バイクのABSの必要性とは。義務化や後付、効果について

2019.03.24

バイクで走行中に、急ブレーキをかけてタイヤがロックし、ヒヤっとした経験がある人もいるのではないでしょうか?ライダーたちの安全を守るために、バイクへのABSの標準装備が義務付けられました。ABSの効果とともに、その必要性や特徴を解説します。

アンチロックブレーキシステム(ABS)とは

『ABS』とは、『アンチロックブレーキシステム』の略称です。125ccよりも大きな排気量のバイクにはABSを搭載しなければなりません。

また、50~125cc以下の排気量では、ABSかCBS(コンバインドブレーキシステム)の装備が必要となります。このABS・CBSと呼ばれる装置は、装備することでどのような効果が期待できるのでしょうか?

まだ、ABSやCBSについてよく理解していない人のために、それぞれわかりやすく解説します。

ブレーキロックを防止する装置

通常、ライダーはブレーキをゆっくりかけるように意識して走行しますが、思いがけず急ブレーキをかけてしまったときは、『ブレーキロック』が働きます。ブレーキロックとは、路面がタイヤを回す力が、ブレーキがタイヤを止める力に負けてしまい、速度に関係なくブレーキが車輪の動きを止めている状態のことです。

ブレーキロックがかかることによって車体を停止することができますが、急ブレーキによって転倒事故につながる可能性もあるため危険です。そのリスクを回避するために作られた装置がABSです。

ABSにより急ブレーキをかけたときにタイヤがロックするのを防ぎ、バイクの進行方向の安定性をキープして、ハンドル操作で障害物を回避できる可能性を高めてくれるのです。

ABSが装備されていれば、ブレーキ圧をコントロールしながら前後のタイヤがロックしないように、機械が自動でバイクのスピードを減速させるので安全性が高まります。

CBSは前後のブレーキに動作

『CBS』は、バイクに搭載されている『前後のブレーキを動作させる装置』のことです。ライダーのブレーキ操作の負担を少なくさせるだけでなく、いざというときには、最大限の制動力によって、スピードを減速させる効果があります。

CBSは、主にスクーターに採用されています。また、なかには『コンバインドABS』と呼ばれるCBSとABSを組み合わせたシステムが搭載されたものもあります。

自動車ではほぼすべてが搭載

ABSは、すでに、自動車ではほとんどの車両に搭載されています。

いざというときに急ブレーキをしてタイヤがロックしてしまうと、ハンドルが効かないため曲がれず、ロックされたタイヤの摩擦だけでスピードを落とすため、車両が停止するまでの距離が長くなってしまいます。

車のABSは、力強くブレーキペダルを踏みこんだ時に作動します。ロックしたブレーキを緩め、またフルブレーキをかけるという動作を自動的に素早く繰り返し行って、安全に車を停止させてくれるのです。

ABSの必要性や効果について

ABSの仕組みを理解しても、本当に必要なのかまだ理解できていない人もいるのではないでしょうか?ABS標準装備化されることで、生命にかかわる深刻な事故の1/4を防止できるとの見解もあります。

ここでは、ABSの必要性や効果について解説しましょう。

急ブレーキ時のスリップや転倒を防ぐ

走行中に思い切りブレーキをかけると、前後のタイヤがロックされるため、転倒もしくはスピンを起こして重大な事故につながる可能性が高くなります。

しかし、ABSが搭載されていれば、急ブレーキでバランスを崩してしまうパニックブレーキや、濡れて滑りやすくなっている路面で発生しやすいブレーキロックを防止して、バイクの転倒を防ぐことが可能です。

このように、ABSによってバイクで転倒に繋がる危険性が高いブレーキロックを解除することで、転倒の危険性を少なくして、安全に減速することが可能になります。

制動距離が短くなる

ABSを搭載しているバイクでは、制動距離がほとんどの場合で短くなります。制動距離とは、ブレーキが作動してからクルマが止まるまでに走行する距離のことです。

ABSは、ロックがかかりそうなブレーキ圧を検知すると、ロック直前の最適な制動力を発揮する状態に自動的に制御してくれます。安全かつ的確なブレーキをかけて制動距離を短くするので、もしもの場合の安全性をより高められます。

ABSを過信しないことが大切

ABSは、あくまでもライダーたちの運転を支援するための装置です。そのため、ブレーキ自体の性能を向上させたり、あらゆる環境下でも有効に機能するわけではありません。状況や環境によっては、ABSを搭載していても制動距離が長くなる場合もあります。

また、コーナリング中に車体が横滑り状態になってしまった場合には、ABSでは対応できません。このように、ABS機能にも限界があるため、システムを過信せずに、常日頃から、安全運転を心がけましょう。

ABSの後付けは可能か

最近は、すでにABSが標準装備されている車両が多く販売されています。しかし、既にバイクを所有している人のなかには、ABSが搭載されていない車両に乗っている人もいるのではないでしょうか?

