ラグビーは互いに身体をぶつけ合い体力を著しく消耗するスポーツです。試合時間も選手の年代や参加人数ごとに細かく定められています。ハーフタイムやロスタイムや延長戦を含めた、ラグビーの試合時間について紹介します。
ラグビーの試合時間は?
ラグビーの試合は、前半と後半の二つのパートに分かれて実施されます。
試合開始の審判の合図とともに、一方のチームの選手がグラウンド中央に置かれたボールを蹴って試合が始まります。
一般的なラグビーの試合は前半40分・後半40分、合わせて80分間で行われます。競技する世代や参加する人数ごとにそれぞれ試合時間が設定されているので、以下具体的に解説していきます。
トップリーグや大学生は80分
社会人で構成されるジャパンラグビーなどのトップリーグの試合時間は、前半40分・後半40分、合わせて80分間で行われます。
大学ラグビーも社会人と同じく前後半合計80分で行われます。ラグビーユニオンの世界一を決定するラグビーワールドカップも同様に80分間試合が行われ、ラグビーの試合時間は一般的に80分間となっています。
ハーフタイムは12分以内
ラグビーは前半と後半の間にハーフタイムが設けられています。
ハーフタイムの時間は通常12分間です。ハーフタイムは選手がそれぞれ工夫して過ごしています。水分補給をしたり、ストレッチを行ったりして疲れた体を休める選手もいれば、けがの治療や後半に向けて戦略を立てる選手もいます。
激しくぶつかりあうコンタクトスポーツであるラグビーにおいて、ハーフタイムは選手達にとって体を休めたり作戦を練り直したりする貴重な時間となっているのです。
ラグビーのロスタイムについて
ラグビーにはロスタイムが設けられています。ロスタイムとは試合中に選手が負傷した際、治療や担架での搬出などに費やした時間のことを指し、負傷の程度や状況に応じて審判がストップウォッチで計測しています。
ロスタイムを引いた残りの試合時間が電光掲示板に表示され、選手や観客は正確な試合時間を知ることができるようになっています。
ロスタイムは1分以内
通常の負傷の場合、ロスタイムは1分以内と設定されています。しかし、重傷の場合は、レフリーは負傷した選手をフィールドから搬出する必要があることから、その場合は1分以上のロスタイムを与える権限を持っています。
出血した場合は血を止めるために長めにロスタイムを取るケースもありますし、給水のために時間を確保する場合もあります。
また、試合が混乱しプレーの続行事態が危険だと判断した場合には、審判は自らの判断で試合を中断する、試合そのものを終了する権限を有しています。
時間はタイムキーパーが管理
ラグビーでは、レフリーとは別に試合の時間を正確に管理する『タイムキーパー制』を導入しています。
これまでは、ロスタイム自体が主審の裁量に左右されていたため、選手にとっても観客にとっても、試合終了時間が曖昧な部分がありました。
しかし、試合時間を客観的に判断するタイムキーパー制を導入することによって、より試合が公正に行われるようになったのです。
タイムキーパーは、『オンプレータイムの計測と表示』『前後半40分経過時点ホーンを鳴らす』ことの二つの役割を担います。
ホーンが鳴ることにより、選手や観客は残りの試合時間を明確に判断することが可能となります。タイムキーパー制により、選手は残りの試合時間が理解しやすくなり、より透明性の高い公平な試合運びができるのです。
ラグビーの延長戦はある?
ラグビーは、得点の方法が細かに設定されているのであまり延長戦はないのですが、前半後半合計80分が経過した結果同点だった場合には延長戦が行われます。
ワールドカップの場合は10分ハーフ(合計20分)の延長戦を行い、それでも決着がつかなかった場合は、サドンデス方式の延長戦が追加で実施されます。
日本国内トップリーグ戦や日本選手権では、同点で試合終了した場合いきなりサドンデス方式で延長戦が実施されます。
10分間のサドンデス
同点で試合が終了した場合、延長戦として一方が先に得点した時点で勝敗が決定し試合が終了するサドンデス方式がとられます。
時間は10分間です。先に『トライ』『ペナルティーゴール』『ドロップゴール』などで得点が入った瞬間に試合の決着がつきます。
サドンデス方式は一瞬のプレーで劇的に勝敗が決するため、選手だけでなく観客もゴールが決まるまで緊迫した時間を過ごすことになります。
キッキングコンペティション
サドンデス方式でも試合の決着がつかなかった場合、『キッキングコンペティション』が実施されます。
試合終了時に競技に参加していた選手の中から5人のキッカーを選び、それぞれ順番に蹴る場所を変えてゴールキックを行います。
もし、両チームの選手全員がゴールを決めると、6人目からはサドンデス方式になり、一方が成功し他方が失敗するまでキックが続けられます。
最終的にゴール成功数の多いチームが勝利を手にすることになります。サッカーでのPKをイメージするとわかりやすいでしょう。
高校ラグビーなどでは抽選になる
高校生の場合は大会スケジュールが厳しく設定されており、延長戦は行われず抽選で試合の勝敗が決定します。
ラグビーはその競技の特性上体力の消耗が激しく、成長段階にある高校生に対して試合時間を延長するのは健康上ふさわしくないのがその理由とされています
シンビンの時間は?
