あの言葉も音楽用語が由来?人に話したくなる音楽用語の雑学特集

2019.03.07

『音楽用語』というと聞き慣れないイメージがあるかもしれませんが、身の回りで日常的に使われる言葉の中には、もとが音楽用語であるものが意外にたくさんあります。音楽用語の本来の意味を知っておけば、ちょっとした雑学として披露できるでしょう。

大人の雑学、音楽用語入門

有名な音楽の3大要素は『メロディー』『リズム』『ハーモニー』です。

これらの言葉は、本来の意味も理解したうえで比喩的に使われます。たとえば、日常会話の中で「生活のリズム」「味のハーモニー」という感じでよく用いられる表現です。

ほかにも多くの音楽用語が、そのままの意味や比喩的に、ときには少し意味がズレて使われています。

日常会話にも意外によく使われている

楽曲の速さを意味する『テンポ』は、仕事中や何らかの作業をしているときに「テンポがいいね」「もっとテンポを上げて!」などと使われます。

ある音を強調する意味の『アクセント』や、合奏を意味する『アンサンブル』も、日常に親しまれている言葉です。

たとえば、ファッションの話で「今日はピンク系のカーディガンとインナーのアンサンブルに赤の帽子がアクセントですね」などと使われます。

『オクターブ』もなじみのある音楽用語の一つですが、本来の言葉の意味と日常で用いられる際とでは、少しズレが生じてしまう言葉です。

本来の意味は『完全8度の音程の開き』ですが、話す声が小さいときに「もうワンオクターブ上げて!」などと、音量と音程をはき違えたような、まぎらわしい使い方をされることがあります。

ほかにも変奏曲を意味する『バリエーション』などは日頃よく耳にする言葉です。三重奏の『トリオ』なども3人組に普通に使われます。

このように、何気なく使う日常語の中にも、多くの音楽用語が存在しているのです。

音楽用語はそもそも何語なのか?

音楽用語の語感が英語の発音ではないことは、皆なんとなく気づいていることでしょう。それでは、一体何語なのでしょうか。

音楽用語には一部フランス語やドイツ語が使われることもありますが、基本的に『イタリア語』です。

これは、『教会音楽』という、音楽の発展のかぎとなった文化の中心であるイタリアにおいて、五線譜を使用する音楽の『記譜法』が確立されたからです。

そのため、国が変わってもそのままイタリア語の譜面が使われるようになりました。

もう少し視野を広げれば、14世紀の文芸復興運動『ルネサンス』がイタリアで始まり、西欧各国に広まったことも関係しているのでしょう。

知ってるつもり?おなじみの言葉の由来

『サビ』や『アドリブ』『アカペラ』などのよく登場するおなじみの音楽用語がありますが、はたして皆さんは本当の意味をご存知でしょうか?

意外な由来も含めて、紹介します。

サビはワサビ?

