ゼロからはじめるジャズの世界。知識がなくてもジャズは楽しめる

2019.04.02

有名な音楽ジャンルのひとつでありながら、その詳細は意外と謎に包まれているジャズ。その楽しみ方や有名なミュージシャン、定番の楽曲を紹介します。「ジャズのことは全く知らなかったから、どんな音楽なのかイチから知りたい」という方は、必見です。

ジャズとはどんな音楽か

まず押さえておきたいのが、「ジャズとはどんな音楽なのか、何をもってジャズというカテゴリーになるのか」という、一番基礎的なポイントです。ジャズの定義について、知っていきましょう。

ジャズとは演奏スタイルのこと

「ジャズ」と聞くと、ドラムやコントラバス、管楽器、ピアノなどが絡み合うお洒落なバンドスタイルの音楽をイメージする方が多いのではないでしょうか。

ですが、ジャズは正確には音楽ジャンルというより「基本的なテーマメロディやコード進行を軸に、各プレイヤーがアドリブでテクニックやセンスを見せる即興演奏」という、演奏スタイルのことを指します。

耳に残るメロディからはじまり、それぞれのプレイヤーが曲の解釈やその場の感情を演奏に反映させていくジャズ演奏。そこには心地よさや緊張感など様々な空気が生まれ、その日その時間にしか味わえない展開を見せてくれます。

この自由でスリリングな演奏スタイルこそが、ジャズの最大の魅力です。

ジャズ特有のリズムがある

あくまで演奏スタイルを指すのが「ジャズ」とはいえ、必ずしもアドリブがなくても、演奏の雰囲気を聴けば「あ、これはジャズだな」と感じる方が多いのではないでしょうか。

そんな感覚的な「ジャズっぽさ」の要となっているのが、ジャズ特有の「リズム」です。自然と体が揺れるような、いわゆる「ノリ」という感覚のことを言います。

飛び跳ねるような躍動感のある「スウィング」というノリや、一歩ずつふらりと歩くような「シャッフル」というノリなど、ジャズには独特のリズム感があるのが特徴です。

知っておきたいジャズの歴史

独自の演奏スタイルやリズムによって成り立っているジャズですが、その音楽文化はどのように誕生し、ここまで広まったのでしょうか。ジャズの歴史の基礎を、ふり返っていきましょう。

ニューオーリンズでジャズは誕生

ジャズが誕生したのは1900年前後、ニューオーリンズが発祥の地とされています。

その音楽性の原点となったのは、アフリカ系アメリカ人の民俗音楽の、独特のリズム感覚です。そこに西洋的なサウンドが融合したことで、現在のジャズにつながる音楽文化が生まれました。

そんな原点があることから、ジャズはアフリカ音楽と西洋音楽の、両方を祖先とする音楽と言えます。

1920年代からジャズの中心がニューヨークへ

ニューオーリンズで生まれたジャズは、第一次世界大戦の影響などもあり、そのプレイヤーたちとともに北のシカゴへと拠点を移していきます。そこからさらに移動があり、1920年代には、ニューヨークがジャズの新たな中心地になりました。

1930年代に入ると、大恐慌時代の暗い雰囲気を明るく照らすようにジャズ文化は一気に発展します。そこから「スウィングジャズ」という古典的なジャズ文化が確立され、さらに現代的なモダンジャズに発展。フュージョンやアシッドジャズなど、現在も進化を続けながら広まっています。

おすすめのジャズプレイヤー3選

ジャズの概要が分かったところで、やっぱり知っておきたいのが「どんなプレイヤーが、どんな演奏を披露してきたのか?」という部分ですね。

基礎中の基礎として押さえておきたい、有名ジャズプレイヤーを厳選して紹介していきます。

ベニー・グッドマン

ベニー・グッドマンは、ジャズの発展期である1930年代から1980年代にかけて活躍したクラリネット奏者です。その卓越した演奏センスから「スウィングの王様」と呼ばれました。

クラシックなどの音楽にも精通していたグッドマンは、様々なジャズコンサートを通してジャズの認知度を大きく広めました。名門カーネギー・ホールで初めてジャズコンサートを開いた人物としても知られています。

また、ジャズの名曲中の名曲「シング・シング・シング」を、自身の楽団の代表曲として広めるという功績も残しました。ジャズの歴史を知る上で、欠かせない重要人物です。

フランク・シナトラ

フランク・シナトラは、1930年代から1990年代まで活動し、絶大な人気を集めたシンガーです。ポピュラー音楽の歌い手としてヒットを連発する一方で、ジャズシンガーとしても大きな注目を集めていました。

繊細で色気のある歌声を活かして、歌手活動だけでなく、映画への出演などもこなしています。日本ではどちらかというと、俳優としての彼の名前を聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

アメリカのエンターテインメント界で幅広く活躍し、ケネディ大統領とも親交があったりと、ジャズ音楽の枠を超えて大きな功績を遺した偉大なシンガーです。

マイルス・デイヴィス

アメリカのジャズトランペット奏者マイルス・デイヴィスは、世界で最も有名なジャズプレイヤーと言える存在です。

1940年代から本格的にプロとして活動し、「モード・ジャズ」と呼ばれる新たなジャズの楽曲構成論を確立。ジャズという音楽そのものを大きく発展させました。

長年自身のバンドを率いてライブシーンでも大活躍し、「モダン・ジャズの帝王」という異名で呼ばれました。デイヴィスのバンドからはチック・コリアやハービー・ハンコックなど、後のジャズシーンを代表するプレイヤーが多く生まれています。

