最近よく聞く『デザイン思考』って何?プロセスや活用事例でわかりやすく解説

2019.03.03

デザイン思考という言葉を耳にする機会が増えてきていますが、一体どのような思考法を指しているのでしょうか? デザイン思考には、特定のプロセスや考え方があります。活用事例なども踏まえつつ、わかりやすく解説していきます。

デザイン思考とは?

デザイン思考という言葉が、私たちが普段想像するデザインという職種以外の場所でも使われるようになっています。

デザイン思考とは、いったいどのような考え方なのでしょうか?具体的に見てみましょう。

問題解決のための考え方

デザイナーが、新しいデザインを創作するときに用いる考え方やプロセスがあります。この考え方やプロセスを、ビジネスにおける問題や課題を解決するときに活用することを『デザイン思考』と呼びます。

一見、ビジネスに当てはまりそうもないデザイナーの思考は、あらゆる問題を解決するときに役立てることができます。そのため、デザイン思考という考え方が生まれました。

デザイン思考には、解決方法の正しさではなく、『問題に関係する人の満足度を重要視する』という特徴があります。この思考では、実際に成果を得るまでの過程を重視することで、実践的な問題解決法を生み出すことができます。

また、前例や固定概念に縛られないという特徴もあります。そのため、新しい解決モデルが生まれやすく、よりクリエイティブな方法で前進できるのも魅力の一つです。

デザイン思考が必要な理由

このようなデザイン思考は、なぜビジネスの面で必要とされているのでしょうか? デザイン思考には、さまざまなメリットがあります。

デザイン思考が必要とされる理由についていくつか紹介しながらそのメリットや効果について見ていきましょう。

多様化したニーズに応えるため

これまれビジネスにおいて、問題解決の手段として採用されていたのは『マーケティングリサーチ』でした。

これは、顧客のニーズや市場に関する仮説検証を行い、それに合わせたビジネスプランを展開していくという手法です。

しかし、昨今の経済状況は非常に変動が激しい傾向にあります。そのため、仮説検証型の思考法では、市場やニーズに追いつかなくなってきているのです。

そんなとき、多様なニーズに応えるべく採用され始めたのが『デザイン思考』です。

デザイン思考には、先ほど紹介したような特徴があるため、市場の現状やニーズを検証してから解決法を打ち出すような『後手に回る』プランではなく、『先読み』で迅速なプランを展開することが可能です。

そのため、加速度的に変動する状況にも対応できる思考法として、現在の市場ではデザイン思考が必要とされています。

新しいアイデアや強いチームを作るため

デザイン思考の効果として挙げられるのは、問題解決に対する即応性だけではありません。その最大のメリットは『新しいアイデアの創出』とされています。

デザイン思考では、前例や固定概念にとらわれない思考法によって問題解決に取り組みます。そのため、必然的に新しいアイデアが生まれてくるのです。

そのため、市場に合わせたプランではなく、問題の本質を見抜いたプランを展開していくことができます。

また、デザイン思考ではチーム間のコミュニケーションを大切にするという特徴があります。立場に関係なく全員に発言権があり、アイデアも平等に扱われる必要があるのがデザイン思考のプロセスです。

その結果、課題解決に取り組む中でチーム間の連携が強くなっていきます。

デザイン思考に必要なマインド

デザイン思考が必要とされる理由やメリットについて検証したところで、次は、実際にデザイン思考を採用して問題解決に取り組むときに必要なマインドについて探っていきます。

デザイン思考を採用するときには、大切にしなければいけないポイントがいくつかあります。ポイントをおさえて、新たな課題の解決に向かいましょう。

常にユーザーの視点を持つこと

デザイン思考において、市場の状態や現状のニーズはほぼ不要です。重要視しなければならないのは『ユーザーの視点』です。

デザイン思考で重要視されるのは、ユーザーの満足度です。ユーザー視点で課題解決に取り組むことが、よいプランを展開するためには必須だといえます。

市場の現状を参考にしているプランに比べると、ユーザーの視点を重視して考えられたプランの方が、変動する状況に対する即応性も高いといえます。

コミュニケーションを活発にする

一人一人に考え方があり、その数だけ問題解決の手段が生まれる可能性があるのがデザイン思考の魅力です。そのため、課題解決に当たるチーム間でのコミュニケーションは非常に重要です。

役職や経歴に関係なく、各々に課題解決のアイデアが秘められているので、デザイン思考を採用する際は、活発なコミュニケーションを積極的に行うとよいでしょう。

何度もプロセスをやり直す

デザイナーの仕事は、『一つのものを一回作り上げたらそれで完成』というものではありません。試行錯誤の上、作っては壊すという作業を繰り返します。その結果、積み重ねてきた作品の数々の中から、代表して一つが選ばれるのです。

デザイン思考においてもこのプロセスは活かされます。何度もプランを出し続け、それを徐々に昇華させていきます。その結果、問題を解決する画期的なプランが生み出されるのです。

デザイン思考を構成するプロセス

デザイン思考を実践するとき、どのようなプロセスで問題解決に取り組めばよいのでしょうか?

