日本の文学賞にはどんなものがある?受賞作品をまとめてご紹介。

2019.03.15

日本には数々の文学賞が存在します。本が大好きな人の中には、過去に文学賞を取っている作品や作者から本を選んでいる人もいることでしょう。では日本における文学賞には、どんなものがあるのでしょうか?有名な文学賞を説明していきつつ、賞ごとの代表作をご紹介していきます。

日本の最高峰と言える小説の賞とは

まずは小説に興味がない人でも一度は聞いたことのある、有名な文学賞からご紹介します。日本の文壇の最高峰ともいえる栄誉ある賞を順にみていきましょう。

直木三十五賞(直木賞)

直木賞とは「直木三十五賞」とも呼ばれており、1935年に創設された文学賞になります。直木三十五は、日本を代表する小説家のひとりであり、他にも映画監督や脚本家としても名を残すなど精力的に活動しました。

直木三十五が残す小説は、主に「大衆小説」を執筆しており、娯楽性が中心となったストーリーを描いています。そんな直木三十五の業績を称え、菊池寛が提唱したことによって直木賞が創設されました。直木賞の選考では、直木三十五が得意とする大衆小説が選考の対象となっています。

おもな受賞作としては、東野圭吾の話題作『容疑者Xの献身』(2005年)や、池井戸潤の『下町ロケット』(2011年)があります。大衆小説ということもありドラマティックな展開の小説が多く、テレビドラマ化や映画化される作品も多いです。また受賞者には副賞として100万円が贈られます。

芥川龍之介賞(芥川賞)

芥川賞とは、正式には『芥川賞龍之介賞】とも呼ばれており、直木賞と同じく1935年に創設された文学賞になります。直木賞とともに菊池寛によって創設され、今日に至ります。

芥川龍之介賞の選考対象は「純文学」とされ、ただ面白いだけでなく、人生の意味を考えさせられるような芸術性に長けた作品が選ばれます。名の知れた有名小説家ではなく、無名の新人純文学作家が選ばれることも特徴の一つで、純文学を志す小説家にとっては誰しもが目指す賞になります。

2015年度にはお笑い芸人の又吉直樹さんが著した『火花』が受賞作となり、大きな話題となりました。毎年受賞の時期にはメディアも注目する、日本一有名といっても過言ではない文学賞です。直木賞と同じく、こちらも賞金は100万円となります。

谷崎潤一郎賞(谷崎賞)

谷崎賞とは、正式名称を「谷崎潤一郎賞」といい、中央公論社が創業80周年を迎えたこともあって1965年に設けた文学賞になります。谷崎潤一郎は、明治から昭和にかけて多岐にわたるジャンルで執筆活動を行い、代表作『痴人の愛』は大変な話題作として映画にもなるなど、文壇に多大な業績を残してきました。

対象となる小説は、時代を代表とする小説・戯曲を対象としており中央公論社にて審査されます。おもな受賞作として2005年度の町田康作『告白』や、1985年度の村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』があります。直木賞・芥川賞と同じく、谷崎賞も賞金は100万円となります。

努力が報われる賞金が豪華な小説の賞とは

日本の最高峰と言われる賞について説明していきましたが、他にも努力次第でもらえる文学賞は数多く存在します。ジャンルごとに文学賞の種類も異なっており、賞によってもらえる賞金はまちまちです。小説家にとって何よりも魅力的なのは文学賞自体でしょうが、賞金も無視できない魅力の1つと言っていいでしょう。

そこでここでは、一攫千金が目指せる『賞金が豪華な文学賞』について説明していきます。

【1,000万円】推理小説が対象『江戸川乱歩賞』

『江戸川乱歩賞』とは、主に推理小説を対象に贈られる賞で、受賞作は講談社からの出版が既定路線になります。1954年に日本推理作家協会によって制定された文学賞で、これまでに多くの名作となる推理小説を世に輩出してきました。

気になる賞金ですが、なんと受賞者には「賞金1,000万円」が贈られます。文学賞の中でもかなり高額であるうえ、スポンサーである講談社からの出版がほぼ確約されたり、フジテレビによるドラマ化や映画化も恒例となっているなど、受賞後も至れり尽くせり。小説家にとって夢のような待遇を目指し、毎年あまたの推理小説家が応募しています。推理小説家を目指すものなら、最も憧れる文学賞とも言えるでしょう。

