本を保護するためのブックカバーは、デザインや素材にもこだわればお洒落アイテムとしても活躍します。特に、本革製のブックカバーは、読書好きの大人として一つは持っておきたいアイテムです。本革製ブックカバーの魅力や、おすすめ商品などを紹介します。
本革製ブックカバーの魅力
紙や布など、ブックカバーの素材には多くの種類がありますが、中でも本物志向の大人を惹きつけてやまないのが『本革製のブックカバー』です。
持っているだけで上品なお洒落さが漂う本革製ブックカバーの魅力に迫ります。
同じものは一つもないオリジナルの表情
そもそも『革』とは、元は『皮』であったものを腐敗させずに長く使えるよう加工を施したものです。
革の細かい製造過程は、職人や業者によって違うため、同じ動物の皮を加工したものでも、革製品に仕上がったときの表情は一点ずつ異なります。つまり、革製品に同じものは一つとしてないのです。
この個性こそが革製品の魅力であり、『自分だけのもの』を求めるこだわりの強い大人が革を愛用する理由でもあります。
使うほどに色艶や風合いに深みが出る
革製品は、使い込むほどに色艶が変化して風合いに深みが出てくる、『経年変化』を楽しめるのも魅力です。使えば使うほど味が出るのが革の特徴で、店で手に取ったときと、しばらく使い込んだ後とでは大きく印象が異なります。
特にブックカバーの場合、使用時は必ず手に持つため、ほかの革製品に比べてより経年変化がわかりやすいというメリットがあります。
見た目の変化はもちろん、使うほどに手に馴染んでいく感覚も味わえるため、長く使えば使うほど愛着も湧いてくるでしょう。
何ともいえない手触りのよさ
革製品の人気の理由の一つに、独特の手触りのよさが挙げられます。手に取ったときの何とも言いようのないフィット感は、ほかの素材では味わえない革ならではの魅力です。
革の種類や加工の仕方によって、柔らかいものから硬めのもの、サラサラしているものから滑りにくくなっているものまで、さまざまな手触りのものがあります。
どの革製品でも使っていくうちにどんどん手に馴染んでいくため、ブックカバーの素材として革はとても優秀です。
本革ブックカバーを選ぶ時のポイント
店やオンラインショップを覗くと、さまざまな本革ブックカバーが売られているでしょう。
デザインや手触りのよさで選ぶのも大切ですが、ブックカバーとして使いやすいものを選ぶためには、ほかにもいくつかポイントがあります。
自分好みの本革ブックカバーを選ぶためには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。
文庫・新書・単行本などサイズで選ぶ
本は、大きいハードカバーや持ち運びやすい文庫本など、物によってサイズが違います。そのため、ブックカバーを買う際には、普段自分が読む本のサイズに対応したものを選ぶことが重要です。
ブックカバーの中でも特に種類が多いのは、文庫本サイズと新書サイズの2種類です。
日頃からよく小説を読む人は文庫本サイズのブックカバーを、ビジネス本を読むことが多い人は新書サイズのものを選ぶとよいでしょう。
カーフやピッグスキンなど革の種類で選ぶ
一言で革と言っても、その種類は豊富です。種類が違えば見た目や手触りも異なるため、数ある中から自分好みの種類を選ぶのもよいでしょう。
たとえば牛革は強度が高く、未使用の状態では硬めの手触りが特徴的です。牛革の中でも特に最高級品とされるのが、生後6カ月以内の子牛の革である『カーフ』で、滑らかできめの細かい手触りが感じられます。
また、牛革よりも軽くて通気性のよいものをという場合には、豚革という選択肢もあります。
手触りのよさが特徴の『ピッグスエード』や、艶のある飴色が特徴でカーフに並ぶ最高級品と称される『アメ豚』など、その種類はさまざまです。
革のなめし方や仕上げ方で選ぶ
革のなめし方は、『タンニンなめし』と『クロームなめし』の2種類に大きく分かれます。タンニンなめしは古くから伝わる伝統的な方法で、植物樹皮から抽出したタンニンで皮をなめします。
