音楽ジャンルは分類が難しい?歴史背景や効果を理解して聴いてみよう

2018.07.31

音楽にはさまざまな種類があり、それを分類する方法があります。音楽ジャンルについて深く知ると、新しい発見があるかもしれません。ジャンル別に、音楽の歴史的背景や音楽を聴く効果などを紹介します。異なる角度から音楽をさらに楽しみましょう。

音楽ジャンルがわからない人は多い?

『音楽にジャンルはない。あるのは良い音楽と悪い音楽だけだ。』という名言は、アメリカのジャズの大御所『デューク・エリントン』のものです。この言葉は、音楽の分類に気を取られずに、純粋に音楽を楽しもうという意味で発言したものです。

彼の発言は、音楽と向き合った時にはうなずけますが、現実的にはカテゴリー分類がないと大変な不便が生じ、音楽の売り手にも聞き手にも必要不可欠なものになっています。

たくさんの音楽ジャンルがありますが、具体的にはどんなジャンル分けがあり、一体いくつくらいのジャンルがあるのでしょうか。

洋楽と邦楽の違いは英語と日本語の違い?

『洋楽』と『邦楽』は、言語が違うことからジャンル分けされますが、実は音楽そのものの特徴も異なります。

『洋楽』つまり、英語の歌では、1つの音符(音)の中に、まるごと『単語1つ』を当てはめて歌われる場合が多くあります。しかし『邦楽』である日本語の歌では、1つの音符(音)の中には『1文字』(「あ」・「い」など)を割り振るのが基本です。そのため曲の印象が異なってくるのです。

また、伝統的な邦楽は『メロディ優先』なのに対して、洋楽は音に厚みがあり『立体的な構成』です。教会のゴスペルやオーケストラの音楽を思い浮かべてみてください。

このように、1音に対する感覚の違いや、構築形式が違うため、洋楽と邦楽を分けるカテゴリーの存在は納得がいくことでしょう。

音楽ジャンルの分類は定義が複雑多岐

音楽のジャンル分けは、『音やリズムの特徴』で分類することが多く、大多数の人が知っているものです。

  • クラシック
  • ロック
  • ジャズ
  • フォークソング

また、『洋楽と邦楽』のような『発祥地域が異なる』ジャンル分けもあります。

  • 邦楽
  • 洋楽
  • ラテンミュージック(中南米)
  • レゲエ(ジャマイカ)

用途やスタイル別では下記のようなものがあります。

  • 国家→国歌
  • 軍隊→軍歌
  • 子供→子守歌・童謡

楽曲新旧によるジャンルは

  • 古い時代に生まれた楽曲→クラシック・民謡など
  • 最近に生まれた楽曲→現代音楽・前衛音楽など

など、ジャンルは多義にわたります。

ジャンルが一覧になったマップ

音楽のジャンルを、特徴別分類で1387に細分化して紹介した分布地図があります。

上方向には機械的な音・下方向には生声や生演奏の楽器音・左方向には激しく密集した音・右方向には弾むダンス風で分布しています。

あるジャンルの上でクリックすると、該当する『アーティスト名』が相関関係を持って別の地図上に標され、それぞれに演奏するフレーズを聴くことができます。

大まかなジャンル分けの中での代表的な分類

百貨店や飲食店など、日常生活のBGMとしても聞く3つの音楽カテゴリーについて紹介していきます。

クラシック

クラシックは『西洋の芸術音楽』の総称です。クラシックというカテゴリーは、大変古くからあるジャンルです。現在のクラシックの基本は17世紀に基礎ができあがりました。

クラシックというと昔の音楽を思い浮かべがちですが、音楽様式を変えながら、現在でも作り続けられています。

ジャズ

1920年頃にアメリカ南部で生まれたジャズは、『黒人独特のグルーブやリズム』と『西洋の音楽』が混合してできた音楽ジャンルです。時代ごとに変遷があり、楽曲の解釈はミュージシャンによって自由なので、1つの曲でもまったく違う曲に聴こえることもあります。

