プラモデルの墨入れ基礎知識。リアルかつ綺麗に仕上げるポイント

2019.03.08

プラモデルの墨入れを覚えると、今までよりも立体感とリアルさを追求できるでしょう。覚えておきたい墨入れの基礎知識から必要な道具、塗り方のコツまで徹底的に解説します。レベルアップの参考にしてみてください。

プラモデル製作に欠かせない墨入れ作業

墨入れは、プラモデルの表面をよりリアルに塗装して表現するための技法の1つです。完成度を高めて美しい作品に仕上げるために、まずは墨入れの基礎知識からチェックしましょう。

墨入れを行う理由とは

墨入れは、スジ彫りなどプラモデルの表面に刻み込まれているさまざまなモールド(パーツに彫られた凹凸のこと)に塗料を流し込むことで『強調し、鮮明に見せるため』の技法です。

部品同士が隣接する場所には『影』ができて黒く見えます。この影の部分を再現するために、墨入れを行うのです。

影を作ることで、完成したプラモデルはよりリアルさが増します。より完成度の高いプラモデルを作り上げたいならば覚えておきたい技法と言えるでしょう。

ウォッシングとの違い

ウォッシングとは、かなり薄めた塗料で、塗装面全体を洗うように塗装する技法のことです。基本的にはくすみの表現や、汚れの表現に使われる技法ですが、グレイなどの塗料でウォッシングをすれば墨入れ効果を得られます。

墨入れは、影色を直接入れ込んでいきますが『ウォッシング』は、全体にフィルターを乗せることで影色を演出するものです。仕上がりや影色の強弱も変わるため、作るプラモデルによってどちらの技法でリアルさを引き立てるのかを考えて使い分けてみましょう。

墨入れに使用する塗料の種類

では、実際に墨入れに使用する塗料の種類を見てみましょう。墨入れに使う塗料が変われば、また印象が変わります。自分が組み上げたプラモデルのイメージに合わせて塗料の種類を選ぶのも『リアルさ』を引き立てるコツです。

墨入れ塗料

墨入れ塗料は、多くのメーカーが取り扱っており、特徴もさまざまです。例えば、タミヤの墨入れ塗料だと『ライトグレイ』『ダークグレイ』『グレイ』『ブラウン』『ブラック』など微妙な色合いの違うものが何種類も取り扱われています。

色合いだけではなく、ペン型やパレット型などの種類によっても仕上がりは変わります。用途や強弱、部品の大きさなどに合わせて、適したものを選択しましょう。

グレイ系の飛行機におすすめの色はコレ

グレイやシルバー地の航空機のパネルラインなどでは、ブラックでは濃すぎる部分が出てきてしまいます。そんなときに便利なのが『ダークグレイ』です。下地カラーよりも暗い色合いで、立体感を強調できます。

黒では不自然な部分があれば、ダークグレイを使ってよりリアルさを追求してみましょう。

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エナメル塗料とアクリル塗料の違い

エナメル塗料は、発色とノビが良いので塗装ムラが出にくいのが特徴です。油性のラッカーや水性アクリルよりも乾きが遅く、塗料が広がるので塗膜(塗料による膜)がとても滑らかに仕上がります。

一方、アクリル塗料は水性・油性の種類がありプラモデル用のアクリル塗料は水性のものが一般的です。水性アクリル塗料は、エナメル塗料やラッカー塗料の上に塗っても下の塗料を溶かさないため重ね塗りができます。

また、水性の特徴を活かして、筆塗りによる墨入れやぼかし塗装に適した塗料です。ラッカー系ほど強い臭いはありませんが、有機溶剤が含まれているため換気をしてから使うようにしましょう。

それぞれ質感や見え方、発色などに違いがありますが、最も大きな違いが『パーツの割れ』に関する点です。アクリル塗料よりもエナメル塗料は乾燥が遅い分、パーツに浸透しパーツが脆くなる可能性があります。

特にABS樹脂製のものでは顕著に現れるため、下地処理を施すなど耐久性にも注意して塗料を選ぶようにしましょう。

流し込み墨入れペン

墨入れは必ず塗料を使って筆で行わなければいけないものではありません。『流し込み墨入れペン』であれば、普段使うペンの感覚で墨入れができます。

初心者でも扱いやすく、カラーも豊富に用意されているので、筆で墨入れをしたのと遜色のない仕上がりが目指せるでしょう。流し込みタイプなので、すばやく墨入れを行いたいときにも役立ちます。

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墨入れシャーペン

水性マーカーでも油性マーカーでもない、墨入れシャーペンもあります。マーカーよりもにじみにくく、スジに沿ってなぞるだけです。色味は若干薄めですが、細かい墨入れなどが難しいときには重宝します。

パーツによって濃い部分、薄い部分と強弱を付けたい人ときにはペンと一緒に併用できるのでおすすめの墨入れ用品です。また、シャープペン型なので芯だけを購入すれば何度でも使えるためコスパにも優れています。

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墨入れのやり方

次は、実際に墨入れのやり方をチェックしてみましょう。それぞれの技法を使った塗装の動画も、合わせて紹介するので参考にしてみてください。

ペンで墨入れをする方法

ペンを使って墨入れをする基本的な方法は『凹部分に沿ってペンでなぞるだけ』です。できるだけはみ出さないように丁寧になぞっていきます。専用のものは、ペン先の太さが一定なので『力加減に関係なく』安定して立体感を演出できるのが利点です。

