デザインを学びたいと考えていても、どのように学べばよいか悩んでいる人は多いでしょう。おそらくその理由の多くは、語学や資格試験のように明確な勉強法がないためです。デザインを学ぶ上で、知っておくべきポイントをまとめてみました。
デザインを勉強する前に
デザインの勉強を始める前に、そもそもデザインとは何かと聞かれたら明確に答えられますか?
デザインをする上でも大切になる、デザインの概念をおさえておきましょう。
デザインとは問題解決をするということ
辞書で調べてみると、三省堂の大辞林では『作ろうとするものの形態について,機能や生産工程などを考えて構想すること。意匠。設計。図案。』と記載されています。
しかし、仕事としてデザインを行う場合には、ほかにも必要な要素があります。
仕事として行う場合は、企業の製品やサービスそのもののデザインや、その販促物をデザインすることが多いです。製品やサービスの世界観や魅力をユーザーに適切伝え、ビジネスとしての成功に導くことがデザインの役割です。
また、いくら美しいデザインをつくったとしても、適切に表現できていなければ、それはデザインとはいえません。
デザインとは、ビジネスとして成功させるために、目の前にある課題解決をすることとでもあります。ユーザーニーズをしっかりと捉えて、それを製品やサービスに生かしていくことも求められるのです。
センスは知識と経験から生まれる
デザインとは何かを説明しましたが、問題解決を行う過程で、実際に製品やサービスを作る際に、特別なセンスが必要だと考えている人もいるのではないでしょうか。それゆえ、勉強法に悩んでいる人も多いことでしょう。
有名なデザイナーの多くは、決して特殊能力でデザインしているのではなく、論理的に学べる知識と、それに基づく経験でデザインをしています。
つまり、しっかりと勉強し、それを実践するという場数を踏んでいます。自らのアイデアの引き出しを増やすことが、結果的に独自の世界観や発想につながっているのです。
デザインの勉強で挫折しないためのポイント
何事もそうですが、勉強で何かを習得するのは大変です。デザインももちろん容易ではありません。挫折せずに続けるためのポイントを紹介します。
デザインの楽しさを知る
デザインを勉強しようと意気込んで、いきなり難しい本を選んだり、大量の教材を購入したりするのは避けましょう。
知識を得ることはもちろん大切ですが、何より大切なのは楽しんでデザインを学ぶことです。
また、受験勉強のように何かを覚えたり、インプットしたりすることだけではデザインは上達しません。表現の基本原則や、表現のアイデアをインプットしながらも、実際に手を動かしてデザインすることがとても大切です。
学んだことをしっかりとアウトプットすることを心がけましょう。
練習過程から発信することを恐れない
インターネットやSNSが普及し、個人が発信する場が増えました。
趣味でデザインしている人にも、これから仕事としてデザインをしたいという人にもおすすめなのが、自分の作品をどんどん発信をすることです。
思わぬフィードバックが得られたり、仕事の依頼につながったりするきっかけになります。また、フィードバックからの気づきもあるかもしれません。
デザインは、冒頭で説明したように相手に伝えたいことを適切に伝えられてはじめて、よいデザインといえます。思い通りに伝わらなかったり、誤解を招いたりすることもあるでしょう。
しかし、それらのフィードバックから学ぶことができれば、作品の修正や自身の成長につなげていくことが可能です。貴重な機会を大切にしましょう。
デザインを学ぶ具体的な方法
デザインの学び方には、さまざまな方法があります。自分のスキルレベルや目的に応じて、いろいろな方法を試すとよいでしょう。
積極的に情報を集める
とくに初学者のうちは、わからないことがたくさんあります。
その疑問を見逃さずに大切にしましょう。ピュアな状態での気づきこそ、自分らしいデザインにつながります。少しでも気になることは、本やインターネットで調べることはもちろん、先輩デザイナーに質問しましょう。
また、SNSでのデザイナーコミュニティにも入っておくこともよいでしょう。彼ら彼女らが発信するデザインから学べることはもちろん、わからないことを質問できるかもしれません。
よいデザインをインプットし分析する
前述の話とも重なりますが、よいデザインにたくさん触れることが重要です。
単に見て終わりではなく『何がよいのか』『どこがポイントなのか』など、自分なりに分析しましょう。どのような表現をすれば、相手に伝わるかを逆の立場から知るのです。
日常生活の中で、日々多くのデザインを目にします。気になったものを写真に撮っておくなどして、自分のアイデアの引き出しをどんどん増やしていきましょう。
他人のデザインを真似てみる
実際にあるデザインを真似て、再現してみることも有効な勉強法です。もちろん、これは練習の過程でのみ有効なことで、仕事としては絶対にしてはいけません。
再現をしようとすると『これはどうするのだろう』と新たな課題や、自分に不足している点に気づくことができます。