日本にはジャズを聴ける『ジャズ喫茶』が古くからあり、ファンは音質の良いジャズを聞いたり、ジャズ談義をしに通ったりした人も多くいました。現在は数少なくなっており、貴重な存在となっています。

ロック

ロックの始まりは1950年代の米国です。ジャズやブルース・カントリー・フォークソングなどの音楽が融合して生まれました。当時はロックと略せず『R&R(ロックン・ロール)』と呼ぶのが一般的でした。

ロックは基本的には『バンド編成』で成り立ちます。エレキギターやエレキベース、ドラムスが基本の楽器編成です。

クラシックの歴史

クラシックは西洋で発展してきた音楽形態です。起源は口伝えで物語を歌った『吟遊詩人』の音楽などが、『グレゴリオ聖歌』などで有名な教会音楽などと合わさり、クラシック音楽と呼ばれる様式へと繋がっていきます。

ルネサンス音楽とバロック音楽

14世紀頃から始まった『ルネサンス』は、イタリアが中心でしたが、『ルネサンス音楽』というとフランスの一地方やベルギーからの新しい流れのことを指します。

その後、17世紀になると『音楽の父と呼ばれるバッハ』によって普及した『平均律』が現在の音階の基礎になりました。バイオリンやピアノなどが完成し、『クラシックの礎』が完成しました。バロック音楽は『低音部が一貫して響いている』のが特徴です。

クラシック音楽の完成

18世紀末~19世紀始めには、モーツァルトやハイドン、ベートーヴェンなどによって『古典音楽(クラシック)』が完成します。

バロック音楽の様式は古いものとされ、それ以前の『多声音楽(全パートに主従関係がない異なる旋律で構成される形式)』からも刷新され、新しい音楽様式が生まれました。メロディと伴奏から構成される『ホモフォニー』が主流の音楽様式です。

また、音の起承転結が複雑な形で織りなされる『ソナタ形式』を使った交響曲や室内楽、ピアノ音楽などが多く生み出されました。19世紀後半のショパンやチャイコフスキーらの『ロマン派音楽』に続いていきます。

ジャズの歴史

ジャズは19世紀末頃に、黒人が多く住んでいたアメリカ南部の『ニューオリンズ』で生まれました。黒人が受け継いでいる『アフリカ独特のリズム感』やブルースやラグタイムなど、この時代にあった『西洋の音楽形式』とが融合して生まれました。

黒人文化の中で育まれたジャズ

楽譜を読めない黒人たちが、酒場で音楽を耳で覚え、ステージでコルネット演奏したのがジャズの始まりとされています。うろ覚え部分が即興となり、これが『アドリブのはじまり』と言われています。

1930年代にはリズム様式が変化し『スウィング・ジャズ』と呼ばれ、『白人によるビッグバンド』演奏が多くなります。

その後、40年代にフリースタイル回帰への欲求が『モダン・ジャズ』として花開きます。小編成で『ビパップ』と呼ばれるアドリブに重きが置かれたスタイルで、サックス奏者のC・パーカーに代表されます。60年代に『モードジャズ』が台頭し、マイルス・デイヴィスの名が轟くようになりました。

ジャズとクラシックの融合

アメリカの作曲家『ジョージ・ガーシュウィン』はジャズとクラシック音楽を融合させた楽曲を書き、新しい分野を切り開きました。

1924年に作られた『ラプソディ・イン・ブルー』はシンフォニック・ジャズ(ジャズ形式のラプソディ)として大変有名です。また、彼の作ったオペラから『サマータイム』をはじめ、多くのジャズのスタンダード・ナンバーが生まれました。

フランスでは59年に『ジャック・ルーシェ』というジャズピアニストが『プレイ・バッハ・トゥデイ』というアルバムでヒットを放ち、日本では『バッハの無伴奏チェロ組曲』をテナーサックス奏者・清水靖晃がプレイしています。