楽曲の構成では、Aメロ・Bメロ・サビなどとパート分けをしますが、その『サビ』とは何のことを指すのでしょうか。

これには3つほどの説があって、どれが真実なのか、それともそのほかに真実があるのかは分かりませんが、いくつか紹介しておきます。

まず、有力と思われるのが『ワサビ説』です。寿司屋でワサビはサビと呼ばれます。このサビはほんの少量でも刺激があって、味がピリッと締まるのが特徴です。

そこから楽曲中で『短くてもインパクトのあるパート』をサビと呼んだという説になります。

2つ目は、日本伝統音楽である邦楽分野の謡曲・語りものなどで、声帯を強めに振動させて発する太くて渋みのある声の『寂』(さび)を指しているというものです。

曲の盛り上がり部分で声を張り上げることから連想し、サビと呼ばれたという説があります。

3つ目は、松尾芭蕉の俳諧の考え方からきたとする説です。俳句のもっとも美しい部分や肝心な部分を『寂』(さび)と呼んだことが由来とされています。

アドリブはもともとラテン語だった

即興で演技やコントなど何かのパフォーマンスをすることを『アドリブ』と言いますが、これも元々は音楽用語からきています。

『アド・リブ』(ad lib)は即興演奏の意味で、ラテン語の『アド・リビトゥム』(ad libitum)の略であり『自由に』という意味です。

ジャズ的には『インプロヴィゼーション』と呼ばれます。「奏者の弾きたいように自由に即興演奏をしなさい」という意味です。

アカペラは赤ペラではない

『アカペラ』は赤ペラという日本語ではありません。イタリア語・ラテン語の『a cappella』から来ている言葉です。

伴奏のない歌のことで、もとの意味は『礼拝堂風に』という音楽用語で、教会で歌われる賛美歌の合唱からきた言葉です。

『カペラ=cappella』は英語の『チャペル=chapel』と同じ表現です。

アカペラといえばソロ、つまり独唱と思われがちですが、本来の讃美歌合唱で分かるように、合唱でも無伴奏ならアカペラと呼ばれます。

テレビや映画は音楽用語の宝庫

テレビや映画を日々楽しむ中で、ちょっと注意して耳を傾けてみると、非常に多くの音楽用語が自然に使われていることが分かります。

Queen伝説再来 ボヘミアン・ラプソディ

英国の伝説的ロックバンドQueenの名曲『ボヘミアン・ラプソディ』と同名の、フレディ・マーキュリーの伝記映画が、2018年に空前の大ヒットを記録しました。

このボヘミアン・ラプソディとは一体どのような意味なのでしょうか。

『ラプソディ』は、日本語では『狂詩曲』の意味です。19世紀にヨーロッパでたくさん作られた、幻想的で形式に縛られない楽曲のことで、民族的・叙事的な内容を表現した曲調になっています。

『ボヘミアン』は、次の2通りの解釈ができます。

  1. チェコ共和国の住人=ボヘミア人
  2. 放浪者=常識や古い習慣にとらわれない生き方をする人

この曲の歌詞は人を殺めた若者の心情が綴られていますが、ボヘミアンがどちらの意味かは不明です。もしかしたら両方の意味を含めているのかもしれません。

大人のラブミステリー カルテット

『カルテット』の意味は四重奏です。クラシック音楽では、主にヴァイオリンに属する4本の楽器で組まれた合奏形態『弦四重奏』を、カルテットと呼びます。

ジャズでは、楽器の種類は問わずに『4人編成のコンボ』をカルテットと呼ぶのが特徴です。ジャズ史上に名を残す『モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)』などが有名でしょう。

大人のラブミステリードラマ『カルテット』のタイトルは、メインキャラクターの4人が組むカルテット(弦楽四重奏)を意味しています。音楽の演奏形式と絡めて人間ドラマ自体も四重奏のように描かれ、大人気を博しました。

社会現象にもなった のだめカンタービレ

ドラマ『のだめカンタービレ』は、社会現象を巻き起こしました。クラシック音楽が多くの人たち見直されるきっかけになった漫画であり、アニメ・TVドラマ・映画化もされています。

この『カンタービレ』( cantabile)とは、イタリア語です。

「歌うように」という意味を持つ、『発想標語』という分類の言葉で、砕いて言えば「情感を込めて、歌うように演奏しなさい」という意味です。

そこから考えてみると、のだめカンタービレというタイトルの意味は「のだめ、歌うように演奏するのだ」といった意味になるのではないでしょうか。

映画の邦題によく使われるレクイエムとは?

『レクイエム』という言葉が含まれる映画は非常に多く存在します。レクイエム自体は、音楽用語で『鎮魂曲』『葬送曲』『挽歌』などと訳されます。

キリスト教、とりわけカトリックにおいておこなわれる、亡くなった人のために開かれるミサ(礼拝)を意味する言葉です。

「彼らに永遠の安息(requiem)を与えたまえ」という『典礼文』から始まる死者の冥福を祈る歌からきています。

歴史上の『葬送曲』としてのレクイエムには『3大レクイエム』と呼ばれるものがあります。モーツァルト・ヴェルディ・フォーレがそれぞれ作曲したものです。

日産の車名にはなぜか音楽用語が多い?

