温泉で期待できる効能について。心身の悩み別におすすめの温泉を紹介

2018.07.31

『温泉の効能』と聞くと、成分による薬事的効能が注目されがちですが、豊かな自然の中でのんびりすることによるリラックス効果も見逃せません。温泉と名乗ることのできる条件や、効能を表示できる条件、そして様々な温泉の効能を紹介します。

温泉と看板に表示できるのは限られた湯

温泉施設、特に日帰り温泉施設などには『天然温泉』など、『温泉』を明示している施設が多くありますが、実はこの表示をするには条件があります。その条件とはどのようなものなのでしょうか。

温泉や療養泉と認められるには?

『温泉』と明記できる条件はシンプルです。泉温が25度以上、または『温泉法』で定められている、イオンやラドンなどの成分を規定量含んでいることが条件とされています。

温泉のうち、泉温が25度以上あるいは『鉱泉分析法指針』で指定された成分を一定以上含んでいれば『療養泉』となり、ここではじめて『泉質名』が付き、『適応症』(効能)を明示できます。

このほか、温泉と明記できても、泉温が25度以上というだけで、指定成分が規定量含まれていない場合は『単純温泉』となり、規定量の成分があっても泉温が25度未満の場合は『冷鉱泉』に分類されます。

もし、入浴施設に『温泉』の明示がなければ、それは『沸かし湯』と考えてよいでしょう。

薬事法ではなく温泉法に基づく

温泉には『効能』という表現がつきものです。しかし、薬事法により医薬品以外は、ある症状や病気に『効く』・『治る』という表現が禁じられています。

実は、温泉での効能の記述は、厚生労働省の定める『薬事法』ではなく、環境省の『温泉法』に基づいています。温泉法により指定を受けた機関(環境保健センターなどの公的機関)が成分を分析し、そのうえで認定された『適応症』の表示が許可されているのです。

適応症や、分析した公的機関名は『温泉分析書』に記載され、脱衣場や廊下、フロントなど、人目につくところに掲げなければならないという義務があります。

つまり、ある施設が本当に温泉か、療養泉かは、温泉分析書が貼ってあるかどうかでも分かるので、チェックしてみましょう。

それぞれの温泉に適応症が存在

温泉は、温熱効果、水圧効果、浮力効果、転地効果などの一般的な効果の他に、それぞれの温泉(泉質)ごとに、何に良いとをされているかを示す『適応症』があります。

適応症(効能)の数は非常に多いのですが、それぞれの泉質独自の適応症を簡潔にまとめると、以下のようになります。

  • 単純温泉:子供や高齢者に適している。温熱効果などの一般適応症あり
  • 塩化物泉:湯冷めしにくく、塩による殺菌作用
  • 炭酸水素塩泉:美肌
  • 硫酸塩線:傷・火傷に適応
  • 二酸化炭素泉:血行促進、高血圧に適応
  • 含鉄泉:婦人特有の病気(月経障害など)に適応
  • 硫黄泉:高血糖、高血圧、動脈硬化など生活習慣病に適応
  • 酸性泉:殺菌効果が高く、皮膚病に適応
  • 放射能泉:唯一浴用で痛風に適応。その他高血圧などにも

怪我に良い効能が期待できる温泉

多くの温泉が、動物や怪我をした人が傷を癒したという実話や伝説を持っています。そうした話をきっかけに発見された温泉も少なくありません。『傷を癒す』ことは、温泉の効能の代名詞と考えられていますが、実際はどうなのでしょうか。

傷の湯と呼ばれる硫酸塩泉

多くの温泉が、切り傷や火傷に良いとされていますが、特に『硫酸塩泉』は別名『傷の湯』といわれるほど、切り傷や火傷の治癒を助けるとされています。

なかでも『カルシウム-硫酸塩泉』では、カルシウムの鎮静効果により炎症が抑えられることを期待できます。

切り傷や火傷に適応する泉質は、皮膚の蘇生効果があると考えられるので、よく『美人の湯』とも呼ばれます。

殺菌作用のある塩化物泉

『塩化物泉』も、『傷の湯』と呼ばれることがあります。お湯に多く含まれる塩の殺菌力が、傷口の可能を防ぎます。また、塩の成分が皮膚につき保温効果もあるので、湯冷めを防ぐ『温まりの湯』とも言われます。

実は『塩化物泉』は、日本で一番多い泉質です。海に近い都市部の温泉開発がその要因とされています。

肉離れの時の入浴法は?

肉離れは、筋肉の怪我と筋肉痛の一種です。ですから、温泉の温浴効果で血行が促進されれば筋肉により多くの栄養が送られ、回復にも効果的です。

また、殺菌効果のある『塩化物泉』や、痛みの鎮静効果のある『カルシウム-硫酸塩泉』も筋肉の回復に良いとされています。

さらに、温めることによる血行促進と、冷やすことによる炎症の抑制という2つのメリットを得るために、温水と冷水に交互に入浴する『温冷浴』も、効果的です。

ストレスや自律神経の乱れで悩む人は

温泉の良さは、お湯の成分による薬事効果だけではありません。

温泉の温度そのものによる効果や、水圧によるマッサージ効果、さらに環境を替えてのんびりする転地効果などについて紹介します。これらは、ストレスや自律神経の乱れを整えるうえで、役立ちます。

温泉でのんびり過ごすこと自体が療養

温泉には『転地効果』があります。日常生活を離れ、自然が豊かな温泉地に行って五感を刺激されることにより、自律神経の中枢にスイッチが入り、ストレスが解消されるという効果です。

五感を刺激するものとしては、海や山や田園などの目から入る風景、海の波の音や川のせせらぎなど耳から入る刺激、深い森林の空気の匂いや美味しい料理などがあります。他の人との触れ合いも、そのひとつかもしれません。

