クラシックバレエに使われる用語はほとんどがフランス語です。音楽の世界でいえば楽譜が世界共通語であるように、バレエの世界ではフランス語が世界中のバレエダンサーとの共通語といえましょう。チャーミングな響きのフランス語を楽しみながら覚えましょう。
バレエ用語の基本「脚」
クラシックバレエでは、脚の位置が決まっていてポジションといわれています。1番から5番までの脚のポジションを覚えることから始まります。
アンディオール
En dehors:外側へ、外回しを示します。英語ではターンアウトともいいます。 つま先だけでなく脚の付け根から脚全体を外側に回すようにして立つこと。これがバレエの全てにおける基本です。最初は開ける角度を探しましょう。練習を重ながら徐々に開くようになります。
日本人は内股の人が多く、アンディオールで悩む人が多いといわれています。内股の骨格はバレエで大きな障害になります。アンディオールを自己流で練習したり、自宅やレッスンでも1人で練習せずに筋肉の使いかたを習うことをおすすめします。
プリエ
Plie:折りたたむということを示します。プリエはバーレッスンの最初に行うもので、脚の筋肉、関節のウォーミングアップ、回転やジャンプ、着地など全ての動きの基本となります。プリエができないと怪我の原因にもなります。
●ドゥミプリエ
小さいプリエ。膝をゆっくりと膝小僧が向いている方向に押し出していきます。かかとは床についたまま、頭から噴水が噴き出ているイメージを持ちながら少し膝を曲げます。
脚全体をアンディオールするので、膝もつま先と同じ方向を向いた状態です。初心者がいきなり行うと骨盤を急に開くことになり、怪我の原因になりますので慣れるまで少しづつ練習しましょう。
●グランプリエ
大きく深いプリエ。ドゥミプリエから、ゆっくり床に向けて下まで深く膝を曲げます。かかとは自然と床を離れます。背筋をまっすぐに伸ばし、身体の重心を安定させます。ゆっくりと立ち上がりドゥミプリエの状態へ戻ります。
グランプリエはドゥミプリエよりも深く膝を曲げますので、体幹が鍛えられていないとグラグラとなって、転倒する危険性があります。周囲にも十分に気を配って練習することをおすすめします。
タンデュ、ルルベ、クッペ、ジュテ
●タンデュ(Tendu)
張る、伸ばしきる、緊張させるなどを示します。前、横、後ろに膝を曲げないように、床を擦りながら出し、最期にかかとを上げ、つま先と甲を伸ばす。正式にはバットマン・タンジュといいます。バットマンは英語で打つです。
必ず両脚をアンディオールしながら行い、脚が止まっても外へ動くイメージを持ちましょう。つま先だけは床から離さず、脚全体をしっかりと伸ばしきることが大切です。
●ルルベ(Releve)
高く持ち上げることを示します。つま先立ちになった状態のこと。かかとをあげること 引き上げられたという意味。かかとが床についたアテールの状態から、指だけで立つポアントの状態に身体を引き上げるのですが、安定させること。
4番と5番のルルベがしっかりと引き上げられていないと、続くパに影響が出るので注意しましょう。初心者はまだ足裏の筋力が備わっていないので、ルルベでくるぶしが離れやすいです。ルルベをしっかりこなせるように練習しましょう。
●クッペ(Coupe)
切るということを示します。軸足を取り換える動きです。軸足の足首まで、もう片方をあげるがパッセのようにあげすぎない。
クッペはバレエ史最古のパであって、17世紀から20世紀にかけて「切る」概念をベースに運動形式を変化・派生させてきました。音楽の流れを切るものだったのが、ダンサーのエネルギーをシフトチェンジさせる仕掛けへと。
●ジュテ(Jete)
投げられたということを示します。正しい名称はバットマン・ジュテ。タンジュと同じプロセスを辿り脚を伸ばしきった流れのまま、つま先が床から10cmくらいの高さまで上げ、もとのポジションに戻す動きをします。
