ビールは飲むだけでなく、時には調味料としても活躍するということをご存知でしょうか?今回はビールを料理に使う「ビール煮」の効果やふさわしい食材、おすすめレシピなどを紹介していきたいと思います。余ったビールの使い道を探している人も必見です。
ビールが調味料に?ビール煮の効果とは?
ビールの酵母が調味料として大活躍
ビールを醸造する時に使われる酵母が「ビール酵母」です。サプリメントや健康食品などにもよく使われていることで有名ですね。
ビール酵母にはビタミンB群を始め、ミネラル・アミノ酸・食物繊維などのたくさんの栄養素が含まれていて、継続的に摂取することで以下のような健康促進効果をもたらすとされています。
- 食物繊維による便秘予防・解消効果が期待できる
- ビタミンB群・たんぱく質・ミネラルなどによる美肌・美髪効果
- ビタミンB群によるエネルギー代謝の促進および、身体機能全体の活性化
そしてビール酵母に含まれるアミノ酸は、調味料としての肝にもなります。アミノ酸は旨味の詰まった栄養素であり、このアミノ酸がたっぷりと含まれたビールを料理に使うことで、料理に深いコクや旨味を加えることができます。
ビールの炭酸も料理をおいしくする
ビールに含まれる炭酸も、料理を美味しくする隠し味の一つです。たとえば、天ぷら粉に炭酸水を加えると衣がサクサクになるというのは有名な話です。衣の生地にビールを加えることで炭酸の気泡が衣に無数の空洞を作り、サクサク感をより強くしてくれます。
お肉を柔らかくする効果があるのも炭酸のメリットです。肉を柔らかくする方法の一つとして、煮汁を酸性かアルカリ性にするというものがあります。
上記の方法で煮ると、お肉の筋繊維タンパク質である「ミオシン」が分解されて繊維がやわらかくなり、間に水が入りやすくなることで保水力が増します。
ビールの炭酸は酸性にあたるので、炭酸がたっぷり含まれたビールで煮れば、お肉に柔らかみを出す事ができるという訳ですね。
ビール煮はどんな味?おすすめのビールは?
ビールの味が影響するビール煮
ビールを煮汁に使うと、若干ですがビールの風味や苦味が残ります。よってビールを調味料として使う時は、どのレシピ・食材に対して使うと美味しいのかを事前に調べておくのがオススメです。
まずオススメなのが先ほども少し触れた「肉類」。牛肉・豚肉・鶏肉どれでもベストマッチ!レシピの種類も豊富なので、ビール煮をしたい時は外せない食材候補ですね。
次に意外と合わせやすいのが「カレー」。隠し味として使うことでやや苦味が加わり、ビターで大人向けのカレーになります。
炊き込みご飯を炊く時に、水ではなくビールを加えて炊くのも有名なテクニックです。味にコクが加わりやすく、またほのかな苦味が味に奥行きを与えます。ご飯がパラっとしやすくなるのもポイント。
発泡酒でもビール煮は作れる
ビールとほぼ近い性質の発泡酒も同じく料理に活用することができます。ビールに比べると安値ですし、成分的に違うとは言え味には全く問題ありません。
特にお肉を煮るのであれば、炭酸がお肉を柔らかくしてくれるのでビールを使った時と何ら変わりなく仕上がるはずです。
ただしレシピによってはビールの糖分も重要になってくるので、糖質オフの発泡酒は避けた方が良いケースもあります。
またホップの風味を重視したいなら、使う発泡酒の種類にもこだわってみると良いですね。苦味を抑えたいならラガーのものを用いるなど、色々工夫してみてください。
しっかり煮込めば子どもも食べられる
ビールは78度前後で加熱することで、アルコール分を飛ばしてしまうことができます。よって、しっかりと沸騰させて加熱処理をする料理であれば、子供やお酒の弱い人に食べさせても問題ありません。
むしろお肉が柔らかくなるので、小さな子供でも食べやすく、喜ばれる一品に仕上がります。砂糖を少し加えることで苦味も抑えられますので、苦いのが嫌いな子供でも安心して食べられます。
逆に、漬物など加熱処理を施さない料理に調味料としてビールを使う場合、アルコール分を飛ばすことができないので、子供やお酒の弱い人には食べさせない方が無難です。
ビール煮はどんなお肉にもぴったり
定番で人気の鶏肉のビール煮
水を一切使わずに、ビールだけで煮込むことでお肉や具材が非常に柔らかくトロトロに仕上がる一品です。また作り置きのおかずとしても優秀で、レンジで温めなおしても柔らかさがキープされます。
ホロっと崩れそうなほどに柔らかくなった鶏肉と、トロっとして甘みあふれる玉ねぎのコラボレーションをぜひご賞味あれ。
【材料(2〜3人分)】
- 鶏肉…2枚(500g)
- 塩…小さじ1
- 黒コショウ…少々
- オリーブオイル…大さじ1
- タマネギ…1個