ラグビーには、反則や危険行為を行った選手に対してペナルティーが課される『シンビン』と呼ばれる制度があります。
このペナルティーを受けた選手は出場時間を奪われてしまうことから、シンビンは選手にとって非常に厳しいペナルティーだと言えます。
シンビンとは
試合中に反則や危険行為を行った選手に対して、主審がカードを提示し退場を命じることができます。シンビンは試合が公正に行われるための役割を果たしています。
シンビンを受けた選手は、この間試合に出ることができず、チームは必然的に選手の人数が減ってしまいます。そのため試合運びが不利になり、劣勢に立たされる場面が多くなります。
シンビンの語源は英語で、sin(罪)とbin(入れ物)です。二つの単語が組み合わせて作られた言葉であり、反則を犯した選手を指定待機場所に置き留める意味合いを持ちます。
シンビンは10分の待機
シンビンを受けた選手はフィールドの外に出て、指定された待機場所で10分間待機する必要があります。
待機中はウォームングアップの場合を除き指定場所にとどまるか、控え選手と同じ条件のもと、コーチやテクニカルスタッフと一緒にいる必要があります。
また、1試合で2度の警告を受けた選手は、それ以降試合に参加できなくなる厳しい処置が課されます。
シンビンを受ける行為
シンビンは、以下のような危険な行為を繰り返したり、悪質なペナルティーを繰り返したりした場合にシンビンを受けることになります。
- 相手プレーヤーがボールに触れる前にタックルやチャージを行う
- プレーヤーがボールを蹴り終わった後にタックルやチャージを行う
- 相手選手に暴行や危険行為を行う
- その他スポーツマンシップに反する行為をする
しかし、シンビンはあくまで主審の裁量と判断のもとで主観的に下されます。そのため、選手はなぜシンビンを受けたのかが分からず納得がいかない場合もあります。
シンビンを受けた選手が指定場所にいかない限り、10分間の時間の計測が始まりません。その間試合が止まってしまうことから、選手は速やかにフィールドを出て指定場所へ行くことが求められます。
15人制ラグビー以外では?
一般的なラグビーは『ユニオンラグビー』と呼ばれ、人数は15人ずつ、前後半80分間で試合が行われます。
これ以外にも、選手の年齢ごと、あるいは構成人数ごとに試合時間が短く設定されている場合もあります。
高校ラグビーの場合
高校ラグビーは15人制で、試合時間は前半30分・後半30分、合計60分間と大学生や社会人ラグビーと比べて短くなります。ハーフタイムは5分以内となっています。
社会人ラグビーと同様ロスタイムが設定されており、ホーンが鳴るとラストワンプレーで試合終了となります。高校生は全国選手権が行われる花園ラグビー競技場をめざし、ファイト溢れるプレーを見せてくれます。
中学ラグビーの場合
中学ラグビーは『ジュニアラグビー』と呼ばれ、試合時間は高校生より更に短く前半20分・後半20分、合計40分間で行われます。ハーフタイムは5分以内となります。
10人制ラグビーでは10分ハーフで行われたり、12人制では12分ハーフで行われたりと、大会ごとに人数や時間を柔軟に設定できるようになっています。発育段階にある中学生ですが、大人顔負けの迫力ある試合が行われています。
7人制ラグビーの場合
7人制ラグビーは通称『セブンズ』と呼ばれ、7~10分ハーフで行われます。
2016年ブラジルで開催されたオリンピックで初の正式種目となったセブンズは、前半7分・後半7分の計14分間、ハーフタイムは1分間で実施されました。
なお、ワールドカップセブンシリーズでは決勝のみが前後半10分ハーフの計20分で行われます。セブンズは一試合の試合時間が短いことから、大会を1日で終えることも可能なのです。
ラグビーの試合時間は80分
ラグビーの試合時間は前半後半合わせて80分間あります。ラグビーは激しくぶつかりあうコンタクトスポーツです。
試合時間やロスタイム、延長時間などは、選手の体力面も加味した上で考慮されています。激しいスポーツとしての特性を踏まえ、ラグビーの試合時間は適切に定められる必要があるのです。
ラグビーは見るものを惹きつける魅力溢れるスポーツです。高校生や大学生、日本トップリーグなど世代ごとに頻繁に大会が開催されているので、あなたも試合会場に足を運んで観戦してみてはいかがでしょうか。
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