現代ポピュラー音楽の確立

1970年代以降は電子楽器を取り入れた『クロスオーバー』、そしてラテンやロック、R&B(リズム&ブルース)と融合した『フュージョン』の時代がやってきます。

80年代になるとイギリスで誕生した『アシッド・ジャズ』が注目されるようになります。『ジャズで踊る』というムーブメントが起こりました。

現在のジャズは『現代ジャズ』と呼ばれ、ジャズ要素が強いものと、さまざまな音楽が融合したジャズで成立しています。グラミー賞を受賞したロバート・グラスパーやマーク・ジュリアナなどが代表アーティストです。

ロックの歴史

1950年代に生まれた『R&R(ロックン・ロール)』はビートを前面に押し出し、それまでにない新しいスタイルの音楽ジャンルです。難しいテクニックは必要なく、気軽に独学でスタートできるのも当時の若者にとって人気でした。

R&Rの歌詞はラブソングを基本に、ティーンエイジャーの生活が歌われました。やがて、歌詞の内容も多様に広がり、若者の持つ不満を歌う『カウンターカルチャー』へと変化していきます。

ロックの誕生と発展

ロックの原型は3コード・8ビートの手法を使うのが基本で、シンプルでノリの良い音楽です。

有名な黒人アーティストは大勢いましたが、世の中に大きく影響を与えたのが、白人でR&Rを演奏した『バディー・ホリー』や『エルヴィス・プレスリー』らの存在でした。

1950年代後半、人気アーティストらはさまざまな理由で活動を停止しR&Rは下火になりました。その後、60年代始めより『フォーク・ブーム』が到来し、『ボブ・ディラン』や『サイモン&ガーファンクル』が台頭します。

ロック全盛の時代

イギリスではアメリカのブルースやR&Rなどに影響された、ロックグループが次々に誕生しました。GDP(国内総生産)が世界一高いアメリカで『ビートルズ』が売り出され爆発的な人気を得ます。

アメリカ勢では1960年代に設立された黒人音楽集団『モータウンレコード』が大成功をおさめます。

60年代後半には西海岸からヒッピー文化が生まれ、麻薬体験での精神世界を描く『サイケデリック・ミュージック』が生まれました。

麻薬で命を落とす人気ミュージシャンや、ビートルズの解散などで、ロックは空中分解したように廃れていく時代へと入ります。

その後、ウエストコーストミュージック・ハードロック・グラムロック・プログレッシブなどロックはますます多様化していきます。

現代のロック

1980年代にはアメリカの有料テレビ『MTV』でロック映像が注目され、マドンナやマイケル・ジャクソン、プリンスなどが台頭します。

90年代になると『グランジロック』や『オルタナティブ・ロック』が生まれ、ニルヴァーナなどが活躍しました。

オアシスなどの『ブリット・ポップ』の登場後、『ヒップホップ』系が席巻しロックの勢いが弱まるなか、オルタナ系から派生した『インディーロック』やロック原点回帰の『ガレージロック』などが展開されます。

2005年頃よりクラブミュージックの一種『EDM』(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の存在がクローズアップするなか、歴代のロック・アーティストたちもそれぞれの方法で健在をアピールしています。

音楽が人に与える影響

私たちは日常的に音楽を聴いて気分を変えたり、音楽自体を楽しんだりします。医療目的やエクササイズの為に音楽を使うこともあります。

音楽とは、人にどのように影響しているのでしょうか。

音の処理に関連する脳の領域とはたらき

脳の部位で音の処理に関係しているのは『大脳と小脳』になります。

小脳は後頭部の耳に挟まれた間にあり、『踊りや楽器演奏時の身体の動きや音楽への感情反応』に呼応しています。

大脳は古皮質と新皮質に分かれ、両方とも『音の処理に関連』しています。古皮質にある『海馬』は、音楽の記憶や、音楽を聴いたときの状況や心情の記憶と関係しています。

新皮質では、運動野・感覚野・視覚野・聴覚野が関係し、特に『聴覚野』では、音を丸ごと一つとして聞いているのではなく、音楽とその他の雑音を『別々に聞き分けて処理している』ことがわかっています。