プラモデルの色に合わせて濃淡を変えてみるのも良いでしょう。影の強弱をペンの濃さで演出できるので、何種類か用意しておくとより綺麗に仕上がります。

墨入れ塗料の使い方

ペンは比較的簡単に墨入れができるので初心者におすすめですが、墨入れ塗料も慣れてしまえば扱いは簡単です。

まずは、墨入れ塗料のビンをよく振って中身を混ぜ合わせます。色ムラにならないように丁寧に混ぜ合わせるのが綺麗に仕上げるコツです。次に、筆に塗料を取り『凹部分に筆先』を押さえつけると『塗料が流れ込んでいき』ます。

一定のところまで自然にながれたら、途切れたところで同じ手順を繰り返して流し込むだけです。毛細管現象を利用して墨入れを行う技法で、慣れるとペンよりも速く墨入れが行えます。

戦闘機の墨入れ方法を動画でチェック

では、実際に戦闘機の墨入れをしている動画を見てみましょう。ここでは、筆を使った墨入れとウォッシングを活用した墨入れの2種類を紹介します。どちらも戦闘機の墨入れには効果的な方法なのでチェックしてみてください。

ミリプラ 本体塗装とスミイレ -YouTube

こちらの動画では4:30あたりから墨入れが行われています。毛細管現象が起きている様子も見られ、似た色合いでも濃い墨入れのカラーを選ぶことで『立体感』を演出しているのがわかります。

TAMIYA 1/32零戦を作る塗装編 -YouTube

こちらの動画では、ウォッシングを活用した墨入れが行われています。機体全体の表現と一緒に違和感なく墨入れができるので覚えておきたい技法です。

先ほども説明しましたが、ABS樹脂製のパーツは塗料に含まれる溶剤でパーツが脆くなるケースがあります。手早く、塗りすぎないように、小さな部品には特に注意して作業をしましょう。

綺麗に仕上げるコツは?

墨入れをしているときに、塗料がはみ出してしまったり、上手く影を強調できなかったりするときがあります。綺麗に仕上げるためのコツを紹介するので参考にしてみてください。

塗装後に墨入れを行うときのポイント

塗装後に墨入れをするときには、クリア塗装を施して塗膜を保護してから行うのがおすすめです。特に銀塗装では、塗料が摩擦で落ちてしまいます。クリア塗装を施しておけば、墨入れがはみ出た部分の修正や余分な塗料を拭き取るときにも『最初の塗装』を保護しながら墨入れができるため安心です。

墨入れは、ラッカー系塗料で塗装した後に溶剤の違うエナメル系塗料で行うのが一般的です。溶剤が同じものを使うと、下地の塗料を溶かしてしまうので注意しましょう。ラッカー系塗料の上からエナメル塗料を使うのは問題ありません。

はみ出た部分の修正方法

墨入れをしているとどうしても起きてしまうのが『墨入れ部分以外へ塗料が付いて』しまう状態です。修正方法があるので覚えておきましょう。

ペンの場合は、はみ出たときにすぐ綿棒やティッシュで拭き取ると消えます。乾いてしまったときには、消しゴムを使うと消えるので便利です。

塗料の場合は、塗料皿にエナメル溶剤を取り出して綿棒に付けて余分な塗料を拭き取ります。少し乾いてから行うことがポイントです。綿棒は汚れたまま使うと墨入れの塗料を伸ばしてしまうので、定期的に交換しながら行いましょう。

エナメル塗料を使ったときには、エナメル塗料が乾いてから、大きめの筆にエナメル溶剤を染み込ませてなぞって消すだけです。

戦車のウォッシングと墨入れ手順

最後に戦車のウォッシングと墨入れ手順を、例として紹介します。戦車に味わい深い色合いをプラスし、まるで本物のような機械の雰囲気を演出できるので覚えておきましょう。

太筆を使用

エナメル系墨入れ塗料を良く混ぜ合わせて、乾いた太めの筆で奥の見えにくいところからなすりつけるように塗ります。液が垂れない程度を意識し、垂れそうな部分はティッシュで吸うように取り除きましょう。

全体的に塗れたらキャタピラにも同じように塗りましょう。ポリエチレン製のベルト式キャタピラはエナメル塗料で塗装できます。

細かいすき間や溝は強めに色を入れる

細かいすき間や溝は、汚れが溜まりやすい部分なので強めに色を入れるのがポイントです。希釈していない塗料で墨入れするか、普通程度に薄めたエナメル塗料を塗ると強めに色が入れられます。

全体を確認して、汚れの演出が弱ければ足していきます。強すぎるのであれば溶剤で墨入れ塗料を濡らして調節しましょう。失敗したら、しっかりと乾かしてから本体色をかぶせてやり直せるので、焦らず自分のイメージを徐々に作り上げていくのがおすすめです。

丁寧な墨入れでリアルな影を作り出す

丁寧な墨入れは、リアルな影を作り出し、作品の立体感をより高めてくれます。墨入れの技法を変えるだけでもプラモデルの印象は変わるので、どの塗料を使うかイメージに合ったものを選択しましょう。

墨入れによる汚れの演出で、作品がより美しく仕上がるようにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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