日本車のネーミングには、音楽用語が使われているものがたくさんあります。

パッと思いつくだけでもスズキ『アルト』やダイハツ『タント』、マツダ『シャンテ』にホンダ『プレリュード』などです。その中でも日産は、特に多いように感じます。

音符や音階を表すノート

日産『ノート』は、一見普通のノート(帳面)を意味しているのかと思われがちですが、音符・音階や音そのものを表す『ノート』(note)を意図しています。

紙のノートの意味も含まれているようですが、メインは音のノートです。『ブルーノート』や『ハイノート』など、音楽の現場では確かにノートという言葉が使われています。

行進曲を意味するマーチ

英語で行進曲を指す『March』からその名がきている日産『マーチ』はあまりにも有名です。

マーチは『2拍子の快適なリズム』のことで、かつて一世を風靡したコンパクトカーの代名詞マーチにふさわしいネーミングでした。

ところで、日産マーチの海外でのネーミングは『マイクラ』(Micra)です。マイクロ(micro)をもじった造語ということで、BMWのMINIを彷彿とさせる車名がついています。

フーガはクラシック音楽の様式のひとつ

日産『フーガ』も音楽用語からのネーミングです。日本語の『風雅』(ふうが)にもかかっているようですが、遁走曲(とんそうきょく)を指す『Fuga』がもとになっています。

音楽のフーガとは、主旋律のあとを追いかけて別の旋律が繰り返される楽曲です。昔は、音楽の中で必要不可欠な形式の一つでしたが、近年は主流ではなくなってきています。

レストランでも音楽用語に出会える

普段、友人と行くようなレストランの中にも、実は、音楽用語が隠れていることがあります。メニューの中などに潜んでいる音楽用語を、いくつか紹介しましょう。

食後のお楽しみ、ドルチェ

音楽用語の『ドルチェ』(dolce)はイタリア語で『甘く柔らかに』という意味です。『アレグロ・モデラート』(allegro moderato)とも言われ『ほどよく速く』を意味します。

このdolceという言葉は、イタリアンレストランへ行けば、メニューの中から見つけられるでしょう。

デザートのことを指していますが、音楽用語と同じで「甘い・柔らかい・優しい」という意味で使われています。

牛フィレ肉のロッシーニ風って?

牛フィレ肉に、さらにフォアグラとトリュフという贅沢な食べ物を合わせた料理は通称『ロッシーニ風』と呼ばれます。

この料理名は、かの有名な作曲家『ジョアキーノ・ロッシーニ』の名前にちなんでいます。音楽用語とは違いますが、音楽家の名前です。

彼は音楽家として高名なだけではなく、大変な食通としても有名でした。パリ市内に自分が経営するレストランを持っていたほどなので、料理名に使われるのもうなずけます。

音楽用語でお金を数える人もいる

芸能関係者がよく使う業界用語で、『ツェーマン』や『ゲーセン』といった言葉がありますが、これが何を意味するのかご存知でしょうか。あまり聞いたことがないかもしれません。音楽用語を使ったお金の数え方なのですが、どのようなルールに従っているのでしょうか?

ツェーマンゲーセンっていくら?

ライブハウスに出演したミュージシャン同士の会話で次のようなものがあります。

「今夜はいくら?」「ひとりツェーマン」「そっか。あとゲーセンぐらいあってもいいのにな」「そりゃ無理だ、おれたち2人にイーマンも出す店は珍しいよ」

この会話の意味がスっとわかる人は、音楽や芸能関係の業界の人かもしれません。さて一体どういう内容の会話でしょうか?

