に使ってみると、より強力な寒さ対策ができるでしょう。
バイクファッションをかっこよく着こなそう
バイクはただ乗るだけではなく、季節に応じてファッションにもこだわると、ツーリングも楽しくなります。
事故のリスクから安全性を第一に考えて、さらにファッション性にもこだわったコーディネートで、バイクとファッションを同時に楽しんでみましょう。