おもな受賞作には2010年度の仁木悦子作『猫は知っていた』や、2006年度の小峰元作『アルキメデスは手を汚さない』などがあります。

【300万円】ノンフィクションが対象『開高健ノンフィクション賞』

「開高健ノンフィクション賞」とは、作家・開高健にちなんで創設された文学賞になります。政治や経済、文化、歴史、スポーツなどジャンルを問わず幅広い分野での作品を毎年募っており、タイトルの通りノンフィクション作品を基準に審査されます。

受賞作に贈られる賞金は300万円。こちらは集英社が主催で行っており、これまでにまだ発表されていない未発表、または未刊行のものを対象として応募を募っています。ノンフィクション作家を目指す人にとっての、大きな登竜門とも言えるでしょう。

おもな受賞作として2018年度の川内有緒作『空をゆく巨人』や、2011年度の水谷竹秀作『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」』などがあります。

【300万円】ミステリー全般が対象『新潮ミステリー大賞』

『新潮ミステリー大賞』は、名前の通り、新潮社が主催するミステリー小説に贈られる文学賞となります。応募に際して「ストーリー性豊かな広義のミステリー」という概要からもわかるとおり、壮大で綿密な長編ミステリーが選ばれることが多く、ミステリー作家を目指すなら知らない人はいない賞になります。

賞金は大賞で300万円とこれまた高額であり、受賞作は東映による映像化が検討されるなど、こちらも魅力的。

おもな受賞作として2014年度の彩藤アザミ作『サナキの森』や、2016年度の生馬直樹作『グッバイ・ボーイ』などがあります。

実力次第で新人でも受賞できる小説の賞

文学賞の多くは実力次第で新人でも受賞が目指せますが、やはり有名作家も多数応募してくる賞では分が悪いというもの。しかし、新人に焦点を当てた文学賞も数多く存在します。そこでここでは、新人でも応募しやすい文学賞を説明しつつ、賞ごとの代表作についてご紹介していきます。

太宰治賞

「太宰治賞」とは、今までに発表されていない作品を対象に設けられている文学賞になります。有名な小説家・太宰治を称えるため、1964年筑摩書房によって創設されました。小説の新人賞として扱われており、太宰治賞をきっかけに数々の才能ある新人が出世してきました。

賞金は100万円となっており、応募数も毎年多く集まっています。おもな受賞作には2013年度の岩城けい作『さようなら、オレンジ』や、2005年度の津村記久子作『マンイーター』などがあります。

ノベル大賞

「ノベル大賞」は1983年に集英社によって設けられた文学賞です。数多くの新人が注目をしている文学賞です。ノベル大賞の特徴として、ライトノベル系文芸誌、またはコバルト文庫を読んでいる人を考えた作品を募集しています。

かならずしも「新人」が対象ではありませんが、ライトノベルやファンタジーといったライトな作品でも応募可能なことから、新人にとってはハードルの高さを感じない賞といえるでしょう。

大賞の他に佳作などが設けられており、入選した人は雑誌コバルトに掲載されることになっています。おもな受賞作としては1984年度上期の唯川恵作『海色の午後』や、同じく1984年度後期の藤本ひとみ作『眼差(まなざし)』などがあります。

小説すばる新人賞

「小説すばる新人賞」とは、1988年に集英社によって設けられた新人賞になります。主にエンターテイメント系の小説が多く、これまでにも数々の新人を発掘してきました。受賞者には200万円の賞金が設けられ、作品は集英社から出版されることになります。

おもな受賞作として1993年度の村山由佳作『天使の卵―エンジェルス・エッグ』や、2006年度の山本幸久作『笑う招き猫』などがあります。

スニーカー大賞

「スニーカー大賞」とは、角川書店が1996年に創設している、日本の新人文学賞の1つとなっています。10代を対象とした、エンターテイメント性あふれる作品を求めており、ファンタジー、ラブコメ、青春、ミステリーなどジャンル問わずに応募することができます。

大賞は200万円と高額ですが、毎年大賞が必ず出るわけではありません。年によっては大賞が出ていない年もあるので、歴代で大賞を取った作品は面白みに溢れた作品だと言えるでしょう。

おもな受賞作として2012年度の高野文具作『彼女たちのメシがマズい100の理由』や、2001年度の長谷敏司作『アルカディア』などがあります。

文学賞は作家にとっての憧れ

日本の文学界の中でも数え切れないほどの賞があり、また、各地方でもそれぞれの特色に合わせた賞が存在します。ほとんどの賞は、応募資格が不問なため、今から小説家を目指しても実力次第では、すぐに賞を受賞することも可能なのです。

小説選びで悩んでいる方は、是非賞に焦点を当て選出してみてはいかがでしょうか。

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