タンニンなめしで作られた革は、経年変化によって独特の風合いと手触りを楽しめるのが特徴です。
一方クロームなめしは、現代の主流となっている方法で、硫酸クロムを使って科学的に皮をなめします。経年変化を楽しめないというデメリットもありますが、比較的安価で発色が鮮やか、かつ軽いというメリットがあります。
また、仕上げ方にも注目すると、よりお気に入りの革が見つかりやすくなるためおすすめです。
柔らかな肌触りが売りの『オイルレザー』、傷が目立ちにくい『シュリンクレザー』など、仕上げによって製品の印象も大きく変わります。
縫製や細かい部分の処理方法にも注目しよう
使用感や機能性は手に持ったときの印象や革の種類によっても異なりますが、製品自体の品質を見極めたい場合は、縫製や縫い目の正確さなどに注目しましょう。
縫い目が見える場合はきちんと真っ直ぐになっているか、また、糸の結び目はしっかりと処理されているかなど、細かい仕事に注目すると製品にどれだけ手がかけられているかがわかります。
また、デザインにこだわった製品の中には、縫い目が見えないように工夫する『忍び縫い』が施されているものもあります。
ブックカバーのように人目につきやすいアイテムは特に、このように細部が丁寧に処理されているものを選びたいものです。
5000円以内のお洒落な本革ブックカバー
本革ブックカバーには高価なイメージがあるでしょうが、中には5000円以内で購入できるリーズナブルなものもあります。本革ブックカバーに初挑戦の人でも手を出しやすい、安くてお洒落なブックカバーを紹介します。
名入れOKで安い Boosters ブックカバー
一枚革の牛革で作られているため、縫製の跡が目立たないスタイリッシュなデザインのブックカバーです。タンニンなめしのため使えば使うほど手に馴染んで、見た目の経年変化も楽しめます。
さまざまな厚みの文庫本に対応可能で、本の厚みに合わせてブックカバーを取り換える手間が減るのも嬉しいところです。
低価格でありながら高品質で、名入れサービスを頼むこともできます。
- 商品名:Boosters ブックカバー
- 価格:2376円(税込)
- Amazon:商品ページ
カラバリ豊富 BIBLIOPHILIC スエードブックカバー
浅草の老舗皮革メーカー『三竹産業』が制作を手掛けた、純国産のピッグスエードを使用した色鮮やかでソフトな手触りのブックカバーです。
強度と機能性を兼ね備えた革を、絶妙な薄さまで削ったことにより極上のフィット感が実現しています。
折り返し部分に縫製が入っていないため、本の厚みの変化に対応しやすく、折り返しはそのまま栞にも使用できます。
豊富なカラーバリエーションを生かして、毎日の服を選ぶように気分によって使い分けられるポップなアイテムです。
- 商品名:BIBLIOPHILIC SUEDE BOOK COVER 新書
- 価格:2592円(税込)
- diskUNION:商品ページ
無骨で力強い HERZ ブックカバー KB-4
牛革製の、厚めに作られた丈夫でシンプルなブックカバーです。硬めの革を使用しているため、使いはじめは表紙部分が綴じきらないほど張りがあります。
たくさんの本が入るよう大きめに作られているのが特徴で、600ページを超える長編小説でもしっかりと収納可能です。Sは文庫本サイズに、Mは新書サイズに対応しています。
長く愛用されることを念頭に置いて作られているため、手や本にフィットするには若干時間がかかります。その分、使うたびゆっくりと手に馴染んでいく感覚が実感できる、『革を育てたい』人におすすめの一品です。
- 商品名:HERZ 革ブックカバー
- 価格:4320円(税込)
- Amazon:商品ページ
1万円までのおすすめ本革ブックカバー
5000円未満でも本革ブックカバーは手に入りますが、少し予算を上げるとさらに選択肢が広がります。1万円以下で購入できる、こだわりの本革ブックカバーを紹介します。
ヌメ革の素の表情 ミドリ 文庫カバー
