自作の小説を書きたい、そう思い立つ方は少なくありません。面白い小説を読んだり、誰かの作品を見て感動したりすると、私たちは「自分も誰かを感動させたい」「自分自身を表現したい」と考えるのがふつうです。
しかし、小説を書きたいと思い立った時に壁となるのは「ネタがない」ということ。どのようにしてネタを探せばよいのか、小説を書きたい方に向けてお伝えしていきます。
新しいアイデアを生み出す方法
まず、小説に限らず何かを生み出すためには核となるアイデアが必要です。アイデアを生み出すために必要なことがらはなんなのか、みていきましょう。
出力は入力から。いろんな情報を収集する
アウトプットをするためには、まずインプットしておかなければなりません。
創作と料理は似ています。冷蔵庫に材料がなければ、どれだけ素晴らしいレシピや器具があっても料理はできません。料理をしようと思ったら、まずは食材をたくさん用意することから始めるでしょう。
小説も同じです。幸いにも、冷蔵庫に入れた食材は腐りますが、脳に詰めた情報は腐りません。気になった作品や情報には、できるだけたくさん触れるように意識しましょう。
既存のネタ設定をちょっとだけ変えてみる
0から何かを生み出すことは不可能です。多かれ少なかれ、世の中にある創作は何かをベースにしていたり、何かから着想を得ているものばかりです。
ですが、まるごと同じでは創作とは呼べません。コピーになっていまいます。
まずは既存のネタや設定を自分のものにし、そこに変化を加えます。その変化がオリジナリティとなり、あなたの作品の色となります。
創作の世界では「守破離」と呼ばれる基本があります。
「守」すなわちまず型を知り、それを徹底的に守ります。次に「離」つまりその型を破る何かをみつけて、変化させます。最終的に、「離」つまり型から離れた自分なりの創作を見つけます。
ここで紹介しているのは、守破離の破の部分。破り方はいくつかありますので、ご紹介します。
単語を組み合わせて、奇抜な発想を生み出す
言葉はイメージや概念を含有しています。その言葉を組み合わせることで、全く奇抜で新しいイメージを生み出すことができます。
「海」という言葉には青や水、おおらか、音などの情報が詰まっています。あなたの想像した「海」はこの世の誰とも異なるオリジナルの海です。
この「海」という言葉と、「月」という言葉を組み合わせると、海に浮かぶ満月を想像できますよね。まんまるで、ふわふわと揺れる月の姿が思い浮かびます。
そして、海の月とかいて「海月(くらげ)」と読むことはご存知でしょうか。
初めてくらげに「海月」という名を付けた人は、海の月を眺めていたのでしょうか。すこし着眼点は異なりますが、このように言葉には単体でイメージが含有されています。
このようにイメージ同士を組み合わせるために、単語と単語を掛け合わせることは有効な手段です。
何も思いつかないときに。便利なお題サイト
お題を即興で与えてくれるサイトも存在します。
よく使われているのが即興小説トレーニング(http://sokkyo-shosetsu.com/)です。時間制限とお題が課されるので、「ストーリーを組み立てる」練習としてはもってこいでしょう。
他にもお題メーカーなどは複数存在しますので、それらに適当な情報を記入することで、小説のネタとなるお題が手に入ります。
そこから着想を得るも良し、そのまま執筆するも良し、自由に創作活動を楽しみましょう。
生まれたネタを展開させる方
小説のネタを出したら、今度はそのネタを展開させていきます。
どのような方法が効果的なのか、ご紹介します。
マンダラートで連想を広げる
マンダラートとは、マスを埋めるように思考を広げていく作業方法です。
白い紙の中心に大きな正方形を書き、その中にまた小さな正方形を9つ作ります。今度はその9つの中にさらに小さな正方形をそれぞれ9つずつ作っていきます。ここまでできたら準備完了。
まず一番真ん中の小さな正方形に、最も重要なテーマを記入します。
次は外側の8つの正方形の中心にある小さな正方形に、一番真ん中の正方形と付随するキーワードを記入していきます。
9つのキーワードが埋まった状態で、それぞれの周囲にある8つの小さなマスに連想できるキーワードを記入していきます。このようにしていくと、1つの主題に対し、80個もの関連するイメージが紐づけられ、アイディアがより具体的に浮かんでくるのです。
1987年に考案されたこの思考法は、現在でも多くの創作家に採用されている思考方法です。
マインドマップで構想を膨らませる
中心にキーワードやテーマを置き、そこから自由に着想したことを広げていく思考方法です。
漫画の吹き出しのように、キーワードを丸で囲み、関連するもの同士を線で繋ぎます。自由に、思いついたことを全て記入するのがコツです。
出来上がったものを見れば、頭の中で考えていたことがいかに固定観念にとらわれていたかがわかるはずです。自分の中にあったとは思いもよらなかった、斬新なアイディアや着想を得られるかもしれません。
5W1Hを埋めてみる
ぼんやりとした「書きたいもの」がある場合は詳しくその状況を想定してみるのも良いでしょう。
5W1Hでことがらを記載するメリットは、when(いつ)、who(誰が)、where(どこで)、what(何を)、why(なぜ)行ったのか明らかにし、how(どのように)行ったのかまで具体的に記すことで脳内のイメージが一気に広がるためです。
自分のイメージに具体性をもたせましょう。
創作の際に注意するといいこと
創作をしようと思い立った時に注意して欲しいことを3つにまとめました。
初めて創作を行うという方はぜひこのあたりを参考に、創作しやすい環境作りを心がけてみましょう。創作の効率やクオリティがぐんとアップするはずです。
いつでもどこでもメモをとる
メモをとらなければ、稀代のアイディアも思考の彼方へと流されていってしまいます。
ふと頭に浮かんだアイディアを、後になって思い出せず「あのアイディアは何だったっけ…」と悶々とした経験がある人は少なくないでしょう。
歯痒い思いをしないためにも、自分の思考を書き留められるよう常にメモを取る癖をつけておきましょう。自分だけが分かればよいので、きれいに書く必要はありません。
あとで読み返して、思い出せるヒントを残す要領で素早くメモを取りましょう。
アイデアがひらめく環境を知る
昔からアイデアをひらめくのは馬の上や厠、就寝前であると言われています。これを「三上」と呼びます。馬上、厠上、枕上の3つを並べた言葉です。
今に置き換えれば、車の中や通勤途中のふとした瞬間、お手洗いにいる時間、眠る前のうとうとした瞬間がひらめきの源泉といえるでしょう。
スマホがあればメモを取るのにも困らないので、どんなことでもひらめきだと思ったらメモをとるようにしましょう。
最初は自分勝手な妄想から
初めから完璧なストーリーをまるごと思い浮かべることはできません。
はじめは自分の中にある漠然とした妄想から始まり、その中に少しでも光るものを見つけられれば、その光を手繰り寄せるように魅力的な設定や世界観、人物などを思い浮かべていくのです。
どんな妄想であっても、自ら捨てることはありません。自由な発想を意識してみましょう。
行き詰ったら、感情をほぐすためのインプットを
アイデアは既存の知識の組み合わせです。
普通に生活していて、小説のネタ探しに行き詰った際には、インプットを試してみましょう。映画や音楽、小説だけでなく様々な表現物に触れて感情をほぐします。
感情がほぐれると、同じものを見てもまた違った感想を抱くことができたり、これまでは見えなかった角度からものごとを見つめることができます。
創作のお供にこの記事も大いに活用して、あなただけの小説を書き上げてください。