上がった脚はキープせずに降ろします。脚全体がつま先まで綺麗いに伸びきったという印象を残し、しっかりと伸ばしきります。脚を上げて戻す往復の流れを、テンポの速い動きで行います。
フレックスとポイント
日常生活で行わない動作に、つま先を伸ばすというのがバレエにはあって特有の身体の使いかたとなります。つま先が伸びているとは、言葉そのまま、縮こまらないとうことです。「フレックス」は脚を伸ばして座り、つま先を上げること。「ポイント」はつま先を伸ばすをことです。
バレエ用語の基本「腕」
基本の腕のポジションを表す言葉。ポイントとなるのは肘。肘を滑らかに動かすと優美な腕になります。肘が張っていることが大切です。指の先までもエレガントに見えるように表情豊かな美しい形を保ちましょう。
アンオー
En haut:「haut」は高い、上に伸びていることを示します。両腕は上にあげ、まるいポジションで。肩まで上に持っていかれないように肘は耳の横ではなく、視界に入るように斜め前に。
アラセゴン
a la seconde:「seconde」は2番目を示します。アンナバンから左右に腕を開きます。掌は身体の正面に、前を向けて腕は開きすぎずに掌が視界に入っているように。肘と腕全体をまるく。バレエの2番は両腕を横に広げたポジションということです。
腕だけではなく、脚の動きとポジションにも使われますので、横へとすぐに反応できるようにしておきましょう。
アンバー
En Bar:位置を示す「En」。下を示す「Bar」。アンナバンをそのまま降ろします。バーレッスンでは、このポジションで始まり、このポジションで終わります。肘を軽く横に張ってまるみを作ります。指先は太ももにつけないようにします。
バレエ用語の基本「ジャンプ」
アレグロなどで行われる小さいジャンプとグランワルツで行われる大きいジャンプの二つに大まかに分かれます。
シャンジュマン
Changement:交換・変更の意味。上に飛びながら、脚を前後に交換する動き
アッサンブレ
Assamble:集めるという意味。バレエでは片脚でジャンプして、もう一方の脚と同時に5番で着地するパのことです。パ・アッサンブレと同義で使われます。
グランパドゥシャ
Grand pas de chat:ピアノをグランドピアノと呼ぶようにグランドという形容詞は大きいを示します。パ(一連の動き)の前に付くことで大きな動作を示します。両脚で踏み桐両脚で着地します。華やかなジャンプです。
バレエ用語の基本「回転」
バレエの回転(ターン)はたくさん種類がありますが、代表的な回転はピルエットです。バレエに限らず、フィギュアスケートや体操でも回転技は華やかな技術で見せ場となります。
ピルエット
Pirouette:旋回するを示します。バレエの代表的な回転技です。2回転、3回転とピルエットを回れるようになると華やかですが、初心者は1回転するのも難しいので慣れるまで無理しないようにしましょう。
第4ポジションに立ち、片脚を軸にして右回り(ピルエット・アン・ドゥオール)、または左回り(ピルエット・アン・ドゥダン)に回転します。軸足でない方の脚はパッセ(膝を持ち上げて曲げる)にします。
シェネ
Chaines:鎖を示します。速いテンポで身体を連続的に回転させること。社交ダンス、新体操、ジャズダンスにもある動きです。
第5ポジションから片脚を前から横方向に出し、半回転づつ体重を左右の脚に移動させながら両脚でクルクルと回転します。回転中の脚のポジションは、第1ポジションを意識し、手のポジションは胸の前にくるのが基本です。
バレエ用語は世界共通語
バレエ用語はフランス語なので難しいと思いがちですが、響きがチャーミングで意外と覚えやすいです。バレエの世界では世界中のダンサーとの共通語になります。基本用語の意味が分かると、レッスンがより楽しくなることでしょう。