初学者のうちはとくに有効な勉強法です。
経験を積んで人に見てもらう
発信することにも関連しますが、やはり多くの人に見てもらうことが最終的にはもっとも大事なことです。そしてこれこそがデザイナーとして成長するための術です。
先輩デザイナーはもちろん、デザインした製品やサービスの対象ユーザー、またデザイナーでなくてもセンスがよいと感じる友人もよいかもしれません。
多くの人に見てもらうことで。経験を積んでいきましょう。
独学でデザインを学べる本
デザインに関心を持っているなら、まずは気軽に本で独学からはじめてみましょう。デザインを学ぶ上でおすすめの3冊を紹介します。
なるほどデザイン
『なるほどデザイン』は、デザインをする際にどんなことに気をかければ、よいデザインになるのかということがわかりやすく書かれている、デザインを学ぶ人には定番といえる本です。
『デザインに「正解」はない 』という章からはじまり、デザインは楽しいものであると書かれています。ちなみに、デザインを楽しむために、基礎・概念・ルール・デザインのプロセスは書かれていますが、こまかなテクニック論ではありません。
また、本のデザインやグラフィックそのもののセンスがよく、ユーモア溢れる表現も魅力的だとして定評があります。
デザイナーとして仕事をしたい人はもちろん、パワーポイントなどの資料を仕事で作る人でも生かせる内容が多いので、すべてのビジネスパーソンにおすすめの本です。
- 商品名:なるほどデザイン
- 価格:2160円(税込)
- Amazon:商品ページ
ノンデザイナーズ・デザインブック
『ノンデザイナーズ・デザインブック』は、デザイナーでない人向けに書かれたデザインに関する本で、初学者でも読みやすくなっています。
プロデザイナーとして仕事をするわけでなくても、デザインの基礎を知っておくことで多くのビジネスシーンで活用できます。
この本は、近接・整列・反復・コントラストといったデザインにおける『四つの基本原則』をはじめ、実際のデザイン事例をもとに考え方を紹介しています。
第4版まで出ているベストセラー本で、事例には日本のデザイン事例も掲載されているので、身近に感じながら学ぶことができるでしょう。
- 商品名:ノンデザイナーズ・デザインブック
- 価格:2354円(税込)
- Amazon:商品ページ
誰のためのデザイン?
『誰のためのデザイン?』は、20年以上前に書かれた本ですが、デザインの名著として多くの人に読まれています。
タイトルにもあるようにデザインとは誰のために、どんな意図をもってなされるべきものなのかという本質的な内容です。小難しい表現を用いることや、自分の好きなように表現をするのはデザインではありません。
そんな基礎的であり、本質的でもある奥深い内容の本ですが、具体例も多いので読みやすいでしょう。
- 商品名:誰のためのデザイン?
- 価格:3564円(税込)
- Amazon:商品ページ
独学にこだわらないことも大切
デザインについて知りたいというモチベーションのある人は、紹介した本を読んでおくことがおすすめです。
その上でデザインを本格的に学ぼうと思うのなら、誰かに教わることも視野に入れるとよいでしょう。
オンラインスクールに通う
仕事をしながら、平日の夜や休日を使ってデザインを学びたいという人におすすめなのが、『オンラインスクール』です。自分の都合のよい時間にあわせて学べるので、ビジネスパーソンでも続けやすいです。
特に人気なスクールは『TechAcademy(テックアカデミー)』です。もともとエンジニア向けのプログラミングスクールとしてはじまりましたが、最近はデザインやマネジメントなどの領域にも展開しています。
デザインコースには『Webデザインコース』『UI/UXデザインコース』『動画編集コース』の三つがあるので、自分の学びたいものを選べます。
ここで得たスキルをもとに転職サポートまで行っているので、デザイナーを目指したいという思いがある人にはおすすめです。
TechAcademy [テックアカデミー] | オンラインのプログラミングスクール
デザイン業界に入る
すでにデザイナーになるという気持ちが固まっているのなら、それを仕事にしてしまうのがもっとも効率的です。経験を積んだ先輩から直接学ぶことができます。
仕事として、毎日デザインに関わることで得られる経験やそのスピードは何よりも強力です。
ただし、まずは本を読んだり、オンラインスクールで学んだり、できることはやってみてからにしましょう。新たな仕事を始めることは、人生における大きな決断になります。
デザインを学んでデザイナーを目指そう
デザインとはどういうものか、またデザインを学ぶ上で具体的にどのような方法があるかを紹介しました。
私たちが日々生活する中でも多くのデザインに触れることができ、その制作者であるデザイナーの仕事は非常にやり甲斐のあるものです。
紹介した本やオンラインスクールを通して、デザイナーについての理解を深め、デザインスキルを習得していきましょう。