丈夫でありながら軽くしなやかな手触りが特徴のヤギ革ブックカバーです。タンニンなめしの革を無着色で仕上げているため、革本来の風合いが残っており、経年変化も楽しめます。
動物が元々持っている皮膚の模様『ナチュラルスタンプ』を生かすことで、シンプルかつ味のあるデザインになっています。余計な装飾や縫製を極力省いた、革そのものの表情と向き合える上質なアイテムです。
- 商品名:ミドリ ノートバック
- 価格:7470円(税込)
- Amazon:商品ページ
ムラ感が絶妙 HERGOPOCH 06W-BCブックカバー
タンニンでなめした革を蝋でコーティングすることで、美しい艶と味のあるムラ感を出したこだわりのブックカバーです。ナチュラルなステッチと滑らかな手触りが革愛好者の心をくすぐります。
折り込み部分の縫製が片面に留められているため、さまざまな厚みの本に対応できます。カバー上部にブックマーカーがついているのも注目ポイントです。
- 商品名:HERGOPOCH ブックカバー
- 価格:7560円(税込)
- Amazon:商品ページ
精巧な仕上げ CYPLIS ブックカバーシラサギレザー
日本の皮革ブランドの中でも名高い『CYPLIS』で最も人気のシリーズ、『シラサギレザー』を使ったブックカバーです。内面には蝋で加工したヌメ革を合わせ、強度と美しさに磨きをかけています。
素材を生かすため染色は最小限に留め、その代わり表面にグレージングをかけイタリア製の薬品を用いてアンティーク調の仕上げを施しています。
使いやすさ・手触り・見た目の美しさの三拍子が揃ったワンランク上のブックカバーです。
- 商品名:CYPLIS ブックカバー シラサギレザー
- 価格:9720円(税込)
- Amazon:商品ページ
1万円超え憧れブランドの本革ブックカバー
自分へのご褒美や大事な人へのギフトとして、高級本革ブックカバーはいかがでしょうか。1万円以上の予算で本革ブックカバーを探している人におすすめの商品を紹介します。
GLENROYAL ブックカバー
天然のなめし材を使い、イギリスの伝統的な製法によって職人が手作業で仕上げた最高級品『ブライドルレザー』を贅沢に使用した、大人のためのブックカバーです。
丁寧に作り込まれた本革は、革でありながら高い耐久性と耐水性を誇ります。長年使い込むことでじっくりと経年変化が楽しめる、極上の一品です。
- 商品名:GLENROYAL ブックカバー
- 価格:1万260円(税込)
- Amazon:商品ページ
Whitehouse Cox 本革ブックカバー
英国御三家の一つである老舗イギリスブランド『Whitehouse Cox』による、シンプルで上品なブライドルレザーのブックカバーです。
使いはじめは革が硬く、馴染むまで時間がかかりますが、経年変化とともに『革を育てる』楽しみを味わうことができます。丈夫で傷が目立ちにくいため、長く使うのにぴったりです。
- 商品名:Whitehouse Cox 文庫本用ブックカバー
- 価格:1万5120円(税込)
- Amazon:商品ページ
BOLDRINI SELLERIA ブックカバー
1955年に創設されたイタリアの老舗ブランドによる、定番な形をモダンに表現したお洒落なブックカバーです。
素材の皮は厳格な審査を経た後、タンニンなめし加工され、熟練の職人によって全工程手作業で仕上げられます。吸いつくようなフィット感と気品漂う艶やかな見た目で、本物志向の大人から支持を集めるアイテムです。
- 商品名:BOLDRINI SELLERIA ブックカバー
- 価格:1万9440円(税込)
- 楽天:商品ページ
革の美しい表情を引き出すメンテナンス方法
本革ブックカバーを綺麗に長く使うためには、適切なメンテナンスが必要です。革の美しい表情を引き出すためのメンテナンス方法を紹介します。
革の種類によって手入れは変わる
革は種類によって手入れの方法が違います。たとえば、牛革の中でも最高級品とされるカーフのように、柔らかいがゆえに傷つきやすい種類の革は、汚れを拭きとる際には乾いた布で優しく拭うのがよいとされています。