- パプリカ黄…1個
- ビール…200cc
- コンソメ…1個
【作り方】
- 鶏肉を一口大にカットし、塩と黒コショウ少々をふります。ここで下味をしっかり付けておくのがポイント。
- オリーブオイルを加えて中火で熱し、皮面から焼き始めしっかりと焼き色をつけてから、一度ひっくり返します。後から煮るので火はまだ通さなくてOK。
- タマネギとパプリカを薄切りにして、全体に油を絡めるようにさっと炒めます。
- ビールとコンソメを加えます。煮立ちが非常に早いため、蓋をせず弱火で煮込みましょう。
火が完全に通るまでには10分程度かかります。しっかり味を染み込ませたい場合は15~20分ほどじっくり煮込んでみてください。
黒ビールを使って豚肉のビール煮
黒ビールならではのコクと苦味を活かした一品で、少しビターな大人の味と玉ねぎの甘みがうまく共存しています。材料を切って煮込むだけと手順も簡単なので、ぜひ一度お試しくださいね。
【材料(2〜3人分)】
- 豚肩ロース…500g
- 玉ねぎ…1個
- 塩…小さじ1/2
- こしょう…少々
- 黒こしょう…適量
- オリーブオイル…大さじ1
- 黒ビール…350ml
- 醤油…大さじ1
【作り方】
- 豚肉を約3~4㎝幅に切り分けて塩で味付けし、玉ねぎは薄切りしておきましょう。
- 厚手の鍋にオリーブオイルを入れて、豚肉の表面に軽く焼き色を付けます。
- 黒ビールを入れてから沸騰させます。10分ほど弱火で煮込み、泡が目立たなくなってきたらアクを取りましょう。
- 玉ねぎを加えて蓋をし、弱火で40分ほど煮込みましょう。
- 醤油を加えて、蓋を少しずらし、再び弱火で30分ほど煮ます。
- お皿に盛り付け、黒こしょうをパラパラと振りかけて完成です。
トマトソースのビール煮はパスタにも
パスタソースにも使える、牛肉とトマトソースのビール煮です。煮込む時にローリエを加えることで、より風味・美味しさが増しますよ。
【材料】
- 牛切り落とし肉…200g
- マッシュルーム…8個
- 玉ねぎ…大1/2個
- にんにく…1片
- ホールトマト缶…1缶(約400g)
- ビール…1カップ(160ml)
- バター…10g
- みそ・トマトケチャップ・しょうゆ…大さじ1
- 塩こしょう…少々
【作り方】
- マッシュルームは縦半分に切り、玉ねぎは縦の薄切りにし、にんにくは包丁の腹でつぶします。
- 深めのフライパンか鍋にバター10gを溶かして、にんにくと玉ねぎを入れて炒めましょう。玉ねぎがほのかに色づいたら牛肉を加えてさらに炒めます。
- 肉の色が変わったらマッシュルームを加えて軽く混ぜます。
- ビールを加え、つぶしたホールトマトを缶の汁ごと加えます。
- みそ・ケチャップ・しょうゆを加えてさっと混ぜ、煮立ったらアクを取り、弱めの中火にして時々混ぜながら8〜10分ほど煮込みましょう。
- 煮汁が半分くらいまで減ってとろみが出てきたら、塩こしょうで味を調整して完成です。
ビールは野菜もおいしくする?
ビールで簡単、さくさくフリット
揚げ物用の衣を作る時は、ぜひ水ではなくビールを加えてみてください。ビールの炭酸によって衣のボリューム・サクサク感がアップします。
ビールを使った場合の衣の材料例としては、こちらがオススメです。
- 小麦粉…100g
- ビール…80~100g
- 塩…適宜
小麦粉を強力粉に変えることで、カリカリ感を出すことができるのでお好みで試してみてください。
もちろん野菜のフリッターにも使えます。野菜はしっかり水分を切ってから衣生地につけて、サッと揚げるのがコツです。
ビールで漬物もできる
ビール酵母は漬物の酵母としても代用できます。参考までにきゅうりのビール漬けのレシピを紹介しますので、ぜひ試してみてくださいね。
【材料】
- きゅうり…500g
- ビール…60cc
- 砂糖…90g
- 塩…20g
- 鷹の爪…1/2本
【作り方】
- ポリ袋に砂糖・塩・ビール・鷹の爪を入れておきます。鷹の爪は輪切りにして入れましょう。
- きゅうりを綺麗に洗ってから、一口サイズや輪切りなど、好みの大きさに切ります。
- 他の材料が入ったポリ袋にきゅうりを入れて、全体に調味料が行き渡るようしっかり揉み込みます。
- 冷蔵庫で約1日程度寝かせれば完成です。時々ひっくり返して揉み込む作業を加えることで、味がより全体に行き渡りやすくなります。
ビールはいろいろ使える万能アイテム
ビールが飲み切れず困っている時は、ぜひ調味料として使ってみてはいかがでしょうか。ビールは普通に飲むのが一番おいしい!と思っている人も、一度料理に使うとはまってしまうかも?様々な料理に使えるビールを、お好みのレシピで試してみてくださいね。