脳の中では音楽を様々に分析し聴き分けており、その感覚が1つにまとまり私たちは音楽として体感しています。

音楽と感情の関係

音楽と感情の間にはどんな関係があるのでしょうか。

特定の音楽を聴く事で、そこから感情くみ取り、視覚を通して錯覚を起こす事があります。たとえば、私たちは物悲しい楽曲を聴いたあとは、悲しいという感情を持ち、目の前にある自然の風景が物悲しく見えることがあります。

このように、音楽から情を感じることがありますが、これは、作った人の感情とは関係ありません。私たちは音楽に込められた感情のみを理解することができるのです。ですから、悲しい曲を聞いた後にも、おいしく食事が食べられたりするのです。

音楽の好みと性格に関係はあるのか?

人の性格と音楽の好みは関連性があるのでしょうか。それを探るために、性格を形作る5つ特性を使用した『音楽選好の心理学』という調査が世界中でおこなわれています。

『経験への開放性・外向性・協調性・誠実性・神経質傾向』という5つのキーを使って音楽の好みと性格の関連性を探っていく調査です。

この調査結果は明確な答えはまだ出ておらず、いくつもの調査結果で同じ様な傾向が読み取れるものも、いまだ正確な結果はでておらず、研究中となっています。

音楽のもたらす効果

音楽を聴くと気持ちがリラックスしたり、気分転換に有効だったりします。軽快なテンポの楽曲は足取りが軽くなったり、整理整頓が効率良く出来たりする経験は誰にでもあるでしょう。

創造力を使う仕事や試合前に聴くと効果があがる音楽ジャンルはどんなものでしょうか。

頭を使う仕事にはバロック音楽

頭を使う創造的な仕事にはゆったりした『バロック音楽』が効果的と言われています。

バッハやヘンデルなどに代表される『バロック音楽』は、常に低音が楽曲を貫いて鳴り響いています。低音による安定感がありながらも、高音域による適度な脳への刺激音とゆったりした曲のテンポが創造力のポテンシャルを上げるのでしょう。

また、集中力を高めるには、長調を基調にした軽やかなモーツアルトの『ソナタ』やハイドンの『セレナーデ』も空間内に優しく響き、効率を上げるようです。

試合前にはハウスミュージックが良い?

それではスポーツの試合前に最適な音楽はどのようなジャンルなのでしょうか。

テンポの速い音楽は、脳の機能が活発になります。日本神経科学大会で公表された実験結果では、速いテンポの音楽を聴いた後では0.2秒の差で、脳の反応が速くなったそうです。

これはスポーツの分野では大きな差だと考えられます。聴く時はヘッドフォンなどで集中的に聞くことがポイントだそうです。

ビートが強調されて前面に出ている楽曲が多いのはハウススミュージックです。『アップテンポのハウスミュージック』を試合前に試してみましょう。

ケース別で使い分けて効果を得る

作業別にどの音楽が効果的かという説はいろいろあります。細かいところまでは現在は証明されてはいません。

しかし、『アップテンポの曲を使って効率を上げる』、ストレスと感じていると思う時には『リラックスした音楽を聴いてみる』など単純なことだけでも見違える効果がある場合があります。

自分流に使い分けて効果を体感してみてください。

歴史や効果を知ると見方や聴き方が変わる

音楽は私たち人間に必要不可欠なものです。日頃、音楽を聴いていないという人も鼻歌を歌ったり、どこかから流れる音を無意識に聴いたりしていることでしょう。

知らなかったジャンルを開拓し、音楽のバック・グラウンドをより深く知ると、新しい世界が広がります。また、音楽の持つ効果を試し、効果的に取り入れるなどして、音楽でさらに毎日を充実させましょう。

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