一方、同じ牛革でも分厚く硬い『ステアハイド』と呼ばれる種類だと、汚れを拭きとる際には柔らかな布を硬く絞り、水気が革に染みこまないようサッと拭うのがポイントです。
本革製品の手入れをする場合には、革の種類に合った手入れの仕方を確認してから行うようにしましょう。
基本はブラッシングと乾拭き
革製品の基本的な手入れは、ブラッシングと乾拭きです。乾拭き用の布には綿などの天然素材を用意しましょう。逆に、パイル地のようにファスナーに巻き込まれやすい素材は避けた方が無難です。
ブラッシングは全体を撫でるように優しく行いますが、特に埃が溜まりやすいステッチ部分はブラシを細かく動かして丁寧に汚れをとりましょう。仕上げに柔らかい布で乾拭きをすれば完成です。
革が乾いてきたらクリームやオイルを少量
革の手触りがカサカサと乾燥したものに感じられたら、クリームやオイルなどを使って潤いを取り戻しましょう。革専用のクリームやオイルを柔らかい布に少量とって、全体に行き渡るように薄く素早く伸ばすのがポイントです。
クリームもオイルも、乾いていない革に塗ったりつけすぎたりしてしまうとシミになってしまいます。そのため、革の状態をよく見て必要なときにだけ、少量を塗ることが大切です。
防水スプレーを使うならフッ素系がおすすめ
防水スプレーには、シリコン系とフッ素系の2種類があります。革に使うものとしては、シミになりにくく通気性を損なわないフッ素系のものがおすすめです。
防水スプレーを使うと撥水効果が期待できるだけでなく、汚れをつけずに綺麗な状態のまま革を維持できますが、経年変化はしにくくなってしまいます。
そのため、革の経年変化を楽しみたい人は、雨が降る前日に限って防水スプレーを使うなど、タイミングを絞って使用するようにしましょう。
端切れ革を使ったブックカバーの作り方
本革ブックカバーを探してはみたものの、予算内では気に入るものが見つからない場合や、既製品ではなく完全オリジナルのブックカバーが欲しくなる場合もあるでしょう。
本革ブックカバーはプロでなければ作れないと思われがちですが、実は材料と道具さえ揃えれば自分で作ることが可能です。端切れ革を使ったブックカバーの作り方を紹介します。
必要な材料と道具
本革ブックカバーを手作りするために必要となる主な材料は、革の切れ端・麻糸・ボンド・型紙用の紙・コバ処理剤・床面処理剤です。
道具は、キリ・カッターナイフ・カッターマット・ヘラ・ヤスリ・縫い針・菱目打ちを最低限揃えましょう。縫い針と菱目打ちはレザークラフト用のものを用意するのがポイントです。
作り方自体は意外に簡単
作り方はシンプルです。まず、型紙を当ててキリで目印となる筋を入れてからカッターで裁断します。裁断が終わったら、ザラザラと毛羽立っている革の床面にヘラで床面処理剤を伸ばして磨きましょう。
次に、コバと呼ばれる革の切れ端の断面に、コバ処理剤をつけてヘラで磨き、ヤスリをかけます。
ヤスリで削った部分にボンドをつけ、革と革を貼り合わせたら、接着するまで圧迫しましょう。この部分が、本の表紙を差し込む折り込み部分になります。
最後に、この折り込み部分に菱目打ちで等間隔に穴を開け、麻糸で穴を縫い付けたら完成です。
縫い目の見栄えをよくしたい場合は、縫い終わった跡のコバに軽くヤスリをかけ、コバ処理剤で磨くと整った印象になります。
美しい本革ブックカバーで読書を楽しんで
本革ブックカバーは、シンプルでありながら上品さと高級感が漂う大人向けの読書アイテムです。
革は種類や加工の仕方によって手触りや見た目の印象が異なるのに加えて、経年変化によって表情に深みが加わる楽しみがあります。
手頃なものだと5000円未満で買えるのはもちろん、自分で作ることも可能です。もちろん、予算を上げれば職人のこだわりが詰まった最上級品を手に入れることもできます。
休日には手入れをして革が育っていく感覚を味わいながら、美しい本革ブックカバーで読書を楽しんでみてはいかがでしょうか。