ABSが搭載されていない車両を購入後、ABSを後付けしたいと考えている人も多いはずです。

ここでは、ABSの後付けに関して解説します。

複雑な構造のため後付は基本不可

最近のABSは、一昔前のABSに比べると軽量化され、さまざまなタイプのバイクに搭載されています。ABSの搭載有無による価格の違いも10万円未満なので、これから購入する人は、ABSが搭載されたバイクを購入したほうが良いでしょう。

また、ABS非搭載のバイクにABSの後付けは基本的にはできません。なぜならば、ABSは、複雑な構造で取り付けられているからです。

ただし、すべての車種が後付けできないというわけではありません。ABSが設定されている車種であれば、ABSユニットにコンピュータやディスク等の装備類を全て取り付ければ搭載は可能です。取り付けには、ディーラーや専門店を訪れて相談してみましょう。

電子制御のため、市販のキットでは難しい

市販品のABSキットを購入して後付けする場合には、ABSが設定されている車種であれば可能です。

しかし、市販品のABSキットは、あくまでも急ブレーキをかけたときに油圧を逃がす役割しかできないため、ABSのようにセンサーで感知する電子制御システムではありません。

そのため、市販のキットはあくまで簡易的な、ABSとは原理的に異なるものだと知っておきましょう。

法律により取り付けが義務化

国土交通省は2015年1月に、道路運送車両の保安基準等を改正にあたり、二輪車の制動装置について『先進制動システムの装備を義務付ける』ことに決定しました。

これによって、バイクにはABSもしくはCBSの取り付けが義務化され、取り付けていない場合には違反となるため注意が必要です。

ここでは、取り付けの義務化の開始日と、継続生産車はいつまでなのかについて解説します。

2018年10月1日から適応

『2018年10月1日』より126cc以上のバイク には一定の技術的要件に適合したABSが必須となっています。制度としてABSを義務化するためには、装置の小型軽量化・高精度化が重要なポイントであり、問題をクリアするためには長い時間がかかりました。

また、原付(51~125cc)にも、126cc以上と同様に一定の技術的要件に適合したABSもしくはCBSのどちらかを取り付けなくてはなりません。

ただし、原付一種(50cc 以下)については、ABSもしくはCBSの取り付け義務化の適用外となっています。また、オフロード競技で使用されるエンデューロ車とトライアル車も適用外です。

これによって、二輪自動車・原付二種とも、新型車については2018年10月1日から義務化が始まっています。

継続生産車は2021年開始

2018年10月以降に販売するバイクには標準装備が義務付けられますが、以前から販売されている継続生産車については、2021年10月1日から開始です。

また、型式指定を受けていない輸入車等についても、国内メーカーと同様に2021年10月1日から開始となっています。

ABSにデメリットはあるか

ライダーたちの安全性を高める役割のABSは、ブレーキロックを心配することなく、安心して走行するためには欠かせない機能です。安全面においては、非常に優れた基装置ですが、メリットばかりではありません。

ここでは、ABSのデメリットについて紹介します。

バイクの重量が増える

ABSを搭載することで、同じモデルの非搭載バイクよりも重量が約3~5㎏ほど重たくなります。峠などをよく走る人の場合には、下りカーブでABSによる重量感で違和感がある人もいるようです。

また、舗装されていない道路の走行を考慮した軽量なオフロードモデルでは、重量が気になるかもしれません。

しかし、公道を走る一般的なタイプのバイクであれば、以前に比べると大幅に重量が軽量化されているため、そこまで変化は感じられないはずです。

バイクの価格が高くなる

ABSを搭載したバイクは、非搭載のバイクの販売価格と比べるとやや高くなります。

車種によっても価格の設定が異なりますが、現段階では4~6万円程度価格が高く設定されています。しかし、義務化によって今後はABSを搭載したバイクが量産されていくため、ABSのコストは抑えられる可能性もあるでしょう。

サーキットなどでは意図しない動作

一般道では、ABSがあることでバイクの転倒を防止するなどメリットも多いABSですが、一般道とは異なる走りをするサーキットなどでは意図しない動作が起こることもあります。

たとえば、かなり攻めて走ってコーナリングをするとき、コーナー直前にブレーキをかけます。このときに、前後のタイヤにABSが作動してしまうと、コーナリングがうまくできず、また、止まらないというアクシデントが起こりうる可能性があるのです。

ABSは装備が義務化。有無を必ずチェック

ABSは、2018年10月1日より義務化が開始されています。バイク事故の多くのケースが、転倒によるものです。

自分の身の安全を守るためにも、これからバイクを購入する人は必ずABS(125cc以下の場合はABSもしくはCBS)の装備の有無を確認してください。

 

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