温泉に行ったら、お湯だけでなく自然やお料理も楽しんでのんびり過ごし、『転地効果』を狙いましょう。

ぬるい湯が良いと言われる

温泉の入り方によっても、リラックスに違いが表れます。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、42度以上の高温の温泉や34度未満の冷水に入ると、交感神経が優位になり興奮状態になります。

反対に、37度~40度ほどのぬるいお湯に入ると、副交感神経が優位になり、よりリラックスします。従ってリラックス効果を得るには、ぬるめのお湯にのんびり入りましょう。

ぬるめの湯なら長く入浴することが可能ですので、そのぶん薬事効果や水圧効果も得やすくなります。塩化物泉など保温効果のある温泉なら、お湯がぬるくても湯冷めしにくいといえるでしょう。

高濃度炭酸泉の入浴の継続は効果的?

炭酸ガスが溶け込んだ『高濃度炭酸泉』は近年非常に人気で、日帰り温泉施設などでは人工の炭酸泉も見られるようになりました。

お湯に溶けた二酸化炭素は皮膚を通して容易に血管に吸収され、血管を拡張し血行を良くします。それにより老廃物の排出が促進され、関節や腰の痛み緩和に役立ちます。

心臓に負担をかけずに血行を良くするので、心臓病や高血圧の人にも嬉しいお湯と言えるでしょう。二酸化炭素泉には副作用がほとんどありませんので、継続して入浴しても問題はないでしょう。

高濃度の炭酸ガスが噴出している湯口に近づき過ぎると二酸化炭素中毒の心配もありますが、普通に温泉に入る程度であれば心配は無用です。

美肌に良い効能が期待できる温泉

温泉には『美人の湯』や『美肌の湯』という表現がよく出てきますが、『適応症』の中には美肌効果という項目はありません。

ただ、『ph7.5』以上のアルカリ性の温泉と、炭酸水素泉、硫酸塩泉、硫黄泉には美肌効果があると言われています。

アルカリ性単純温泉で角質除去

『アルカリ性単純温泉』には特定の成分規定はなく、アルカリ性が強い25度以上の温泉全般を指してそう呼びます。ph7.5以上で弱アルカリ性、ph8.5以上でアルカリ性とされます。

ph値が高いほど肌表面の角質をとる働きが強く、古い角質層の新陳代謝も促されます。ツルツル肌にしてくれますが、入浴後の乾燥には要注意です。保湿をしっかりしてください。

由布院温泉や飯山温泉などがおすすめ

九州で人気の『由布院温泉』は、ph8.5以上のアルカリ性単純温泉です。天然の保湿成分『メタケイ酸』などを含んだ温泉も多く、まさに『美肌の湯』の温泉地と言っていいでしょう。

また、神奈川県の『飯山温泉』も、ph11以上という全国トップレベルの強アルカリ性単純温泉で、『美肌の湯』を前面に打ち出しています。

飯山温泉は都心から1時間というアクセスの良さも魅力で、純和風の『元湯旅館』をはじめ日帰りプランも各施設で豊富に用意されています。

メラニンを分解する硫黄泉

硫黄泉は『生活習慣病の湯』とも称される一方、炭酸水素泉、硫酸塩泉とともに『三大美人泉質』に数えられるほどの美肌効果があるとされています。

秋田の『乳頭温泉』、群馬の『万座温泉』、長野の『白骨温泉』、新潟の『月岡温泉』などが有名です。

余分な皮脂を取り除き、メラニンを分解する働きや紫外線カット効果もあり、美白美人を目指すならおすすめの温泉です。

また、硫黄泉はいわゆる『濁り湯』なので、色や匂いなどで温泉らしさが味わえるとして人気です。ただ、効能が強いだけに湯あたりしやすいので、浸かっている時間などには注意が必要です。

ラドン温泉は万病に効く?

微量の放射性物質ラドンが含まれる『ラドン温泉(放射能泉)』は、無色透明のお湯で、薬効の効率がもっとも高い温泉です。

別名『万病の湯』と言われるほど様々な効能がうたわれ、特に痛風の症状改善などに良いとされています。他にはどんな効能があるのでしょうか。

胃腸機能の改善などの効能が期待できる

ラドン温泉は、慢性消化器病に効能がある貴重な泉質の一つです。浴室内のラドンを吸い込んだり飲泉したりすることによって、胃や粘膜の血の巡りが良くなり、症状の改善が期待できます。

放射能泉と聞くと怖いイメージがありますが、体内に入ったラドンは数時間で排出されます。『ホルミシス効果』とよばれ、微量の放射能が体に負荷をかけることで、免疫力を上げるとも言われています。

冷え性で悩む人にもぴったり

冷え性は血行が悪いため、手足の先の毛細血管まで血液が充分行かず、冷えを感じる症状です。そうなると毒素や老廃物の排出などもうまくいかず、様々な症状を引き起こします。

冷え性は、温泉で温まることで改善が見られますが、特にラドン温泉は冷え性にぴったりです。普通のお風呂の場合は、お湯から出るとすぐに体温が戻りますが、ラドン温泉は湯上り後もしばらく体温を維持してくれます。

冷えは、気分の落ち込みやイライラの原因にもなりがちです。ゆっくり温泉に入って、身体面だけでなくメンタル面での改善も期待しましょう。

逆効果にならぬよう体質に合った温泉探しを

怪我や皮膚病、冷え性の改善、さらに美肌効果など、温泉には様々な薬効があります。温泉地に出かけ、自然の中でお湯に浸かってのんびりするだけでも、心身のリラックス効果が期待できます。ぜひ自分の体質にぴったりの温泉を見つけてください。

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