これは、音楽業界もしくは芸能界用語で『ギャラ』の話をしているのです。

ツェーマンとは、1万円のことで、ゲーセンは5000円、イーマンは3万円のことです。もう少し例をあげてみましょう。

仮に2万6000円なら、デーマンアーセンとなります。これはどういった法則なのでしょうか?次項で詳しく見ていきましょう。

ドレミをドイツ語で言うとツェーデーエー

この数字の数え方は、実はもともと音楽業界で、クラシック音楽の演奏者やミュージシャンのギャラを数えるときに使われていたものです。

実際には、数字の読み方ではありません。音符の『ドレミファソラシド』のドイツ語読みです。

アルファベット表記にすると『CDEFGAB』ですが、これをドイツ語読みすると『ツェー・デー・エー・エフ・ゲー・アー・ハー』で、それぞれに数字の『1・2・3・4・5・6・7』を当てはめます。

これらに万円の『マン』を付けることで、以下のような意味になるのです。

  1. C:1万円=ツェーマン
  2. D:2万円=デーマン
  3. E:3万円=エーマン
  4. F:4万円=エフマン
  5. G:5万円=ゲーマン
  6. A:6万円=アーマン
  7. B:7万円=ハーマン

千円単位でも同じように、ツェーセン、ゲーセンなどと使います。

日本語の音楽用語だってある

音楽用語は、イタリア語やラテン語、ドイツ語だけではありません。日本語の音楽用語もいろいろとあるのです。よく使うものをピックアップしましょう。

某アイドルグループの歌にもある不協和音

『不協和音』は、芸能ニュースなどでもよく耳にする言葉です。音楽グループやバンドのメンバー間がうまくいっていないときなどに使われます。

そもそも不協和音とは何でしょう。ひとことでいえば、協和音の反対です。和音は『2つ以上の音が同時に響いている状態』であり、それが心地よければ、協和音と表現します。

不協和音は響き方が気持ち悪いので、音群として美しくありません。ただし、印象に残したい箇所など、部分的に何らかの効果をねらって、あえて使われることもあります。

通奏低音のように流れている、の意味は?

『通奏低音』とは、バロック音楽の演奏において、チェンバロ奏者が伴奏として和音の進行にもとづいて、常に低音部で奏で続ける音を指します。

『バッソコンティヌオ』『ゲネラルバス』などと呼ばれる音楽用語です。

そこから転じて、一般世間の言葉にもなっています。何らかの社会的な活動や世間の動きの奥底深い部分に常に流れている、考えやコンセプトを意味する言葉です。

知らない音楽用語に出会ったら?

聞いたこともない音楽用語に、突然出くわすこともたまにあるでしょう。そんなときに調べる方法がいくつかあります。手軽にできる便利な方法を紹介します。

イタリア語や英語などの音楽用語サイト

音楽用語サイトというものが、インターネット上には存在します。イタリア語や英語の音楽用語を入力すれば、即座に意味を教えてくれる便利なサイトです。

下記のサイトは、英語の音楽関連の単語を検索できるサイトです。類似のサイトがいろいろとネット上にあるので、目的に見合うものを探して役立てましょう。

音楽に関する英語の単語集

音楽用語を検索できるスマホアプリもある

スマホを使って音楽用語を検索できるアプリが、驚くほどたくさん登場しています。

広い範囲のものもあれば、音楽ジャンル・楽器・トレーニング・作曲など多岐にわたって細かい分野に特化したアプリも無数にあるのが魅力です。

下記のサイトでは、自分がアプローチしたい分野でアプリを選べます。有料・無料とさまざまなものがありますので、用途に応じて選択しましょう。

【2019年】音楽用語辞典 人気アプリランキングTOP4 – iPhoneアプリ | APPLION

本格派は音楽用語辞典や用語集を用意

本格的に音楽に取り組んでいる人や、これからそうしようという人は、書籍としての音楽用語辞典や用語集を用意しましょう。

持ち運びに便利なミニサイズのものもありますが、外出先や移動中では、スマホアプリやサイトの方が手軽に使えます。

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音楽用語の意味を知ったうえで使ってみよう

ちまたで会話の中に織り込まれて使われている音楽用語には、それぞれ深い意味があります。本来の意味を知ったうえで、音楽用語を自然に話題に添えて楽しんでみましょう。

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