さらに、デイヴィスは活動後期にはマイケル・ジャクソンやシンディ・ローパー、プリンスなどのポップミュージシャンとも交流を持ちました。生涯をかけてジャズ音楽の可能性を広げた、まさに偉人と言える存在です。

おすすめのジャズピアニスト3選

ジャズ初心者の方は、多くの人が親しみのある「ピアノ」からジャズに触れてみると、その感覚をつかみやすいかもしれません。

そんなジャズピアノの世界で知られる、代表的なプレイヤーを見ていきましょう。

バド・パウエル

バド・パウエルは、1940年代から1950年代にかけて活躍したジャズピアニストです。

高速でフレーズを奏でる右手、巧みなコードチェンジを見せる左手、というプレイスタイルが特徴で、スウィングジャズの中でもよりモダンな、ジャズの原点に立ち返ったビバップ・スタイルの第一人者でもあります。

晩年は薬などの中毒症状や精神障害に悩み、活動期間は他のジャズミュージシャンと比べて短めながら、数々の名演を残した偉大なジャズピアニストとして知られています。

彼が拠点をフランスに移してからの活動は、ジャズ映画の名作として知られる「ラウンド・ミッドナイト」のストーリーの元になりました。

デューク・エリントン

デューク・エリントンは、1910年代から1960年代という、ジャズの黄金期に活躍したピアニストです。

「A列車で行こう」などのジャズの名曲を手がけたプレイヤーとして知られており、映画音楽なども手がけて生涯で9回ものグラミー賞を受賞しました。

アメリカやフランス政府から勲章を授与されるなど、その功績はジャズ音楽を通して、世界的に評価されています。「20世紀最大のジャズ・ポピュラー音楽家」と評されるほどのミュージシャンです。

本名はエドワードですが、裕福な家庭出身の上品で洗練された立ち振る舞いから「デューク(公爵)」の愛称で親しまれていました。

オスカー・ピーターソン

オスカー・ピーターソンは、1950年代以降のモダンジャズの世界で活躍したピアニストです。

その最大の特徴は大型の88鍵を使ったダイナミックかつ繊細な演奏で、圧倒的なテクニックから「鍵盤の皇帝」というニックネームで話題を集めました。

代表曲にはポップナンバーとしてもジャズスタンダードとしても知られる名曲「酒とバラの日々」などがあり、正確なプレイングの中にもスリリングなアドリブを加える演奏スタイルは、インパクトを受けること間違いなしです。

ジャズ初心者が聞きたいジャズの名曲4選

最後に押さえておきたいのが、ジャズの歴史に残る「ジャズスタンダード」と呼ばれる定番曲たちです。ジャズスタンダードの中でも「これだけは聴いておきたい!」という名曲中の名曲を紹介します。

シング・シング・シング

シング・シング・シングは、おそらく世界で一番有名なジャズスタンダードのナンバーです。先に紹介した「スウィングの王様」ベニー・グッドマンの代表曲としても知られています。

日本でも、東京ディズニーランドや映画「スウィングガールズ」などをきっかけに広く知られています。軽快なドラムから始まるイントロを1分も聴けば、ほとんどの人が「聴いたことある!」と感じるでしょう。

「これぞスウィングジャズ」と言えるような、不朽の名曲です。

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン

ボーカルのあるジャズスタンダードとしては、最も有名な一曲です。ジャズシンガーのフランク・シナトラを象徴する曲でもあります。

ゆったりとしたリズムと、甘く伸びやかなメロディが魅力的なミディアムバラードとして、半世紀以上もの間親しまれてきました。

日本では、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマに使用されたことで広く知られています。アニソンの名曲として知られるこの曲が、実はジャズのスタンダードナンバーだったなんて、驚きですね。

In the Mood

ビッグバンドサウンドによる、スタンダードジャズの定番曲です。古き良きアンサンブルと軽快で明るいメロディ、聴いていてワクワクするような展開が魅力の、アップナンバーとなっています。

あまりにも有名なイントロのメロディは、日本でもCMや映画、ドラマ、バラエティ番組のBGMまで、幅広く流されてきました。聴けば誰もが「この曲か!」と気づく有名曲でしょう。

Moanin’

ジャズ界の巨匠アート・ブレイキーの代表曲です。静かな中にも各パートのアドリブソロが絶妙な緩急を生み出す、モダンで大人なジャズスタンダードとして愛されてきました。

また、アート・ブレイキーはジャズドラマーとして知られた人物ということで、「Moanin’」でもシンプルながらファンキーなドラムプレイが見どころとなっています。

「ノリ」に焦点をあてたジャズの名曲として、必聴の一曲です。

魅力的なジャズの世界へ

なかなか詳しく語られることの少ないジャズ。ですが、実は日常の中で気づかないうちに流れ、広く知られている音楽です。

定番曲を聴いてみたら「聴いたことがあった、知っていた」という方も多いのではないでしょうか。

そんなジャズ音楽ですが、同じ曲でもプレイヤーの個性が表れて違う印象になったりと、聴けば聴くほど奥が深い世界が広がっています。ぜひ色んな楽曲・プレイヤーを知って、自分好みのジャズを見つけてみてくださいね。

その他のテーマ

ART

CULTURE

CRAFT

FOOD

TIME