デザイン思考では、おさえておきたい作業過程があります。デザイン思考を構成するプロセスについて具体的に見ていきましょう。

ユーザーの共感を探る

デザイン思考のプロセスは、『ユーザーの視点を理解する』ところからはじまります。既にあるサービスや商品をユーザーがどのように利用しているか、また、どのような点に不満を抱いているのかを徹底的に調べます。

その中で発見したことを些細なことでもしっかりと記録しておきましょう。

問題を定義する

ユーザー視点で調査した結果、発見できたことをもとにそれらが抱いている問題を定義していきます。何に不満を抱いているのか、どのような点がニーズに応えられていないのかなどを『問題定義』してわかりやすくします。

これらの問題は、できるだけ短い内容で、かつ、具体的であることが望ましいです。問題を定義できたら、その問題定義がシンプルで魅力的なものであるかを検討しましょう。

解決のためのアイデアを生み出す

問題定義が完了したら、次に行うのが『アイデア出し』です。アイデア出しを行うときのポイントは、質にこだわるよりも、とにかくたくさんの案を出すということです。

一見くだらなく感じるアイデアが、問題解決の糸口になるというケースも往々にしてありえます。

この行程では、できるだけ多くのアイデアからさまざまなものを検討して、中でも使えそうなアイデアを選抜していきましょう。

いくつかのアイデアを試作する

アイデア出しの行程を経たあとは、選抜した使えそうなアイデアを試作する段階に入ります。あくまで試作段階なので、本格的に採用するときほど力は入れませんが、ある程度の効果を発揮できるレベルでプロトタイプを作成します。

試作を行ったことで見えてくる問題点もあるため、それらを踏まえてさらにアイデアの精度を上げていきます。

テストを行い仕上げる

試作段階を通過し、より精度が高くなったアイデアを用いて、いよいよ実践同様のテストを行います。このテスト段階でようやく、チームのメンバー以外の人の意見を参考にして、チーム内では見つけられなかった問題を発見していきましょう。

新たに生まれた問題を踏まえ、試作段階に戻り、そしてまたテストをします。このように、一つのプロセスの中でも試行錯誤を繰り返すことで、より効果的なプランを生み出していくのがデザイン思考です。

デザイン思考の活用事例

デザイン思考についての知識や実践方法を踏まえた上で、実際にデザイン思考を活用して成功を収めた具体例を挙げます。

私たちにも馴染み深い製品が、実はデザイン思考から生まれたものでした。どのようにして生まれたのか、早速チェックしてみましょう。

iPodを開発したApple

Apple社から発売されたiPodは、デザイン思考のプロセスから生まれた製品の代表例です。35名の少人数体制のチームにも関わらず、約11カ月で開発されました。

競合他社の製品分析と、ユーザーが普段どのように音楽を聴いているかの分析からはじまり、『どこでも、自分の好きな曲を選んで音楽を聴きたい』というニーズを導き出しました。

その後は、100以上のプロトタイプを制作しながら試行錯誤が繰り返され、ついに完成したのがiPhoneの原型とも言えるiPodです。

Apple社からは、毎回先進的なデザインと機能を兼ね備えた製品が誕生します。その原因は、デザイン思考を採用しているビジネスモデルにあるといってもよいでしょう。

Wiiを開発した任天堂

日本におけるデザイン思考によって生まれた製品の代表例が、任天堂の開発したWiiです。Wiiの開発では、はじめに『ゲーム機のある家庭での、子どもと親の関係性の悪さ』が問題として挙げられました。

問題解決に向け思考を重ねる中で、鍋を囲んでいる家族は親密度が高いという事例を発見します。

そこで任天堂は、『家族で楽しめる』『家族の関係をよくする』ことをテーマにしてゲーム機を開発することに着手しました。

誰でも簡単に扱えるコントローラーのデザインや、リビングに置いても邪魔にならないサイズ感など、度重なる試行錯誤の末、Wiiが完成しました。

デザイン思考でイノベーションを生み出す

デザイン思考には、これから先、何が起こるかわからない状況に対応する可能性が秘められています。そして、私たちの生活をより豊かにし得るのもデザイン思考から生まれるイノベーションです。

何かの問題に直面したとき、また、新しいビジネスモデルを考えたいときは、デザイン思考を取り入れてみると何かが生まれるかもしれませんね。

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